長編25
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執着せし雛姫

私の職場の黒川先輩は世間一般でいうところの非常に霊感の強い女性でした。

その彼女が私の教育係になってから、私はさまざまな心霊案件に関わってきました。

今回のお話は就職一年目の三月に起こった私にとって最後の事件となったお話です。

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その日、私は取引先で起こったトラブルに対処していました。

あらかたその片付けが終わったとき、黒川先輩が話しかけてきました。

「うん、だいぶできるようになってきたじゃない」

彼女は優しい声で笑いました。

その言葉一つに私の体中の血がかっと熱くなるのを感じました。

そして、彼女は真剣な眼差しで付け足しました。

「よし、今度新規の取引があったら、あんた一人でやってみなさい」

黒川さんの提案に私は珍しく褒めてくれていると嬉しく思いました。

「もう、教育係としての私の役目も終わりだから、これからは一人でちゃんとやっていくのよ」

「えっ、一人でって?」

「なに変な顔してるのよ、当たり前でしょ、私が教育係をするのもこの三月で終わりじゃない」

彼女の言っていることに何も間違いはありませんでした。

そして、彼女の表情に水を差す気にもなれなかったので、私は笑って頷きました。

しかし、彼女は先日ある心霊事件の後に私に向かって言いました。

『あんたはこちら側の世界に馴染みすぎている、それはとても危ないことだと思う』

その言葉は彼女が私とあえて一定の距離を作らなければならないと言っているように聞こえました。

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「心配しなくても、同じ会社なんだし、四月に異動で別の支店にでも飛ばされない限りこれからも一緒の職場でしょ」

確かにその通りですが、釈然としないものは残りました。

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それから一週間後、さっそく新規の商談が舞い込んできました。

ある大手スーパーとの取引です。

一人で当たる約束でしたが、流石に相手が大きすぎるので黒川先輩も取引開始の会談には付いてきました。

「本当にやばそうになったらフォローしてあげるから、とりあえず一人でやってみなさい」

会談はスーパー側の事務所の会議室で行われましたが、その場にはうち以外にもう一社呼ばれていました。

内容はうちの取引と同じなのですが、扱い量が多い契約なのでうちだけではなく同業をもう一社入れているようでした。

スーパーの担当者との商談が始まると黒川さんはおもむろにカバンから眼鏡を取り出して顔にかけました。

何気ないその行動に私は血の気が引きました。

目の悪くない黒川さんが眼鏡をかけるのはあることへのサインを表していました。

近くないしはその場に洒落にならないぐらい危険な霊的存在がいて、その霊に自分が視えていることを視線から悟られないためにする行為でした。

つまり今この会議室の中にそんな予断を許さない霊がいるということでした。

私はそのことに気が付きながらも、もし本当にそんな霊的存在がここにいるのなら私自身も挙動不審になってはいけないと思い、気にしないように商談を続けました。

しかし、一つ気になったのは強い悪霊などが近くにいた場合、普通私はその雰囲気を感じることができたのですが、今回はそのような気持ち悪い雰囲気は感じません。

いぶかしく思いながらもなんとか無事商談を終え、私達は会議室を出ました。

「今回はお互いに競い合うわけではないですから、一緒に頑張りましょう」

そう言って声をかけてきたのはうちと一緒に今回の商談に入った会社の担当者でした。

そのとき彼が名刺を差し出してきたので、私達も名刺を出して挨拶をしました。

相手から頂いた名刺は顔写真の記されている名刺でした。

名刺と名札から司村さんという名前が分かりましたが、その担当の男性は笑顔が素敵ななかなかのイケメンでした。

彼の言う通り、今回の二社での取引は別に競い合うわけではなく、取引の規模が大きいので、保険の意味も込めて二社での取引となっていました。

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担当同士の挨拶を終えて、帰りの車を発進させた時、私はすぐに先ほどの商談の中でのことを尋ねてみました。

