中編4
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音す

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静寂が脈を打つ深夜三時。

暗闇の中、固定電話のナンバーディスプレイが緑色の光を放ち、リビングをぼんやりと照らしている。

ディスプレイを覗き込むと、数字の羅列が画面を埋め尽くしている。

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不審に感じながらも、発信や着信でもない理由で表示されたその数字は、単に電話機の故障として折り合いをつける様努めた。

ヨタヨタと歩き、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出す。

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酷い頭痛だ。

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昨晩の宴はいつにも増して盛大な盛り上がりを見せた。

調子に乗りアルコール度数の強い洋酒を続けざまに煽ると、宴の参加者からは歓声と拍手が巻き起こる。

大盛況の後、気がつくと自宅リビングで暗闇の中、ソファに身体を預けだらし無く横たわる中年の男、私がいた。

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宴の途中から、完全に記憶を何処かに置いてきてしまった様だ。

頭痛、倦怠感、眩暈、吐き気。

行き場のない不快感により、一つずつ身体の不調の解決を試みる。

喉の渇きを潤すため、ひんやりとしたミネラルウォーターのペットボトルを手に取り、口から身体に流し込む。

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500mlの水分は一気に身体に浸透して行き、静まり返ったリビングに水分と自分の喉が鳴る音だけが響いた。

次にワイシャツに染み込んだ汗、タバコ、酒、香水の匂いを確認する。

脱衣所に行き、一気に着ている服を脱ぎ捨てる。

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ゴトッ!

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スマートフォンがズボンのポケットから零れ落ちた。

それを拾い上げると、ヴンッとバイブレーションが着信履歴を知らせる。

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画面に表示された固定電話と同様の異様な数列に、中腰のままの体勢でそれを凝視する。

電話番号でないことは明らかだ。

まったくの見覚えのない、ましてや意味さえも解らないその数字は、先程の様に故障という解釈へは至らなかった。

ただその数列を見れば見るほど、何かを自分に訴えかけている様な気がしてならなかった。

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現状の疑問点よりも、身体の不快感を改善するという欲求が勝り、気を取り直し浴室でシャワーを浴び始める。

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身体にまとわりついた臭いや、アルコールによる身体の不調をシャワーのお湯が洗い流していく。

熱を帯びた身体はすっきりとし、気持ちはさっぱりとリセットができた気がした。

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脱衣所で身体を拭き部屋着に着替え、何気なく洗面台に置いてある携帯に目をやる。

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メールが来ていた。

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深夜三時半。

半ば確信にも似た胸騒ぎを覚えつつスマートフォンを手に取る。

メールの宛先は表示されていない。

件名もないそのメールの内容を確認すると、戦慄と共に自らを言い知れぬ不安と恐怖心が浸食していく。

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メールには先程着信履歴にあった数字と同じものが羅列してあった。

暫くその数字を見つめていると、数字を音読みする事である事に気付いた。

それに気付くと同時に胸の鼓動が高まり、慌てて携帯の電源を切り、リビングへ行き固定電話の電話線とコンセントを引き抜いた。

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(はやくしになよしなないといみないよはやくしになよ)

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shake

「ねぇ!早くぅ〜!」

ビクッと心臓が高鳴り背後を振り返るとテレビが付いていた。

左足の親指でテレビリモコンの電源ボタンを踏んでいる事に気づく。

テレビには昔の映画の再放送が映っていた。

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「ふ、フゥ〜」

冷静に努めるが、深呼吸と溜息が同時に出る。

間も無く夜明けだ。

これは朝まで寝れないなと諦め、テレビの光でチカチカとする暗いリビングの電気を手探りで付ける。

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明かりのついたリビング。

最初に視界に捉えたのは、真っ白な壁では無く壁一面に赤いクレヨン、いや口紅で書き殴られた数字だった。

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思わず床に尻餅をつく。

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「ぷっふふふふふふ、、、、あっはははははは!」

女性の声だ。

玄関に誰かいる。

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声の主の仕業である事がわかると、それに翻弄されていた自分とその相手に腹が立って来た。

捕まえて警察へ突き出してやる。

玄関に続く廊下を確認するため、リビングのドアを開ける。

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shake

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「死になよ!」

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ドアを開けた瞬間、眼の前に至近距離で女の顔が出て来てそう言った。

面を食らって硬直した私を尻目に、その女は物凄い勢いで走り玄関のドアを開け家から出ていった。

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酔いにより無くした記憶の断片を拾い上げると、朧げにではあるが宴の帰り道、自宅まで女性と歩いている記憶が思い起こされる。

その女に見覚えはなかったし、人に恨まれる様な事は誓ってしていない。

鈍い思考を巡らせ、ただその場に唖然と立ち尽くす他なかった。

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