中編3
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3階

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高校はミッション系のスクールに通っていました。

伝統と歴史のある学校でかつてはシスターが先生として勤務し住み込みで働いていたという事で学校の敷地内には寮なんかもありました。

学校にはいくつか怪談話が存在しましたがその大半が寮についてでした。

私が在学中も実は特別教室として使われる事があったその寮は3階建てでした。

しかし使われるのはいつも2階部分だけ。

では1階部分と3階部分には何があるのでしょうか?それを解明するために立ち上がったのが怖いもの大好き私の友達2名だったのです。

夕暮れ時私は合唱部に所属していたため練習をしながら音楽室から寮を見ていました。

すると1階の廊下の窓から手を降る友達2名の姿が見えたので私も手を降りました。

しばらくすると3階へ上がったのか3階のある部屋から私に手を降っていました。

更にしばらくすると音楽室へ息を切らした友達が入ってきました。

『どうしたの?』

友達ふたりは顔を見合せ寮であった事を話始めました。まずふたりで向かったのは1階部分。

1階部分には血のついたベッドがあるという噂がありました。が、それはデマ。血のついたベッドはなかったそうです。しかし寮だけあって昔そこでシスターが寝泊まりしていた痕跡はあったそうです。

それがまた妙に生々しくて怖かったそうです。

部屋自体も部屋と呼ぶには少し難しいような独房のような狭い部屋で無機質な感じ。

それがまた友達ふたりの恐怖心を煽ったのでしょう。そして3階部分へと歩を進めたのです。

3階部分からは明らかに空気がひんやりと冷たくなったそうです。雰囲気も薄暗く使われていないだけに埃っぽくたくさんの荷物が置かれていたそうです。3階部分には大きく真っ黒な十字架があり夜な夜なシスターの霊が現れては儀式をしている姿が見えるという噂がありました。

友達ふたりは私に3階部分で手を降った後1番奥の部屋へ向かったそうです。

そこに大きくて真っ黒な十字架があったというのです。しかもその雰囲気は異様でその部屋だけには荷物が置かれておらず入り口からレッドカーペットが十字架まで伸びておりまるでその十字架に誘われているようだったと友達のひとりは話していました。

すると急に友達のひとりが悲鳴を上げて走り出したというのです。そして音楽室へ来たというのです。

走り出した友達に話を聞くと3階部分に着いた時からずっと女性の話し声は聞こえていたそうです。

ひそひそとそして楽しそうに…。

例の部屋へたどり着いた時異変は起きたそうです。

shake

『ねえ、こっちにきてよ』

確かに耳元でそう囁いたそうです。

怖くなった友達は走り出し現在に至るというわけです。友達ふたりはデジカメで内部の写真を撮っていました。見せてもらうとただただ寮の内部が写っているだけ。しかし例の部屋を写した写真だけが白くモヤがかかってしまったりオレンジ色の何かが写っていたり…。その中の1枚にとても興味深いものがありました。

壁から女性の顔が出ているのです。

神聖であるはずの十字架は不気味に今もあの場所に立ち続けているのでしょうか?

そしてあの女性の正体は誰だったのでしょうか?

ちなみに学校でいちばん古い先生に確認をしてみてもシスターの中で自殺をした人や亡くなった人はいないそうです。

卒業した今はもう真実を確認する術はありません。

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