「あの、もしかしてあそこに何かいたんでしょうか?」

その問いかけを聞いて、黒川さんは少し驚いたような表情を見せました。

「あんたも視えてたの?」

私は正直に何も視えていなかったと答えました。

そして私が眼鏡をかけるしぐさを見せると彼女も理解したようでした。

「・・・ああ、眼鏡のせいか、いたよ、すっごいのが、多分あの司村に憑いてたんじゃないかなあ」

「どんなのが憑いてたんですか?」

「若い女よ、白い着物みたいな服を着て」

「恐ろしい妖怪みたいな感じですか?」

「いや、風貌だけは鼻筋のスッキリ通った白い顔の姫みたいな女性だった、あれは憑りついているのか、守護霊なのか、よくわからなかったけど、とにかくすごい霊格だったよ」

「・・・でも、僕は視るどころか、何も感じることができなかったんですけど」

「・・・たまにいるの、すごい霊格を持っていても、自分の気を抑え込んだり、平易な気に変質させたりして周りに気づかせないようにしているやつが」

「・・・そんなのが憑いてるなんて、良い悪いはともかくとして司村さんは何かしたんでしょうか?」

「う~ん、彼の家に因縁のある何かかもね」

「え、彼の家?」

「おや、あんた知らないの?」

知らなかったので再び尋ねると、彼女は司村さんのことを教えてくれました。

彼はこの辺りで最大手のスーパーチェーンの創業者の一族の人間ということでした。

彼の一族は元々スーパー業から始まったのですが、今では食品加工やホテル、レジャー施設にも事業を拡げている県内で最も大きな事業主の一つといえるほどでした。

しかし、その大資産家の一族の彼が関連企業の一社員で働いているのはどうも能力的に暗愚で本人もそのことを自覚しているから迷惑をかけないように経営には携わっていないということがもっぱらのうわさでした。

「まあ、黙って立ってるだけならなかなかのイケメンであることには間違いないしなあ」

彼女が言うそういう家の事情であれば、テレビドラマのような何らかの因縁があっても確かに不思議ではないかも知れませんでした。

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司村さんから電話がかかってきたのは私が事務所に帰って、自分の席に戻って来た時でした。

先ほどの取引のことと思い、すぐに電話に出てみると彼の声は先ほどの明るい人のよさそうな声とは打って変わって何か焦っているような雰囲気でした。

司村さんは突然の電話をまず謝罪し、今から自分が言うことはおかしなことに聞こえるかもしれないが、本当のことなのでちゃんと聞いてほしいと懇願してきました。

その物言いに私は身体が固まるのを感じました。

「・・・雛姫が、あなたたちのところに向かった」

ゆっくりと甲高い声で発せられたその言葉は何とも異様でした。

「雛姫・・・何のことです?」

「私に憑りついている・・・守護霊のようなものといえば、少しわかっていただけるでしょうか?」

守護霊のような存在、それは黒川さんが言っていたものと同じでした。

「司村さん、あなたも彼女の存在に気が付いていたんですか?」

私の問いかけに司村さんも驚いたような声をあげました。

「・・・君達も視えていたのか?」

「ええ、まあ、視えていたというか」

「それなら話が早い、早く逃げてくれ、彼女は私に害をなすと判断した人間を無差別に襲っているんだ、私は常に彼女に監視されていて、こうして彼女が人を襲いに行ったときにしかまともに連絡することもできない」

