中編4
  • 表示切替
  • 使い方

怪談夜話(のっぺらぼう)

これは、私の同僚に起こった話である。

たぶん…

nextpage

最近、趣味の夜釣りで偉い目にあってしまい凹みながら生活していた。

世間は大型連休真っ只中の5月初旬…幸運な事に少し遅くなったが、我が社も連休をとれる事に…。

「先輩!呑みに行きましょうよ…」

彼は私の後輩君…会社に一人はいる仕事はイマイチだが皆から好かれる特な男だ。

「明日から休みだしな…久しぶりに行くか」

そんなこんなで三軒ほど店を変えながら酔っぱらう。

気持ちは大きい酔っぱらい!頭のネジもはずれ下手な歌でご近所さんに迷惑かけながら河川敷脇を歩いていると…

wallpaper:73

ゴミ捨て場に古めかし人形が捨ててある…

うっ…

私は、人形を見ると同時に酔いは覚め…背中は鳥肌で埋まる。

身体と心が人形に対して拒否反応を起こした。

「ウゲーーーーウゲーーーー」

急に吐き出す私に…

「せんぱ~い…酒弱くなりました~?まだまだこれからですよ~♪」

このバカ…なんであの人形がわからない…

「なんすか~?あの人形がどうにかしたんすか~?」

捨ててある人形を掴み私を茶化すように人形劇を始める。

「愛しい先輩様!私は貴方の事を愛しているのになんで貴方は私を見棄てるの?なんてな~♪」

どーん!

