中編3
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貯金箱

 お金をためるのが好きなので、100円ショップっで買った蓋のない貯金箱を三つもおいて、日頃からちょっとずつお金をためている。

ある時、親戚の家にいくことがあり、その親戚のうちにいる同い年くらいの子と家のなかでかくれんぼをして遊んでいた。

初めは親戚の子が鬼でこちらが隠れる番だったので、二階にある押し入れのなかで隠れていた。

けれど、ほんの五分程度で見つかってしまって、悔しい思いをしながら鬼を交代した。

一階の大広間の端にある大きな柱で百数える。

「ひゃっく!」と勢いよく後ろを振り向いて探索開始。

始めにいっていなかったが、その親戚の子の家がまぁ広い。

どのくらい広いかというと、一個大きな神社が建つのではないかと思うくらいである(アバウトすぎですね)。

なので、探すのも一苦労なのである。

始めてきたらこの家の中で、遭難するのではないかと思う。

そんな中、自分をすぐに見つけた親戚の子は格が違うと思い知らされる。

一階を刑事風に壁に張り付きながら捜索中、

ふと、ひとつの部屋に目が止まった。

そこは少し変な作りの部屋であった。

部屋にはいると、何故か部屋半分のところに段差があり、奥の半分が高くなっている。

その向こうには大きめの窓がありその外側では、広い庭が広がり大きめの池が水面に波紋を広げている。

見たことのない部屋に興奮して、その中をひたすら走り回る。

かくれんぼをしているということをもう少しで忘れそうなとき、部屋の入り口付近に電話が置いてあり、その横には見たことがない四角い箱が置いてあった。

いじっていいのかとかそういう考えが及ばないくらいに好奇心が押さえられず、それを手に取ってみた。

手に取ると上の面に細い穴が空いている。

そうしてちょっと振ってみると、中からじゃらじゃらお金の音がした。

それはどうも貯金箱らしかった。

中に入っているのはお金。

当然自分の頭の中には「何円入っているのだろう?」という考えで一杯だった。

けれど、細い穴が空いている他には取り出すところはみあたらない。

幾らか頑丈そうなので壊すのも無理だろうということで、どうにかたどり着いた考えは、穴の中に光を当てて中を覗いて金額を見るということだった。

部屋の中を探したのだけれど、懐中電灯は見当たらなかった。

なので仕方なく、太陽の光で中を除くことにした。

光の当てかたを調節するのが難しいのだけど、家でもこの方法で見ることがあるので、そこはすぐに調整をする。

職人裁きのように手を動かし、光が差し込む方向を探る。

そして「ここだ!」と光を差し込んだ位置で手を止め中を覗きこむ。

光の当てた位置はとてもいい位置だったのだが、何故か中が暗い。

というか、黒い。

「なんじゃ?」と首をかしげながら中を覗いていると、中で何かが動いた。

驚いて箱を床に投げてしまった。

何が起きたのかわからず数秒はポカーンとしていて、すかさず床に投げた箱を手に取る。

力を込めた状態で床に放り投げたので、壊れていないか不安に思い確認をした。

何処にも傷はついていなく、安堵のため息をもらす。

さっきのはなんだったのだろうかと考える。

驚きと怖さと同様にあった気持ちはやっぱり小さい子ならではの好奇心。

その好奇心が一番大きく、止めればいいものをまた箱の中を覗く。

するとそこには紛れもない人の「目」がこちらをみてまばたきをしていた。

Concrete
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