「害をなす人間って、僕達は別に今回の商談で競合しているわけですらありませんよね」

「そうだが、彼女は君達がいなくなったら、さらに私のポイントとなるのかと感じたのかもしれない」

「それなら、その彼女にそれを説明してくださいよ」

「だめだ、私は彼女に逆らうことができない、彼女は自分にまかせておけばいいと言うだけなんだ」

黒川さんから聞いた通りのダメっぷりに文句を言おうとしたその時でした。

「み・つ・け・た」

それは蜜のように甘く、氷のように冷たい声でした。

何かとてつもないものが後ろにいる、私はすぐに黒川先輩のところへ向かおうとしました。

しかし、その時、私の心を昏い想いが覆いました。

死なないと、なぜだか突然そう感じました。

うめき声一つ立てることができないまま、短い痙攣とともに身体がこわばりました。

もちろん理性では自分に死ななければならない理由は何もないことが分かっていました。

しかし、まるで睡眠に対する欲求のように自殺に対する衝動にあらがえませんでした。

私はそのままふらふらと会社の屋上に向かって歩き始めました。

誰かに助けを求めようとしましたが、声が出ません。

精神的な余裕はどんどん失われて行きました。

そうして、私は程なくして屋上に到達しました。

もうその時には体中に冷たい汗を浮かべ、声が出せないまま恐怖で泣きじゃくっていました。

このまま進んで落ちれば、下のコンクリートに打ち付けられて死んでしまう。

頭の中では何をやっているのか、すぐにやめなければと思うのですが、死にたい欲求の方がそれを上回り屋上をゆっくりと進んで行き、遂に建屋の端まで来てしまいました。

耳元で女の声がしました。

「さあ、死になさい」

吹き付けられた黒い風から甘い声が囁いた時、女は私の肩に手をかけて、薄笑いを浮かべながら私の顔を覗き込みました。

白い女の美しい顔にまるで初めて私の姿を認めたような表情が加わりました。

この女性が司村さんの言っていた雛姫かと感じはしていましたが、当の彼女の方は私のことなど無視していたように黒色の瞳がじっと向けられました。

震える身体は言うことを聞かず、雛姫から目を離すこともできませんでした。

「終わりよ、さようなら」

下に飛び込もうとしたそのとき、白衣の美女はゆっくりと視線を横に動かしました。

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「あんた、何やってんの!」

私の身体を黒川先輩が後ろから羽交い絞めにしました。

私は驚いて跳ね上がりました。

そしてそのまま彼女は私の身体を屋上の端から中に放り投げると右手で印を結びました。

思わず涙を流しながら、安堵感に笑い声をあげてしまいそうでした。

私はこのときほど、彼女がそばにいてくれてよかったと感じたことはありませんでした。

「罪を知らぬ愚かな深霊よ、我が契約せし力によりて、凶障を妨げ、災禍を除き給え!」

次の瞬間、電光のように発せられた衝撃に雛姫の身体が硬直しました。

そして、一瞬無表情になったかと思うと満面の笑みになりました。

こんな気持ち悪い笑顔は見たことがありませんでした。

「あはは、私は何度でも何度でも現れる、私はお前をよく知っているぞ、黒川瑞季」

雛姫はふわりと浮かび上がり、夕闇の中にすっと消えていきました。

高鳴る胸を押さえ、私はわなわな震えながら、黒川さんの方を見ました。

「悪い、気付くのが遅れた」

「あの女の人が・・・」

私は確認しましたが、どうやらあの女が先ほど黒川さんが視た危惧される霊、そして司村さんが逃げろと言った雛姫で間違いないようでした。

彼女は私の手を引っ張って立ち上がらせると、すぐにここから移動するように言いました。

もう時間は夕方近くになっていましたが、終業まではまだ少し時間があったので、黒川さんが課長に携帯で連絡を入れて彼女の車で会社を出ました。

「何をされたの?」

車を発進させた後少し状況が落ち着いたと判断したのか、ようやく彼女は私に対して状況を尋ねてきました。

私は彼女の問いかけにあらためて何が起こったのか回想してみましたが、上手く説明できませんでした。

「僕は憑りつかれてたんでしょうか、急に・・・死にたくなって・・・」

「死にたくなった?」

「はい・・・うまく説明できないんですが、頭の中では死ぬ理由なんて何もないとわかっているのに・・・死ぬことしか考えられなかったんです」

黒川さんは私の説明を聞いて、何か考えているようでした。

「普通、悪霊なんかの不浄な存在に憑りつかれたりすると、気分や機嫌が悪くなったりするんだけど・・・

死にたいと思うようになったっていうのはそういう気を意図的に作り出しているのかもしれない」

「・・・どういうことですか?」

「あんた、霊を感じることはできる体質だったわよね」

「・・・はい」

「心霊スポットとか行ったりしたときに気持ちが悪くなるような雰囲気が漂ってるじゃない」

「はい、なんとなくわかります」

「それに勉強や仕事、人間関係や身近な人との別れなんかで強烈なストレスに襲われている人はとにかく強い自殺衝動に駆られることがあると思うんだけど・・・」

「はい・・・」

「そういう人間からもいわゆる良くない念や気が発せられてるわけよ」

