短編2
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『かやり風』

『御嶽の三柱、逆鉾の、アマよりしたたる水玉の、風もてとどけ矢、狗猫ガラス(鴉か?)みたり(三足)走りて打ち、かちにて打ち、おもいとどけと、くっとりソバカ、てっとりソワカ、はっとりソワカ、あっとりソバカ。』

じいちゃんが死んだ。風呂場で倒れて亡くなっていた。

小さい頃から遊びに行くと、いつも笑顔で頭を撫でてくれた。

ばぁちゃんが『お前にやる』ってお菓子の箱をくれた。じいちゃんの思い出の品だと…。

開けると二冊のノートと何枚かの和紙が入っていた。古くで茶色くなっている。何気にめくってみると…

上に書いた文句が目に飛び込んできた。遠い記憶…

僕は4人組の悪ガキ達によくイジメられていた。生意気だと言われ、4対1でケンカをし僕だけケガをして帰ったものだ。

4人の内の1人とはその後、仲良くなり今もたまに連絡がある。あとの3人は…

一人は若いのに癌になり胃だか腸だかを摘出したと…

一人は父親が首吊り自殺をして夜逃げ…

一人は農具にイタズラし右手首を失った…

この3人とは今では連絡もとれない…

あの日僕が帰った時、じいちゃんは物凄く怒っていた。僕にではなく、いじめっ子4人にだ。

その時、唄うと言うかそらんじると言うか、喋ってたのがこの文句だった…

じいちゃんは言った。

『うってやった!かやり風には身内の誰が当たるか分からんが…仕方ない。可愛い孫の為じゃから!』

じいちゃんが泣くの初めて見て、僕も泣いた。

この文句の表題は『呪ひ唄』……

4人目のいじめっ子は今も元気だ。偶に鬱になって拝み屋に出入りするという…

僕の左足は自動車事故で今も動かない…

怖い話投稿:ホラーテラー 最後の悪魔さん  

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