短編2
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見知らぬ人の葬式

これは私の母が体験したものです。

母が20代の頃にやっていた仕事はとにかく出張が多く、毎日のように地方へ行っていました。

その日も地方での仕事が終わり帰りの夜の道を車で走っていました。しばらく走るとトンネルが見えてきました。これといって怪しいわけでもなく、周りにも何台か車が走っていました。そのトンネルはかなりの長さだったそうです。

ぼんやりしながら走っていると正面になにやら白い塊が見えてきました。近づくにつれて人の形に見えます。残り数メートルのところでその正体ははっきりしました。白いワンピースを着た女の人がこっちを見て道路の真ん中に立っていたそうです。顔がハッキリ見えました。

母は不気味に思いながらも幽霊だ、と解っていたため息を止めその女の人をひきました。すぐバックミラーから後ろを見たけどなにもなかったそうです。

そしてその後は怯えながらも無事に家に帰ることができました。

次の日の朝、仕事がたまたま休みだった母はいつものように新聞をとりにポストへ行きました。すると、一枚の紙がいっしょに入っていたんです。よく見ると、葬式の案内でした。差出人の名前と亡くなった人の名前を見たけど全く知らない人でした。しかし、葬儀所も近かったし、なにより気になったので出席することにしたそうです。

向こうに着くと普通の葬式と変わりなかったらしいのですが、周りの人の視線を妙に感じたそうです。

会場に入るとすでに式は始まっていました。

席に着き、前に大きく飾ってあった写真を見た母は、背筋がゾッとしました。

その人はまさに昨日、母がひいた女の人だったんです。震える体を押さえながら隣に座ってた若い男の人に死因を聞きました。

「交通事故ですよ。ひき逃げらしいですよ。すぐ病院に運ばれたんですけど、20分後に亡くなったらしいです。……あっ!死ぬ前に一言、私をひいた人は右の目の下にあざがあったって言って亡くなったそうですよ。一体誰なんでしょうね。」

その時の母は右目の下に目立つくらいのあざがありました。

怖い話投稿:ホラーテラー みいさん  

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