そこまで説明されて、私は黒川さんの言いたいことが少しわかるような気がしました。

「あんたを襲ったあの女・・・雛姫はそういう悪い気を自分で増幅して作り出しているのかも、だから憑りついた時により大きな影響を与えることができる」

「・・・そんなことが?」

「出来ると考えると、反対に自分の存在を視えない人からは分かりにくくすることにも長けていることもしっくりくるわ」

彼女は説明をさらに続けました。

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「でも、そんなことよりもっとやばいことがあるわね」

今言ったことでも十分恐ろしいと思っていたのにまだなにかあるのでしょうか。

「あの女、いきなり人を殺そうとしやがった」

そう言われて私ははっとしました。

そうです、私は今殺されそうになっていたのです。

あらためてその時の恐怖が思い起こされてぞっとしました。

「問答も何もなしだ、どう考えても頭が切れてるだろう!」

吐き捨てる彼女の言葉に私も話し合いが通じない相手に襲われている状況にさらに絶望的になりました。

「それで・・・僕たちはどこに向かっているんですか?」

「真央姉の神社、あそこの神域なら邪な霊的存在は入ることができないから」

「・・・な、なるほど、あそこなら」

真央姉さんとは私達が懇意にしている神社の娘さんで彼女自身も強い霊能力者でした。

以前、神社などの神域にはいわゆる悪霊のような存在が入ってこれないということを黒川さんに聞いたことがありました。

「その前にちょっと着替えだけ、ちょうど通り道だから私の家に取りに行くから」

「えっ、黒川さんの・・・着替え?」

「なんだ、男一人預けるのに、真央姉に面倒見させるわけにはいかないだろう」

つまり、私が神社に避難している間は彼女がそばにいて警護してくれるということのようでした。

黒川さんと一つ屋根の下で共同生活、緊急事態でありながら、違う意味でドキドキしてしまいます。

「彼女、雛姫について、司村さんに詳しく聞いた方がいいでしょうか?」

なんにしても、私達はあの雛姫についての情報がありませんでした。

「いや、今はまだやめとこう、まずはあんたの安全を確保することが先だし、彼の近くに当の雛姫がいた場合は何が起こるかわかったもんじゃないから・・・」

確かに私達から離れた雛姫が司村さんのところに戻っていてはこちらから彼に連絡を取るのは双方にとって危険な感じがしました。

そもそも、彼は彼女がいなくなったのを見計らって私達に危険を教えたわけでした。

程なくして、彼女の家に着くと黒川先輩は車を止めて降りました。

そして、私の方をじっと見つめてうなりました。

「・・・変な誤解されても嫌だから、あんまり連れていきたくないんだけど、一人にすると危ないもんなあ」

どうやら私を家の中に入れて家族に見られることを躊躇しているようでした。

「・・・今は誰かいるんですか?」

「両親はまだ仕事から帰ってないかもしれないけど、確か妹の美弥は昨晩夜勤だったから今日は家にいるはず」

黒川先輩の妹の美弥さんは看護師さんで何度か会ったことがありました。

二人で家の中に入ると彼女は二階の自分の部屋へと向かいました。

「・・・部屋の外で静かに待ってろよ」

そう言いながら、階段を上っていると二階の方からかすかなうめき声が聞こえてきました。

聞き間違いではありません、苦し気ですがはっきりとした声でした。

「いやだ、いやだよう」

かすれたような声でしたが、その声には聞き覚えがありました。

「死にたくないよう、お姉ちゃん、助けて」

声の主が分かったからか、瑞季さんは二階への階段を駆け上がりました。

そこには部屋の外のドアノブにひもをかけてゆっくりと首を吊っている妹の美弥さんがいました。

ドアの向こうにいた雛姫は抗う美弥さんを子猫でも扱うように弄びながら、歯をむいて笑っていました。

瑞季さんは両手ですばやく雛姫に向かって印を組みました。

「あはは、もうちょっとだった、次はだれが狙われるかなあ」

そう言い放つと雛姫は部屋の後ろの壁に吸い込まれるように消えていきました。

「待てよ、この外道!」

真っ向から雛姫の消えた方向を睨み据えると、斬りつけるように言い放ちました。

私はゆっくりと美弥さんの身体を支えながら、首にかかったひもを外しました。

彼女は解放された途端首に手を当てて激しくせき込みました。

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「・・・怒らせたな」

怒気で赤く染まったその顔はぞっとするような表情でした。

「・・・本当に怒らせたな」

怒りが激しすぎて絶叫にならない気の塊が開いた唇から漏れたような声でした。

思わずこの場から逃げ出したくなるような迫力でした。

「もう、司村がどうなろうと知ったことか、あいつのところに行って雛姫のことを問い詰める!」

「でも、瑞季さん、司村さんのところに行っても、何かできるんでしょうか、彼もある意味雛姫の被害者かもしれないのに」

「知るか、もうこれ以上、家族を奪われてたまるか!」

「何が起こってるの、お姉ちゃん」

かすれながらも穏やかな声が、瑞季さんの怒声と私のなだめる声をさえぎりました。

瑞季さんは美弥さんが回復するのを待つ間、今の状況を説明しました。

