中編3
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黒い影

怖いというか不思議な体験をした話を聞いてほしい。少し昔のことだから曖昧なところもあるかもしれないけどどうしても誰かに聞いてほしいから話す。

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小学3年生か4年生のときに体験した話。ちなみに今は22の就活に困ってる学生…

地元は結構田舎で、誰が見ても田舎だなーって思うような場所だと思う。日本の西のほうとだけ言っておく。

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俺は小学生のとき寝る前にほぼ必ずと言っていいほど、窓から外を見ていた。星を見る日もあれば、ぼーっと特に何もない向こうの方を見てたりする日もあった。なんでそんなことをしてたのかは今でもよくわからないけど、この行動がもうこれから起きることの前兆だったのかもしれない。

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ある日いつものように外を見てたら、暗闇でもわかるもやもや?うまく表現できないけどそんなような黒い影見たいのが動いた気がしたんだよ。俺はもちろん気のせいだと思ってたんだけど、3日に1回くらいその黒い影みたいのを見るようになっていた。

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バカの俺でもさすがに気のせいじゃないと思ったよ。だから、このことを友達に話すとイノシシとかじゃね?みたいな話になったんだ。だから小学生の探検心に火がついて、夜に待ち合わせしてイノシシを捕まえようみたいな話になったんだよ。

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でも悪魔で考えてることは小学生が振り絞って考える浅はかな作戦だった。夜に家を抜け出して、ロープやポテチ、木で作った先が尖った剣のようなものを持ってイノシシ退治しようとしてたんだ。今思うと俺はバカすぎた。

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夜に友達と合流して、イノシシを探したんだ。家から見た黒い影のようなものがいた場所を探したがなにもいなかった。やっぱ俺の勘違いなのかなとか思って、友達も退屈そうな顔をしてたときだった。近くで「きゅーきゅ」みたいな鳴き声が聞こえたの。俺らはイノシシの鳴き声なんて知らないから、なにが近くにいるかわからなかった。

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その声は確実に俺らの方に向かってた。友達も俺もどうしたらいいかわからなくてとにかくくっついて、剣を構えてた。でも声は絶対に近づいてるんだけど肝心な姿が見られない。俺らはとにかく不安が増す一方だった。

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イノシシではないことはもうわかってたけど、正体不明の何かにとにかく怯えてた。俺が見た黒い影に間違いないと本能的にわかってはいたけど姿が見えなかったからどうしたらいいかわからなかった。友達が小さい声で「走るぞ」って声をかけてくれた。

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俺は頷き、すぐに友達に合図して走り出した。後ろから黒い影が追ってきてるのがわかったが、止まることもできずにとにかく走った。でも、友達がこけちゃったんだよ。んで、後ろを見たら黒い影がいたの。顔とか手足とかそーゆうのは見当たらなくてとにかく、うねうねしてるような感じだった。

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そいつは友達のほうに物凄い速さで飛びついた。俺は急な出来事にもうわけわからなくてとにかく怖くて、泣いてた。でも黒い影はすぐに消えていった。どんな感じで消えたかは覚えてないか見てなかったのかわかんないけど思い出せない。友達に肩を貸して起き上がらせて、その日は俺も友達もなにも話さずに、自然と解散した。

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次の日から友達は友達じゃなくなった。友達じゃなくなったってのは、以前の友達とはまるで別人のようになったんだ。話しかけてもちゃんと返事はするけど明らかに俺の知ってる友達じゃなくなってた。周りは、なんもおかしくないようにしていた。俺だけしかたぶんわからなかったんだと思う。でも、明らかに違うんだよ。

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なんか笑ってても目が笑ってないし、話し方もとにかく感情がないような棒読みだった。1週間ぐらい経っても以前の友達には戻らなかった。1ヶ月経った頃、友達は学校にこなくなっていた。引っ越ししたそうだ。先生に理由を聞いても家の事情としか答えてくれなかった。俺は絶対にあの夜の黒い影のせいだと思ってる。

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それからその友達がどうなったかはわからない。親ももしかしたら、友達の変化に気付いていたのかもしれない。じゃないと急な転校なんて納得できないし。親に黒い影の事を遠回しに聞いてもなんも知らないようだった。これが俺の小学生の時に体験した話。

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おかしい点もあるかもしれないけど、大体はこんな感じだった。

最近、バイト帰りに通る公園の前で黒い影みたいなの見た気がしてこの体験を思い出したから誰かに聞いてほしくなって書いた。

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