短編2
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理想のタイプ

ひとりの女性が、ある男性に恋をした。

今まで異性と交際したことがないどころか、告白すらしたことがなかった彼女。

「優しい彼なら、私のことを受け入れてくれるかもしれない」と、勇気を振り絞って告白することを決意した。

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そしてある日、好運にも意中の男性と二人きりのシチュエーションに恵まれたとき、彼女は思い切って告白をした。

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しかし、彼女の想いも虚しく、彼の答えは「ノー」だった。

彼の返事はこうだった。

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「気持ちは嬉しいけど、それに応えることはできないよ。僕はね、色白で、ポッチャリとした女性が、好みのタイプなんだ」

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人生で初めての失恋。

その失意の中、彼女は鏡に写った自らの容姿を憎んだ。

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肌は少し老けて見えるほど浅黒く、女性的な丸みを帯びたボディラインとは程遠い、ガリガリタイプだったからだ。

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すでに、意中の彼のことで頭がいっぱいだった彼女は、絶望の淵に追いやられた。

だが、彼女は諦めなかった。

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彼の理想のタイプに近づくためにはどうしたらいいのか、来る日も来る日も思い悩んだ。

その結果、彼女はひとつの答えをひねり出した。

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「彼に愛されたい」

その強い想いに突き動かされ、一心不乱で彼の住まいへと向かった。

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*********

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男性は長期出張を終え、一週間ぶりに独り暮らしのマンションに帰宅した。

出張の疲れを癒すため、シャワールームに向かう彼。

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そこで、言い知れぬ胸騒ぎを覚えた。

シャワールームに充満する、日常嗅いだことのないような不快な臭い。

「何の臭いだろう?一週間も家を留守にしていたから、排水溝にカビでも生えたかな?」

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不吉な予感に襲われながらも、とりあえずバスタブに湯を張ろうと、フタを開けた瞬間!!

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「ぅぅうううわあああああぁぁぁ!!」

ひきつったような悲鳴を上げ、後ろの壁にもたれかかる彼。

あまりにもおぞましく、信じがたい光景を目にしてしまったのだった。

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バスタブにはすでに水が張られていて、その底に人間が横たわっていたのだ。

それは女性のようだった。

全裸であり、死んでいるのは明白だった。

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皮膚は水分を吸ってブヨブヨに膨れ上がり、ふやけて真っ白になっている。

目は虚ろに開き、生気は失われ、無表情のまま微動だにせず天井を見上げていた。

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あまりの恐怖に狼狽える彼。

そんな中、どこからともなく女性の声が響いてきた。

それは頭の中に直接語りかけているかのようだった。

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「さあ、私を見て!色白で、ポッチャリ…どう?あなたの理想の女性になれたでしょ?もうこれで私達は恋人同士。いつまでも一緒よ」

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すると、死んでいるはずの彼女が、ほんの一瞬だけ、不気味に微笑んだように見えた。

彼は、水面が揺らいで、そう見えただけだと信じたかった。

・・・

・・

Concrete
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これで22作目の投稿になります。
今数えてみたら、まだ投稿してない過去作品が20以上ありました。
自分でもビックリ!?
コピペせずに、加筆修正しながら直接入力しているので、連投せずに地道にやっていきます。
そのあいだに、頭の中で新作の構想が勝手にドンドン練り上がってしまう…
まぁ、僕が書くものは、いつも「ナニかが足りない」感が出ちゃうので、あまり期待せずに今後もおつきあいください。
よろしくお願いいたしますm(__)m

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