すると美弥さんは驚くべきことを口にしました。

「今の・・・私を襲った・・・雛姫さん?」

何かを思い起こしながらなのか、彼女はゆっくりと言葉を紡ぎ始めました。

「私、あの女の人、多分病院で見た」

「病院?」

瞳に困惑したような光をたたえて、瑞季さんは妹を見つめました。

「美弥、どういうこと?」

「・・・私の部署の患者じゃないんだけど、意識不明の昏睡状態でいる彼女を病室で確かに見たと思う」

「・・・なんで、担当じゃないそんな患者の顔を覚えてるの?」

「だって、その女の人、すごく悪い気を発してるせいか、病室の外にまでそれが漏れ出てたんだもの、嫌でも確認しちゃうよ」

彼女が言うにはその雛姫とよく似た昏睡状態の患者の身体からまるで心霊スポットのような穢れた雰囲気が漏れ出していたというのです。

「・・・昏睡状態の患者、それにしてもあの雛姫が患者・・・人間なのか?」

そこまで確認すると、まだ少し納得のいっていない瑞季さんと三人で車に乗り込み発進しました。

「瑞季さん、とりあえずその雛姫とよく似ている女の人のところに行くんですか?」

「そうね・・・でも、もしその患者が雛姫だとしても、どう対処すればいいのか」

「どういうことですか?」

「たとえ、その患者が雛姫だとしても、彼女はこうして呪いの生霊のような存在となって私達を襲っている、そちらを退治するとなると」

「生身の方を押さえれば、いいんじゃないんですか?」

「ばかね、最悪、生身の本体の方を殺したとしても、呪いはより強い念となって襲い掛かってくるかもしれない、そうなるともう手の打ちようがないわ。

呪いに対処するときはね、呪いの主を殺したとしても、それで終わりじゃないのよ」

「あの、そのことなんですが、ひとついいですか?」

「何?」

私は最初に雛姫に襲われた時から抱いていた疑問をおそるおそる説明し始めました。

「彼女が僕や美弥さんを殺そうとしたのは確かかもしれないんですが、何か腑に落ちない違和感があるんです」

「違和感?」

「僕は瑞季さんと過ごしたこの一年の中で相手を殺そうとする生霊や呪いを何度か見てきました。

人を呪えば穴二つという言葉がある通り、誰かを呪い殺そうとするときは呪い主の悪念からも一緒に滅んでも構わないというような破滅の鼓動が僕にも伝わってきました」

私は続けました。

「けれど、雛姫には人を殺そうとしているのにそんな破滅の覚悟というような想いは伝わってきませんでした。

雛姫が神様や妖怪ならそんなこともあるのかなと思っていましたが、もし彼女が人間というのなら、今回の仕事の契約の件だけでこんなことを起こすのはどうしても違和感があるんです」

私の感じた些細な違和感など、彼女には一蹴されるかもしれませんでした。

しかし、私の言葉を瑞季さんは黙って聞いていました。

そして、彼女の左頬がぴくりと動きました。

「・・・いいこと言った」

前を向きながら無表情で瑞季さんは呟きました。

そして、照れくさそうに眼をしばたたいて、ふうと息を吐き出すと真面目な顔になりました。

「こっちの方でもこんなに成長してるなんてね、どう反応したらいいのか分からないわ」

彼女はかすかに微笑みました。

「ちょっと運転代わって」

車を止めると、瑞季さんは私に運転を代わるよう促しました。

彼女は助手席でカバンから何か小さなカードを取り出し、携帯で写真を撮りました。

そして、メールでどこかに送った後、電話をかけ始めました。

「もしもし、黒川です、メールの画像見た?

そう、その画像の人物に心当たりないかしら?」

淡々と声を紡いでいる彼女が電話を掛けたのは心霊事件屋の橘さんのようでした。

「えっ、知ってるうえに探してる?」

橘さんは黒川さんが送信した画像の人物を知っていると言ったようでした。

最初、私は雛姫のことを尋ねているのだと思いましたが、よく考えてみると雛姫の画像など撮る暇などなかったように思えました。

彼女はしばらくの間、橘さんと話をしていました。

そして、彼との電話を終えるとすぐさま別のところに電話をかけ始めました。

「突然、すいません、山本事務長、黒川です」

次は山本事務長と聞こえてきました。

その名前には聞き覚えがありました。

今向かっている美弥さんの勤めている病院で以前起こった死神事件のときに対応してくれた病院の事務長さんでした。

瑞季さんは事務長に雛姫と思われる昏睡状態の女性と接触したい旨を伝えているようでした。

確かにこのまま患者に接触して何か騒ぎが起こってしまえば、警察沙汰になってしまいます。

そのため、事前に了解を得ておくというのは自然な手続きでしたが、あの非妥協的な山本事務長がそんなこと許すはずがないと思いました。

しかし、瑞季さんは事務長の立会いのもとでという条件で患者に接触する許可を取り付けてしまいました。

これには私も美弥さんも驚きました。

「お姉ちゃん、山本事務長とどういう関係なの?」

「いや、この前の事件の後にちょくちょく一緒に飲んでる」

まっすぐ前を見つめながら当たりさわりのない事情を説明しました。

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私達は病院に到着すると、山本事務長に雛姫とよく似ている患者の病室へと案内されました。

