短編2
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藁人形

ある夏の夕暮れ時。

私は友達の家に行き、いつもより帰る時間が遅くなってしまった。

部活の練習終わりにゲームの話で盛り上がり、友達がそのソフトを買ったと言うので興奮したのだ。

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今日 遊びに行っていいかと聞いたところ快くオッケーしてくれたので学校が終わり、ダッシュで家に帰った。

家には母がいたようだが玄関について荷物を放り投げ、すぐに友達の家に向かった。

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家に着くと友達が出迎えてくれた。

「よう、お前って俺が新しいゲーム買うと来るの早いよなwまあ入れよ」

といった調子で中にお邪魔するとすぐにゲームに熱中してしまった。

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どれくらいやっていただろうか。

外を見るともう夕日が落ちかけていた。

「あ、こんな時間かよ じゃあ俺帰るな」

「おう、またこいよ」

またなと言葉を交わしながら外に出たが、もう薄暗くなっていた。

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急いで帰ろうと早歩きをしながら帰った。

友達の家から自宅までは距離があり、時間がかかるため家の近くまで来ると少し薄暗くなっていた。

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色々な建物があるなか角を曲がり家の玄関が見えた。

ここで何か違和感を覚えた。

玄関に向かって何か小さなものが歩いていた。

藁人形だ。ここから見て20センチ程あるだろうか、

よくイメージするようなあのわら人形が家に入っていくのを見た。

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なんだあれ と足音を立てないように玄関をのぞいて見たが、もうそれは見当たらなかった。

代わりに母が玄関に出迎えた。

「おかえりなさい、今日は遅かったのね。」

元からロクに母とは話さないので「ああ」と言いながら部屋に入った。飯を食べて 風呂に入って さっさと寝た。

飯の時に母は少し具合が悪そうだった。

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朝、父の大きな声で目が覚めた。

急いで下に行って見ると母が倒れていた。

父が焦りながら呼びかけているが目を覚ます気配はない。

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多分救急車を呼んだのだろう。私はショックでその時の記憶が飛んでいる。

病院に運ばれて、医師の人も色々と手を尽くしていたようだが、もう手遅れだったらしい。

母は息を引き取り、周りを見ると父は涙を流して

本気で泣いていた。

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あそこまで父が泣いているのを見たのは、あれが初めてだった。やがて、葬式が挙げられた。

なぜもっと母と話さなかったのか、今では後悔ばかりである。

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あのわら人形が家に入って行ったことと何か関係があったのか。

他の家に入っていくのを2、3度見た事があるが、その家がどうなったのかは分からない。

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