短編1
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写真

「ちょっと出掛けてくる!

写真たくさん撮ってくるから楽しみにしててよ。

いってきます!」

そう言って出掛けていった息子を、いつものように見送った。

1人の家はとたんに静かになる。

家事を済ませてソファーに座っていると、いつのまにか眠ってしまったようだ。

「母さん、ただいま」

息子に起こされて目を覚ますと、窓からは夕日が差し込んでいた。

「おかえり。早かったね。

 すぐご飯の用意するから」

「ご飯は後で良いからさ、一緒に写真撮ろうよ」

「なに、珍しい」

「いくよー!はいチーズ」

息子は写真を確認して満足そうに笑っていた。

「母さん、大好きだよ」

改まって言われると照れるものだ。

「ありがとう。私も大好きよ。

…でも、どうしたの急に」

ジリリリリリリリ…

何かあった?と聞こうとしたところで、けたたましい音を立てて電話が鳴った。

「ちょっと待っててね」

電話は、息子の事故を知らせるものだった。

さっきまで話していたはずの姿はなく、そこには出掛けていった後と同じ静寂があるだけ。

テーブルの上に残ったカメラには、笑顔の息子と私の姿が映し出されていた。

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