そこには一人の女性がベッドに横たわっていました。

女性は頭と手の部分しか素肌は見えませんでしたが、こけた頬は青黒く、骨ばった腕は枯れ枝のようでした。

「・・・前に私が見た時よりもさらに肉が落ちてる、たった二、三日で」

その女性を見て瑞季さんは一言吐き捨てました。

「これが呪いの代償よ!」

瑞季さん曰く、人を呪う行為というのは自身の生命力を消費する行いであり、既に対価となっているということでした。

「実は私もこの症状は異常だと思っていたのよ、そこにあなたからの電話があったでしょ、正直これはとも思ったのよ」

「それにしても事務長がこんなことを許可してくれるなんて、ちょっと驚きというか・・・」

美弥さんは控えめに言葉を発しました。

「・・・まあ、もちろんこの前の借りを返すというのもあるけど、あなたがこれほど必死になって怒ってるんだから、たぶんこの彼女の方が悪いんでしょ」

瑞季さんを一瞥して事務長は苦笑しました。

「・・・信頼してくれて、ありがとうございます」

「でも、私ができることはあなたたちをこの患者に会わせるまでよ、この患者の情報は一切教えられないし、指一本触れることも許さない」

決して強い調子ではありませんでしたが、その言葉は氷の温度を帯びていました。

「十分です、ありがとうございます」

「でも、どうするんですか、黒川さん?」

「この子に直接何かしても、雛姫の方はむしろ強力な悪霊となってしまう可能性もあるから」

そう言うと、瑞季さんはカバンから塩とお米らしきものを取り出しました。

そして美弥さんと二人で病室の壁際に塩とお米を振りまき始めました。

「結界・・・ですか?」

「そう、生半可なものじゃ雛姫には破られちゃうから、二人で強固に作るのよ」

瑞季さんの説明を聞いているそのとき、夜気を切り裂くようなおぞましい音があがりました。

そして、次の瞬間、病室に大きな衝撃が走りました。

まるで地震でも起こったかのように続けざまに振動しています。

「来たわよ、私は雛姫を本体へ誘導するから、美弥は結界を解くタイミングを合わせて」

美弥さんが頷くと瑞季さんは合図を送りました。

「私の身体に何をする!」

甲高い声が直上に現れた闇の向こうから聞こえてきました。

同じ方向から飛来したのは瞳を赤黒く輝かせた白衣の美女でした。

途端に胸の悪くなるような気が病室に侵入してきました。

焦っているのか、もはや彼女は自分のもつ禍々しい気を隠そうともしていませんでした。

瑞季さんは病室に入ってきた雛姫の勢いをベッドに横たわっている彼女の身体の方にうまく流しながら、そのまま身体に叩きつけました。

盛大な衝撃が病室内に響き渡ると、その直後に昏睡状態で眠っていた女が目を覚まし、地獄から響いてくるような叫び声をあげました。

その様子を確認すると、瑞季さんは両手で印を結びました。

「気よ止まれ、混濁し、痺れ、瞬き、地に伏して人型として眠れ!」

雛姫の身体の震えが止まったと同時にその両目がかっと見開きました。

そして、瑞季さんの方を向いたと思うと震えるように暴れ始めました。

「くそっ、どうして、身体から出られない」

「あなたの身体自身に封印の結界を張ったのよ、もうあなたはその身体から出られない」

身体はずっと伏せていたからか、その憎しみと怒りにもかかわらず思い通りに動かせない様子でした。

いえ、それどころか、雛姫の身体がみるみる青黒く変色していきます。

「げほっ、ぐ、ががが」

雛姫は苦悶に顔をゆがめました。

口から溢れた液体が床に滴り落ちていきます。

「これが人を呪うということの代償よ。

自らの生命力を消費するだけでなく、その相手を壊そうとする念が返された時に自分自身を破壊してしまうのよ」

その苦しむ様子に看護師である美弥さんと山本事務長は駆け寄りますが、瑞季さんは黙ってその様子を眺めていました。

「ちょっと瑞季さん、彼女このままじゃ、やばいんじゃ」

「こいつは人を呪って殺してきたんだ、一線を越えた奴が死ぬのは当然の報いだろう!」

彼女は自分の妹や私を手にかけようとした雛姫がどうしても許せなかったのか、私に向かって大きな声で絶叫しました。

「それは違いますよ、黒川さん!」

そのとき彼女の叫びに呼応するように病室の扉が開き、二人の男性が入ってきました。

一人は瑞季さんが先ほど連絡を取っていた心霊事件屋の橘さんでした。

そして、もう一人は雛姫に憑りつかれている司村さんでした。

「彼女は人を殺したりしていません!」

そう言うと橘さんは雛姫の頭を両手で掴みました。

橘さんが気を込めるように力を入れると苦しんでいた雛姫の顔色が少しずつ良くなってきました。

「ど、どうなってるんですか?」

