中編4
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幽霊殺し【トイレ】

1つだけどうしても書きたい話がありました。

短編です。よろしくお願いします。

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それは蒸し暑い夏の日のことだった。

「あち~」

俺は自転車を漕ぎ続け、我が高校へと向かう。

(夏休みに登校日があるのはナンセンスだろ…)

愚痴をこぼしつつも学校に着く。

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『ガチャン』

自転車を駐輪させ、俺は教室を目指す。

その時腹部に軽い違和感を覚える。

が、特に気にすることではなかった。

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「じゃあそういうことで頼むぞー」

登校日のメインイベント「掃除」だ。

それ以外本当にやることはない。

馬鹿げている。だが早く帰れるのはいい。

俺の担当はあまり使われていない北校舎一階だ。地学準備室や教材倉庫など、授業として使われる教室はほとんどなく、なんとなくものさびしい雰囲気だった。

…そして一階のトイレでは

幽霊がでるとの噂もある。

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「タオル…持ってくれば良かったな」

廊下のモップがけだけでも濁流のごとく噴き出す汗は、俺のシャツをひどく濡らした。

真夏に放置された車の中のようなサウナ状態。

風通しの悪いそこは、異常な暑さを醸し出す。

なんとか仕事を終え、二階担当の友人の様子でも見に行こうかと、掃除用具を片付ける。

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その時だ。

やはり腹部に違和感を覚える。

「トイレ…行ってみるか…」

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『バタン…』

洋式に腰をおろす。個室は何故か涼しかった。

(なんだこれ…快適かよ…)

まさかトイレで感動できるとは…

と、思ったのも束の間

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(涼しすぎる…というか…え、寒い!?)

その瞬間、あることを思い出した。

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去年の夏、ここ北校舎のトイレで、俺の竹馬の友であった鍋田君が冷たくなって見つかった。

幸い一命はとりとめたものの、「インフルエンザの天敵」の異名をもつ彼が、なんと風邪をひいた。

また、奇妙なことに鍋田君の腰の辺りには手形のような痣ができていたらしい。

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(もしかして鍋田君はこの霊に…)

「インフルエンザの天敵」が風邪をひくということはすなわち常人の死を意味する。

(逃げなければ…!)

だがお決まりの金縛りで動けない。

その個室はもはや真冬の寒さであった。

「な…!?」

特に尻部に猛烈な寒気を感じて真下を見ると便器の奥底は真っ暗な暗闇に繋がっていることに気づいた。

そしてそこには何か恐ろしいものの気配を感じる。

そして俺は諦めた。

圧倒的な恐怖、死、寒さ…

生きることを諦めるには充分な理由だ。

全てを諦めた俺は全身の力を抜いた。

次の瞬間………………

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「ブリリジュジュジジ…ジューブチチチリュリュリュ…ブチブチッ!!!!」

魔王サタンが苦しげな産声をあげる。

前日の「豚のニンニク炒め」の食べ過ぎと、猛烈な寒さで、お腹が崩壊したらしい。

しばらく魔王出産の協奏曲は止まらない。

「ボブー…ブチュチチチチチ…ブチ!ブチ!」

もはや原型を留めていない「それ」を俺は惜しむことなく放出した。快感であった。

刹那……

「くっせえええおぼぼああええええ!」

恐ろしい断末魔のような叫びがどこからか聞こえた。それは本当に悲痛な叫びであった。

直後………

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「ミーンミンミンミンミンミー!!」

蝉の声と共に現実は目覚める。

辺りは俺の「それ」で地獄の臭気につつまれていた。だが俺はしばらく「それ」を流さずに心から感謝した。

俺のために肉となってくれた豚にも…

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しばらくして廊下にでると友人が嘔吐していた。死にそうだと言っても過言ではない。

「大丈夫か!?鍋田君!!!」

俺は竹馬の友鍋田君を保健室へ連れていく。

(霊の仕業か…!?)

と思ったが、鍋田君いわく、

『北校舎一階で毒ガスが発生している』

とのことだった。

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「本当にすみませんでした…実は…」

俺は全てを告白した。

霊の件は信じて貰えなかったが、

その殺人級の臭いについてはなんとか理解してもらえた。俺がすぐに流さなかったのが原因だ。

その事件はすぐに学校中に広まった。

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『あいつ、あの鍋田を嘔吐させたってよ』

『喧嘩か?』

『毒ガスらしいよ』

『は!?退学だろ』

『冗談冗談(笑)なんでも、トイレで…カクカクシカジカ』

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そんなことがあってからトイレでの霊の噂は一切聞くことがなくなった。

学校には平和が訪れたのだ。

だが、その後北校舎一階は、様子を見に行った生徒6名が意識不明の重体で病院に運ばれたために封鎖されることになった。

ちなみに俺はそれから「魔獣の殺人毒ガス」と呼ばれるようになった。

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面白いですね!

終わりがいいです。

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@ざわわ 「俺」にも同情してください(笑)

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@。❀せらち❀。 はじめまして!
コメントありがとうございます。
楽しんで(?)いただけて良かったです!
ただ診察前はなかなかきついですね(笑)

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