中編5
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あさちゃんの首

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 中学時代に悪友でもあり、親友のあさちゃんと私に起こった怪奇現象についてお話したいとおもいます。

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 あさちゃんは戦争があったか戦国時代に紛争があったとされる場所に家がありました。(うろ覚えでごめんなさい。)

中学2年生で同じクラスになり、仲良くなったのですが最初は零感だったあさちゃんも嫌な空気を感じ取る体質へと変わってしまいました。何故かは分かりませんが、私のクラスには神社の息子、寺の跡継ぎ、霊感があるけれど隠している子、霊感あるんだーと言っている零感な子(笑)が多かったからかもしれません。

それはさて置き...仲良くなってから迎えた初めての大型連休に、あさちゃんの家に招待されました。場所が場所である為、あまり気乗りはしなかったのですが親友に誘われては断れません...。

そしてとうとうその日を迎えてしまいました。

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あさちゃんの家に入るとちょっと錆のような臭いがします...

(うわぁ...絶対出る)

そう思いましたが笑顔で迎えてくれるあさちゃんママさんの前で嫌な顔をする訳にもいかないのでこちらも笑顔で挨拶をすませました。

「はるる、ママのお菓子とご飯美味しいから楽しみにしててね!」

「うん。楽しみにしてるー!」

家族の集まるリビングは温かい空気が流れている筈なのに、あさちゃんの家は涼しいというか、体が芯から冷えていくような、熱を持っていかれる様な感覚になり、冷や汗が止まりませんでした。

「私の部屋に行こう!折角だしママのお菓子も持って行こう!」

「じゃあお言葉に甘えて...」

あさちゃんの部屋は2階で、日当たりが良くこの部屋だけは悪い空気がない暖かな部屋でした。

(1階の嫌な感じなんやったんやろ?)

あさちゃんは腰を落ち着かせると少し暗い表情になり、言いにくそうに話を始めました。

「あ、あのね...夜なんだけど、ちょっとうるさいかもしれない...それとね、夜中にトイレ行くとき、二人で行こう...?」

「それは別に構わんのやけど...いきなりどしたん?」

あさちゃんが言うには昨日10m先の表向き新聞屋さんで抗争事件があり銃声で飛び起きたそうです。そしてその新聞屋さんで人が亡くなった事、最近夜中にトイレに行くと見られているような感じがして怖い事を打ち明けてくれました。親友を怖がらせるのも嫌なので、先程の臭いや嫌な感じの事は伝えずにおきました。

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女子トークをしているとあっという間に夕ご飯の時間になってしまい、嫌だなぁと思いながらもお腹は減るのでリビングへと向かうと...

(なんかさっきより錆臭い!!!!)

特に玄関付近に臭いが充満していて具合が悪くなりつつ、あさちゃん家族と夕飯をいただきました。あさちゃんのママのご飯は美味しかったのですが、頭の中は錆臭さの原因はなんだったのか...それがグルグル巡っていて食べた物は全く覚えていません...

早くあさちゃんの部屋に戻りたいのに、中学に入って初めての親友にあさちゃんのお父さんとお母さんは学校でどんな事をしているか、あさちゃんはどんな風かと質問の嵐です...助け船を出してくれたのはあさちゃんでした。

「私達そろそろお風呂入りたいよ~。ね?はるる?」

「私も入っていいん?」

「二人で入ろう!」

こうして私達二人はリビングから抜け出し、お風呂に入る事となったのですが...

玄関の目の前が脱衣場になっており、その脱衣所が一番錆臭かったのです。

(きっつ...なにここ...)

人様の家を臭い臭い言うのも失礼極まりないのですが、本当に錆というか血の臭いで吐き気すらしてきました...

「あさぢぁぁぁん...」

「はるる!?どうしたの?顔色悪いよ!」

「に、臭いが...」

「あぁ...ごめんね...最近、悪くなったごま油みたいな臭いがするんだ...」

あさちゃんも違う形ではありましたが、臭いの異変は分かっていたのです。

さっさとシャワーを浴びた私達はあさちゃんの部屋に急いで戻りました。

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臭いから解放された私達はまた女子トークに花を咲かせ、時間も時間でしたので私とあさちゃんは眠りにつきました。

「ううぅ...う...ぐっ...ぐる...」

異変とあさちゃんの苦しそうな声で目が覚めました。

「あさちゃん...?あさちゃん!!起きて!どした!」

「ぐぅ...ううううっ...」

物凄い汗と苦しそうなあさちゃんを力づくで揺すって起こしました...

「はるる...ありがとう...苦しかった...」

「いや、大丈夫やけど.......」

違和感を覚えました...なにか変だ...

「はるる...なんか私首絞められてる夢見た...」

あさちゃんは首をさすっていた手を離しました...

「あ...あさちゃ...」

「どうしたの?」

「そ、それ...くっ、くっ...」

驚きのあまり言葉になりません。

あさちゃんの首にはクッキリと大人の男性の大きさの手の跡が残っていたのです...

「なに!?ちょっと見てくる!」

「今行ったらいかんー!!!!」

私の止める声も聞かずあさちゃんは例の脱衣所に駆け下りて行きます

急いで追いかけました

shake

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「イヤァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!」

あさちゃんの絶叫が聞こえました...

「あさちゃん!!!!!」

「お、おばけ...出た...首...首が...首が...」

「落ち着いて!もう大丈夫やから!」

「お...おばけ...おばけが...」

あさちゃんは動転していて会話が成り立たないので、半ば強制的にあさちゃんの部屋へと連れて行きました。

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あさちゃんの話を要約すると

・首がどうなっているのか確かめるのに脱衣所へ

・脱衣所のドアを開けると鬼の形相をした落ち武者が鏡に映っていた。

・首だけの落ち武者が大口を開けたから逃げようとしたが身体がうごかなかった

あさちゃんはこんなにも震えているのに家族のだれ一人として起きてきません...

首の様子が見たくて仕方ない様だったので、あさちゃんの学校鞄をあさり鏡を見せました。あさちゃんは青ざめ、絶句、といった表情でした...

「もう...もうこんな家やだよ…耐えられないよ...」

「それやったらさ、あさちゃんのママが良いって言ったらうち来たら?」

「うん...ダメなら家出してでも行く...」

「それは私も困るけあかんやつ。」

その後あさちゃんと私はくっ付いて寝ることにしました。

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その後あさちゃんは両親を説得して1ヶ月だけ、という約束で我が家に仮住まいを始めました。中学生の間に首を絞められた跡は消えず、赤黒く残ってしまいました。

大人になってからお互い忙しく会うことも叶わず今まで過ごしてきましたが、首にいつもスカーフをしていたり首に手を近付けると怯えてしまうと聞きました。あれはあさちゃんの家ではなく、あさちゃんへと憑いてしまったのでしょうか...

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