「ふう、雛姫がやっていた害悪な気の生成とは逆の悪い気の無害化よね」

瑞季さんが諦めたように息を吐き出しました。

「そ、そんなことが・・・」

「まあ、元は自分のために会得した技術ですがね」

どうやら心霊事件屋として忌み地や呪物と対峙する際にどうしても忌まわしい気や念に触れてしまうので、その対処のための技法のようでした。

「それより・・・どういうことか説明してもらいましょうか、まあ、司村さんもいるということは大体予測はつくけど」

「ど、どういうことですか?」

「要するにターゲットにされたのは私なのよ」

「この司村という男はちょうど私も探していた呪い屋でした」

「呪い屋、司村さんが?」

先ほど車の中で瑞季さんが携帯で送っていた画像は写真入りの司村さんの名刺でした。

「でも、どうして司村さんが黒幕だとわかったんですか?」

「確信があったわけじゃないけど、あんたが雛姫に命を懸けた想いが感じられないと言ったじゃない。

だから、雛姫とは別に彼女を使役している奴がいるんじゃないかと思ったのよ」

そこからは雛姫の関係者である司村さんが心霊事件屋の橘さんの情報の中にないか確認したようでした。

橘さんに拘束された司村さんは観念したのか、私達に話を始めました。

その話は次のような内容でした。

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元々、大企業の一族として生まれた司村さんでしたが、徐々に学業で落ちこぼれていったことから自宅に引きこもるようになりました。

その生活の中で母親が相談した神職の霊能者と出会い、元々心霊的な力を信じていなかった彼はその霊能者を刃物で殺そうと考えたのでした。

しかし、その霊能者の霊視の力でその思惑を見破られ、それだけでなく訪れた神社で神様に対して不遜な行いをしたため母親が神罰を受けてしまい、死にそうになりました。

そのこと自体は彼も大いに反省したのですが、そこから心霊的な能力の探究に独学でのめりこむようになったということでした。

「そんなときに出会ったのが、そこにいるヒナさんです」

彼と彼女が出合ったのは彼が呪いの実験のために訪れた風俗店でした。

彼はヒナという源氏名だった彼女に呪いの想いを増幅させる呪物を渡してその経過を実験したのですが、その結果は妖怪とも呼べるほどの思念体を作り出すほどでした。

司村さんは再会したからヒナさんそのことを聞き、自分の心霊研究のために彼女と共謀したのでした。

「それでこの界隈で有名だった黒川さんを手ごろな相手として狙ったわけですね」

橘さんの指摘に司村さんは頷きました。

「あの商談で彼女と出会ったときはちょうどいいタイミングだと思いました、でもあくまでフリだけで本当に殺すつもりはありませんでした」

「・・・違うわよ!」

突然の声が響きました。

「私が自分のこの特別な力で・・・さらに先に行くために彼を利用したのよ!」

ヒナさんは私達の話を聞いていたのか、ベッドに横たわったまま反論しました。

「・・・でも、結果はこの通りだ、君は死にかけた、やっぱり呪いの行きつく先は破滅のみだった、今回のことで本当によくわかった」

闇のゲームは終わったとばかりに司村さんはがっくりとうなだれました。

「・・・そうですね、呪いは本当に割に合わない」

「・・・ふん、良くても共倒れ、呪いを返されたら自分だけが破滅、そこだけは本当に真理よ」

瑞季さんと橘さん、二人がともに共通の認識を示しました。

結局、司村さんは橘さんが仲裁に入ったことで人に迷惑がかかる心霊研究を一切やめるということで今回だけ瑞季さんは許しました。

心霊の闇の世界にまでどっぷりつかってしまったヒナさんはその元々持っている強い霊能力も考慮して、風俗の仕事を辞めて真央さんの神社で預かってもらうことになりました。

そののちに橘さんから今回の事件の前にヒナさんと接触があり、その関係で司村さんを追っていたことを聞いた瑞季さんは責任をもって彼女を心霊事件屋の助手として最後まで面倒を見ろと激怒しました。

橘さんも今回の事件にはいくばくかの責任を感じているようで彼女を自分の助手という立場で監視、管理することは了承しました。

そして、司村さんはお詫びの意味も込めて、今回進めていた大阪の大手スーパーとの契約を私達の会社にすべて譲渡してきました。

その結果、もちろん私達の成績にはなったのですが、契約の内容があまりに大きくなりすぎたため、うちの課長が引き続き、瑞季さんと私の二人のコンビでこの取引を受け持つように命令されました。

その際に課長がどうせ付き合ってるみたいだからいいじゃないかと冗談で言われたので、瑞季さんは付き合ってないと怒りましたが、私の教育係が続くことになったことは彼女もまんざらではないようでした。

