中編3
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患者の創作

病院に付属している精神科デイケアは多種職の職員が携わる

Dr.OT.PSW.Nsの職員がいて、私はNsとして勤務していたわけだが、殆ど医療処置などない

そこへ通って来る患者をメンバーと呼ぶ

メンバーAは独り暮らしでデイケアで創作造りが大好きな患者だった

ある日そのメンバーAは全く来なくなり診察にも来ていない

気になったスタッフはPSWが自宅訪問することに…

メンバーAは自宅で餓死してしまっていた

生前メンバーAが気に入って造った木の根っこのような物をデイケアの中に飾ってほしいと言っていた物が置かれてあったわけだが…

その年の年末大掃除をした際その創作物をどうするかということでスタッフと話し合った結果、ゴミとして処分することにした

袋に入れてゴミ収集場へ

1時間たった頃何だか外が騒がしい

それはゴミ収集に来た市の職員が何やら外で「何だこれは!バカ野郎!」と叫んでいる

何人か職員が出て行くとゴミの袋を収集車に入れたとたん火がついて燃え出したということである

そのゴミとはうちの課から出した物と判明

しかもメンバーAの造った創作物の袋からだった

火の気などなかったのにどうして燃えたんだろうとスタッフ達は不可解な出来事にびっくりする

その日私は夕方帰宅し夕飯の材料をこれから買いに行こうとバッグの中に手をやるも財布が無い

しまった!ディスクの引き出しに忘れたのだ

夜7時を過ぎて病院へ行くのは嫌だが、仕方なかった

全職員は皆病院の施錠の鍵を持っており、無くしたら全部交換の為300万くらいの弁償をしなくてはならない

それくらい責任は重い

デイケアの鍵を開け電気もつけず暗闇のディスクへ

引き出しを確認すると財布は入っていた

スタッフルームを出てすぐ外の入り口へと向かおうとすると、何やらカタカタカタカタと音がする

ホールに向かって行き何の音か確めようとしたら皆が集うキッチンの入り口の上に飾られている額の絵が地震でもないのに前後に音を立てながらその絵だけが揺れている

えっ?と思って見入ってなんだろうと思った瞬間キッチンの方からズルズルと這いずる音がする

ゾクッとした私はその場を離れようとすると這いずって来た物がガシッっと足首を掴む

キャァァァっと声を出したいとこだったが、病院に付属しているデイケアは孤立するように建てられている為声をあげても気付く職員は誰1人いない

どうしょう…腰が抜けた私は床に爪を立てているが、足を掴んだ物は離すことなくキッチンの暗闇に引き摺り込もうとしている

誰か 誰か助けて

そう思った瞬間ガチャ

裏口の入り口の鍵を開け誰かが入って来る

その時足を掴んでいたものがスッと消える

カツンカツンカツンという足音

何やら歌を唄いながら入って来る

なんと音痴な唄と思っていると私の前を私に気付くことなく若い当直医のDrがスキップして歌いながら通り過ぎ、院内に通じるドアから出て行く

「下手くそな唄っだな」と小声で言うが、そんなことを思っている場合ではない

今の隙に逃げなきゃと思い走ってその場を後にした

あれはきっとメンバーAが大事にしていた創作物を捨てたから怒ったに違いないとスタッフ達との間で確信していた

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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