中編5
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ヒグラシ

俺が高校生のとき、

一学期の定期テストで、

俺は欠点をいくつも取ってしまった。

なので、欠点課題というものを出されていた。

提出日は夏休みの8/16という、

まぁなんとも中途半端な日だ。

外は暑いのに、

なんでこんな中途半端な時に

先生は生徒を来させようとするんだ。

だるいなぁ、、、

と内心イライラしていた。

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学校にいる担当の先生に、

課題をチェックしてもらうため、

4組の担任の先生、

つまり僕の担任の先生が部活の遠征先から、

帰ってくる午後6時に着くように家を出て、

1人学校に登校した。

夕方だがまだ日が高い。

ヒグラシがどこからか

カナカナカナカナカナ

と鳴き始めていた。

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1時間自転車をこぎ、やっと学校に着いた。

先生が来て、

「なんでこんな時に生徒に提出物を

出しに来させるんですか!?

あんまりですよー!」

「そもそもお前が

勉強すればいいだけの話じゃないかw」

「ぐっ、、、」

「まあ、先生には最後に

鍵を閉める当番みたいなものがあってだな、

今日が俺の当番なんだよ。」

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「先生にとって都合のいい日に

生徒を学校にこさせるとは、なんて野蛮な!」

「おまえ、始業式に提出させようとすると

遅れて提出物出すからだろー!」

「ぐぬぬ、、、」

と、こんなやりとりをしながら、

提出物を出して帰ろうとすると、

「おい、○○!」

「あ、はい、なんですか?」

「俺以外にもう1人だけ、

男の先生が今日学校にいるんだけどな、

あの先生に見つかるとうるさいから、

見つかる前に帰れよ!」

「はぁ、わかりました。」

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職員室を出て階段を降りようとした時に

あまり話したことのない

男の先生にあった。

まずい!!

この人はたぶんさっき先生が言ってた人だ!

と内心緊張していたが、

何食わぬ顔で帰ろうとしていたら、

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「何ももう用がないのなら、

学校をさっさっと出ろ。」

と怒っているような感じで、

いきなり言われた。

びっくりしたが、

じわじわと怒りがこみ上げできた。

言われなくてもさっと帰りますよ!

と思いながら、帰ろうとした。

が、

夏休みの宿題のための資料を

自分の教室に忘れていたことを思い出した。

今日取りに戻らないと

また学校にくるハメになる。

それは嫌だった。

また、暑いときに学校へ来るのはダルすぎる!

そう思った俺は

俺の学年の教室棟がある四階へ

駆け足で階段を登った。

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自分の教室に手を掛け、

鍵がかかってないことを確認し、

教室に入る。

4組は1組から6組まである教室の真ん中に

位置している。

1組は一番端は

一番遠いので、気の毒だといつも思う。

「あった。」

自分の机の中に資料があることに安堵する。

無事にあったことだし

よし、さっと帰ろうとした時、

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ギギギギギ

と隣の教室の5組からイスを引く音が聞こえた。

「ん?誰かいたのか?」

5組の教室は、

下に降りる唯一の階段がある方向だった。

だから、ついでに誰がいるのか、

覗いてみようと考えた。

4組の教室を出て、5組の教室の手前のドアは閉まっていたが、

奥のドアが開いているので

奥のドアから隣の教室を覗いてみる。

見渡すが誰もいない。

よく見ると

俺から見れば斜め左の奥の席の

イスが斜めになって、今にも

倒れかかっている。

あれが音の正体なのか?

と見に行ったついでに

ドアを開けっ放しで入り、

倒れかかったイスを戻した。

何もない、気のせいだったのか?

と考えを巡らせている時、

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突然、ブーブーッとスマホがなる。

やべ、学校内じゃ携帯の電源は切っておかないといけないのに忘れてた!

すぐに電源を切ろうとして画面を開いた。

時間を見ると学校についてから30分もたっていた。

だから窓から外を見ると、日が沈もうとしていた。

「早く帰らないと。」と考えていたとき、

外を見ていた窓に反射して後ろの机が見える。

そこに誰が座っていたんだ。

同い年ぐらいの女の子が。

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ってことはすぐ後ろにいるのか、、、?

思い切って振り返ろうかと考えた。

が、恐怖のあまりそれはできなかった。

その前にもう一度窓を見ると 、

こっちを窓越しに女の子は見てた。

そしてバッチリと目があってしまった。

恐怖のあまり下しか向くことができない。

あれは違う、と目があって確信に変わった。

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下をみると自分の後ろに上靴が見え、

もうダメだとたかをくくったとき、

教室のドアがガチャガチャと鍵が解かれ、

扉が開いた。

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とっさに扉のほうを見るために振り返ったら、

扉の奥から女の先生の

「下校時間ですよ」

という声が聞こえた。

「すいませんでした!!!」

と後ろにいるだろう先生に叫びながら

俺はダッシュで教室から逃げた。

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学校をでて、

ようやく恐怖心もおさまってきたところで

俺はスマホの電源を入れて、

通知がなんだったのか確認した。

すると、

ただ単にゲームの通知だった。

よくある非通知の電話とか

じゃなくて良かった、、、!

安堵していたとき

1つの謎が浮かんでしまった。

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「なんであの時扉の鍵がしまってたんだ?」

記憶の奥のほうまで探してみるが、

俺はそもそも扉を閉めた記憶がない。

まして、鍵も閉めてない。

夕方なのにまだ暑いが、

ゾクゾクッと鳥肌が立つのがわかった。

「締め出されかけていた、、、?」

逃げていても逃げることができなかった。

あの女の先生に感謝せねば、、、!

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でも、

鍵の戸締りの確認で

なんで、わざわざ扉の鍵を開けて

生徒がいないか確認したんだ?

夏休みなんだし、

生徒はいないと普通思うだろうし、

鍵が閉まっているのだし、

そのことが確認できればいいはず。

あと、なんで

端のクラスから

呼びかけていかないんだろう、、、

まてよ、、、

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「あの『女』、一体誰なんだ?」

ヒグラシの鳴き声が大きくなったように聞こえた。

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