この契約は今でもうちの部署の一番太い取引として続いています。

これで今回の最後の事件は終わったかのように思えました。

しかし、私にはどうしても気になっていることが一つありました。

それは事件の後病室から出て帰る際、橘さんが瑞季さんに話しかけた時のことです。

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「それにしても彼女は惜しかったですね」

無表情に先に立っている彼女の背中に対して、心霊事件屋の彼は言葉を投げかけました。

答えが返されるまで、わずかな間がありました。

「ええ、もう少しで呪いの概念を超えるところまで来ていたかもね」

私はその会話に大きな違和感が湧きました。

瑞季さんも橘さんも呪いは自らの破滅につながるだけの行為だと先ほど断じていたはずでした。

「助手にしたからって、彼女を変な方向にもっていくのは許さないわよ」

「それは確約しますよ、まさかあんな無茶をするとは私も思いませんでした。

彼女が目指していた地点はあまりに危なすぎる。

人を超越する存在を探求するのは私自身だけで十分です」

二人の会話の中には通常の呪いの概念などを超越した人間が確かに存在するかのような共通認識が感じられました。

それはまるで雛姫が二人の認識している『超越者』に近づきそうだったために、あえて呪いが馬鹿な行いのように諭したようにも聞こえました。

「しかし、今回のことといい、あなたはやはり心霊的な事案に因縁があるようですね。

どうですか、あらためて心霊案件にもう少し関わるようになってみては?

興味はあるのでしょう」

橘さんの指摘に瑞季さんは表情を変えずに何も答えませんでした。

彼女は認めたくはないようでしたが、その沈黙が心霊案件に興味があるということを暗に肯定しているようでした。

「そして、今回の彼女のような安易な希求などではなく、あなたには『超越者』を追い求める、その資格がありますからね」

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「お前ぶっ殺すぞ!」

瑞季さんは反射的にそう言った後、すぐに発言を取り消そうとしました。

「ああっ、くそっ、私的に使ったらカッコ悪いセリフを使っちゃったよ」

本当に殺せるわけないからねと彼女は付け加えましたが、私には先ほどの彼女の言葉には本気の殺気が孕んでいたように思えました。

橘さんは頷くと彼女に非礼を詫びるように会釈をして立ち去っていきました。

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私には橘さんが言った彼女の『資格』という言葉になぜ彼女がそれほど反応したのか、その意味するところは全く分かりませんでした。

それでも、急ぐ必要はないと思いました。

私と黒川先輩の係り合いはまだ始まったばかりなのですから。

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ふたば様、お待ちしておりました。
私もお盆は親戚一同実家に勢ぞろいして、スマブラなどでボン、キュッ、ボンとしていました。
さて、黒川先輩による教育期間も終わり、次回からは舞台は2年目へと突入します。
後輩君の立ち位置は相棒というよりはちゃんと面倒見てやらないといけない弟分ぐらいの感じででしょうか、まだまだですね。

橘さんと繭さんの心霊事件屋コンビもこれから展開されるわけですが、ちょうどポケGOシリーズがポケGO禁止により書けなくなってしまったので、別シリーズにしようかとも思案しています。

そして、他の閲覧者の方も少し混乱していることが見受けられるので、一度紹介文を書こう書こうと思ってまだ書けていないのですが、黒川先輩シリーズの舞台の始まりは2003年4月です、今から14年前ですね、これでも私が物語を書き始めたのが3年前でしたので、もうこんなに経っちゃったのという感じで驚いています。
なぜこのときになって書き始めたかというとこれはそのまま私が何かの形で物語を書き残しておきたかったからです。

というわけで、次回の2年目は2004年春ということになります。
ちなみに7話書かせていただいたポケGOシリーズはポケGOと連動していますので、舞台は当然2016年から2017年となります。
最新話では本編1年目2003年当初21歳だった絵梨花と藍さんは3〇歳に、25歳だった真央さんは39歳となっています、うわーあらふぉーだー!
中年にも大人気ポケモンGOですよ!
ネコミミの黒川先輩が上目遣いでにゃ~んと甘えるシーンは私も心臓が止まりそうになりましたね、本気でこじつけてしまいそうです、どうしましょう。
だ、だめだよ、次回は七不思議のお話なんですよ・・・
どちらのお話が投稿されるのか・・・真相は闇の中・・・

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mami様、いつもありがとうございます。
最初の投稿作でコメントをいただいたことが本当に昨日のことのようにも思い起こされます。

今作は特に狙ったわけではなかったのですが、後輩君の教育期間の締めくくりとなるお話でしたので、気が付くと今までの準レギュラー的な登場人物が大勢出ていましたね。
その点、逆に言うとこの単話だけでは少し背景が分かりにくい展開になったことは今後の反省としたいところです。

さて、後輩君も正式にあちらの方も教育機関(?)を終えましたので、次回は後輩君二年目最初のエピソード『交通事故の多い通学路』のお話になる予定です。
でも、繰り返しますが、予定は予定です。
今後は一旦リセットした気分で新たな物語を展開したり、すべての始まりである黒川先輩のエピソード0を書いたり、藍さんとの三角関係も描いたりしたいです。
それではこれからもお互いによろしくお願いいたします。

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