後輩は人形を河に向かって投げ捨てる。

wallpaper:162

「先輩、眠い。帰りましょう」

スマホでタクシーを呼ぶ後輩…

この野郎…酔っぱらいの勝手な行動に呆れつつも河に流れたいったであろう人形が気になってしょうがなかった…

separator

wallpaper:3452

その日の夜から私は悪夢に悩む事になる…

「助けて…助けて…助けてくれ」

椅子に座った後輩が助けを呟き続ける…

対面には投げ捨てた人形が…

しかし、その人形には顔のパーツが一つも無い…

綺麗に無い訳ではなく…抉れるようになくなっている…

「助けてくれ…助けてくれ」

そこで目が覚めた…

separator

wallpaper:791

全身に寝汗をかきながら夢から覚めた私は後輩に連絡する。

軽快なJ-POPが後輩を呼び続ける…

「なんすか~?誰すか~」

画面を確認せずにでたのだろう…こちらが誰か理解してないらしい…

「俺だよ!お前…体調大丈夫か?」

「先輩?なんすか~?俺の事どれだけ好きなんすか?」

この野郎…心配して損した…

怒りのあまり電話をきり、着信拒否に…

飯を食ってる間にLEDが点滅してるスマホにはlineで謝罪と明日からは実家に帰る為、連絡が取りにくくなる旨の内容が送られて来ていた…

どうしようかと思ったが、また会社で会おうと返してやった…

nextpage

wallpaper:3452

また夢を見る…

「助けて…助けて…助けて…暗い…暗い…暗い…」

後輩が呟き続ける…

前回と違うのは後輩の両目が抉れるように無くなり、人形の顔には後輩のとそっくりな眼がついていた…

nextpage

2日目…

夢の続きをみる…

「助けて…暗い…暗い…助けて…」

「何も見えない…聞こえない…助けて…誰か助けて~…助けて先輩。」

人形には眼の他に耳がついていた…

nextpage

3日目…

後輩は何も喋らない…

いや、喋れない…

人形の顔には口もついていた…

nextpage

4日目…5日目…

特に何も起こっていないし夢もみない…

lineで確認したが特に問題な無いらしい…

馬鹿な後輩はふざけた文面を返してきたので頭にきたが安心もしていた。

nextpage

wallpaper:1022

連休も終わり、出社するが後輩は休みのなか姿が見えない…

部署も違う為、たまたまかと思っていたが、何日たっても姿をみない…

情報通の同僚に話を聞くと、後輩は連休の最終日に退職したらしい。

後輩の両親から事故に巻き込まれ顔が…

とにかく、とても仕事を続けられる状態では無いらしい…

お見舞いと書類手続きの為、後輩の実家を尋ねた人事課の担当は、後輩はまるで隠れるように毛布を全身に掛けていて直接確認できなかった…

shake

wallpaper:3744

ただ…後輩の枕元には女性人形に男のような目口鼻がついた違和感しか感じない人形が置いてあったらしい。

nextpage

wallpaper:3179

後輩が辞めてから1ヶ月ほど過ぎたある日…

夜道を歩いていると…

先輩…

と、呼ばれた気がして後ろを振り向く…

先輩…

先輩…

先輩…

先輩…

せーんーぱーいー

そこにいたのは、後輩の顔を着けた…

wallpaper:641

日本人形の姿だった…

separator

wallpaper:3452

私は夢を見る…

後輩だった人間は泣いていた…

泣いてるようにように感じた…

顔のパーツが何一つ無いからだ…

泣く訳がない…泣けるわけがない…

後輩はのっぺらぼうのように…

全てを失っていた…

nextpage

wallpaper:708

せーんーぱーいー?

顔ちょーだい?

Normal
コメント怖い
15
15
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ

@ふたば
怖ポチ&コメントありがとうございます。
意思を当たり前のように持てない人形が意思を持つ…
執着を持つのは当然かもしれません。
他者を犠牲にしてでも…
百物語リンクありがとうございます。
7月末位から8月中に読みきるペースで読んでいこうと思います。。
皆さん、5話ペース位で書かされてるみたいで…
凄いの一言です!
百話読んで呪われないように気をつけながら楽しみます(笑)

返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信

@月舟
怖ポチ&コメントあんがとー
梅雨があければ夏本番!
怪談話の真っ盛りになりますなー
8月から1ヶ月位かけて百物語みたいな企画をやりたくないかい?
誰か(月舟様)古参の方々ご企画たててくれないかいな?
それとも、前にやったのかな?
まあ、実力者(月舟様)の皆さん!よろしければ企画よろしくお願いします。
(完全に他人任せです。すいません(汗))

返信
表示
ネタバレ注意
返信

@ナガワカ
コメントありがとうございます。
人形は玩具としての側面もありますが、やはり呪術的な意味もあり人との付き合いはそれこそ縄文時代から長く続いていると思ってます。
九十九神ではありませんが生きる意思を持つ人形…けして少なくない気がします。
今後も私の物語にお付き合いいただければ嬉しいです。

返信

考えていたラスト.バージョンも気になるます。

人形は持ち主の身代わりとして扱われることもありますが、怪談では人形の身代わりになるパターンもありますよね。心の宿った人形も「死にたくない」などの願望が生まれると厄介です。

返信

@むぅ
怖ポチ&コメントありがとうございます。
人形ボディに…
多分ですがボディの3文字が全ての元凶じゃないですか?
ボディ…個人的意見ですが…
なんか、ほんわか…しませんか?
だってほら…ボディですよ(笑)

返信
表示
ネタバレ注意
返信

@clolo
怖ポチ&コメントありがとうございます。
いやー人形って怖いですよね。
特に日本人形は苦手です。
怪談夜話は古典怪談を現代風にアレンジして話を作る目的に書いてます。
自分的に古典怪談はじっくり怖い…夜道を歩いている時に思い出したら…背中がゾワッってなるようなお話のイメージです。
なので、全く表現できてません(笑)
もうちょっと構成力他がレベルアップしたら真のっぺらぼうを書きたいと思います。
駄文ですが、今後もお付き合いお願いします。

返信
表示
ネタバレ注意
返信

@mami-2
怖ポチ&コメントありがとうございます。
元々は今回見たいに即物的な怖さ?ではなくて
じわじわ来る怖さ的な話にするつもりでした。
結果、実力不足で今回のような話に…
夏に向かってスキルアップを行くので、これからもよろしくお願いします。
怖ポチよりコメントもらえたほうが嬉しい今日この頃です(笑)
ちなみに、返信機能…はじめて気がつきました(笑)

返信
表示
ネタバレ注意
返信