短編2
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胎児

私がまだ若かった自分、職場の仲間と一緒に旅行へ行った時の話です。

看護師ら3人でN県のある旅行へ私達は泊まった

その日は露天風呂を楽しんだり、ご馳走を食べて一通り楽しみを満喫していた

夜となると彼氏の話や、勿論怪談話にも花を咲かせ盛り上がる

怪談話と言えば私達は病院勤務だったので、尽きない程沢山の噂話があった

そんな中私がふと思い出したのが、外科勤務だった私がふと産科の前を通り過ぎようとした所「〇〇君、ちょっといい?」と産科のDrに呼び止められる

「何ですか?」と聞くも、その日15歳の娘さんが妊娠5ヶ月目に入ろうとしていた所に、母親と一緒に来て堕胎してしまったという訳だ

そこまで聞くのは良かったが、「〇〇君なら出来るよね?」っと言われ

「はっ?」てな感じただった

何をかと思えば堕胎した胎児の息が絶えず生きているんだが、コッヘルで心臓部分を掴んで捻ってくれということである

産科の看護師も私もそんなことは出来るはずなく、首を横に振る

5ヶ月といえど赤ちゃんの形はすっかり形成されており、片手で乗る程の胎児は弱いながらも産声を上げている

仕方がないので、のう盆に胎児を乗せガーゼを被せてほかっておくことにした

なんという生命力なのか三日三晩はその胎児は「あぁぁ、あぁぁ」とか細く泣いていた

そんな出来事を旅行先で思い出していたのたが、あえてその話には触れずにその晩は寝付いた

どのくらい経ったことだろう

ふと私のお腹の上に何かか乗っている重みを感じ目が覚めた

その瞬間身体に軽い痺れのようなものを感じたかと思うと、既に金縛りにあっていた

声も出せない

身体も動かせない

必死になって左の腕が少し動いた

しめた!

っと勢いよく左手を動かすと

ガバッ

動かした筈の左手が凄い力で引き戻されたのだ

左手腕に何かがしがみついている

そう思った私は恐る恐る左手の方へ目を向けると…

蒼白い何かがありよく見てみるも両目は眼球が無い糸のような細い目で、口は三日月のような形をしている7ヶ月くらいにはなろうかという赤ちゃんがニィっと笑っている

ヒィィ

その後の記憶が無く、気が付いたら朝方2人の看護師に揺り起こされる

起きてからも恐怖の震えなのか手や足がガクガクとしていた

何も2人には話さなかったが、あの時の赤ちゃん?

そう思わずにはいられなかった

私には水子の霊はない

子供を作るような行為も(当時)したことがない

心当たりがあるのはあの時の胎児だ

生きていれば丁度7ヶ月くらいにはなっている筈だった

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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コッヘルで・・・・・・・・・それは誰にも出来ないでしょ

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