中編5
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幽霊とかわる方法

「ねぇねぇこの噂知ってる?」

大学の1限の授業中に友達からそんな話をされた。

「噂?」

この友人はよく噂話を拾ってくる

いつも朝からハイテンションな友人だ。

それにしてもいったいどこで

聞いてくるのか分からないが、

変な噂をいつも俺に話してくるのだ。

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「そう!幽霊になれる噂!」

「は?何それ、死んだ後の話?」

死後幽霊になれるということだろうか?

それはなってみたいような

そうでもないような感じがする。

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「違う、違う」

手を振って大げさに否定する友人

「じゃーどういう話なの?」

友人の語る幽霊になる方法は以下の通り

まず、紙にあ~んまでの文字を書き、

紙の上部に鳥居を描く。

そしてその鳥居の横にはい、いいえと書くのだ。

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これこっくりさんじゃない?

その考えが分かったのか友人は

「最後まで聞いてくれ」

と言ってきた。

以下続き

あ~んまでの五十音に赤で○を予め描くそうだ

それは「か」「わ」「つ」「て」の四文字

そして鳥居の横にある「はい」に○を描く

これを書いた紙を枕の下に置くということ。

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「これなんでかわってなの?」

「噂だとこれで幽霊の見ている所を

 変わって見せてくれるらしい」

嘘くさい。

非常に嘘くさい・・・

「これ幽霊になれる方法って言わなくない?」

「細かいことはいいじゃないか

今日一緒にやろうぜ!」

「お断りさせていただきます」

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「牛丼おごってやるからさ」

「しょうがないな」

俺の意思は弱かった。

貧乏学生にとって、

嘘くさい噂よりも食べられるご飯なのだ。

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そうして俺は牛丼特盛汁だく卵付を

満足気に食べ久しぶりに腹いっぱいになった。

「ちくしょー、遠慮なく食いやがって」

「ははは、でもその嘘くさい噂のやつ

ほんとにやんの?」

「やる!だって面白そうじゃん?

出来なくてもネタにはなるって」

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そういいながら友人の家に向かった。

夜遅くまでゲームやテレビなどを見て

時間は深夜0時になっていた。

「よし、そろそろ準備しよう」

そう言いながら友人は紙とペンを用意してきた。

俺がテレビ見ている間にまずベースとなる

こっくりさんのような紙を作っていたのだ。

「ほらこれお前の紙ね」

そう受け取り、いまさらになって

これほんとにやるのかと内心思い始めていた。

霊感はないが幽霊ってのは

あると思っている。

噂自体は嘘くさいが、

何か気味が悪いと

思い始めていた。

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友人はさっそく○を書いて枕の下においている。

俺はそれを見ながら自分に配られた紙にも

同様に○を書き始めた。

「よし、じゃー寝ようぜ!

どうなるか、楽しみだ」

「何もないと思うけどね・・・」

明日は朝から学校のため、

アラームをセットして

そのまま眠った。

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俺は外を歩いている。

ここはどこだろう。

今自分の意思とは無関係に

体が勝手に動いている。

だれもいない道路、

青で点灯している信号

でも車は通っていない

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信号まで来ると見覚えのある景色だった

そうだ、

あれは友人の家に行く途中にあるコンビニだ

場所が分かった瞬間、

どこか漂っていたような体が

明確に動き始めた。

そのまま俺の体は見慣れた景色の住宅街を

進んでいった。

あぁそうか友人の家に向かってるんだ。

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そうして玄関のドアまで来た。

不思議だった。

ゲームのようにまるで

外から町へ移動するように

一瞬で玄関の中に入っていた。

そのまま、進みドアを通りぬけて

部屋で二人の男が寝ているのをみつけた。

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誰かが寝ている。

誰だろうか。

部屋に入っても俺の体は勝手に進んでいく。

寝ている二人の男、

そのうち一人は友人だ。

じゃあ

その隣の男は?

俺だ。

俺が寝てる。

じゃあ今の俺はなんだ?

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そう考えていてもまだ体が止まらない

徐々に俺の体に近づいている。

まるで寝ている顔を覗き込んでいるように。

なんだかこのままではまずい気がしてきた。

その時、

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「♪ーーーーー」

スマホのアラームだ。

俺はその音で目が覚め

絶句した。

目の前顔20センチの所に

凄い形相をした女がいた。

「うわー!!」

俺は飛び起き、周りを確認した。

もうあの凄い形相をした女はいない。

あれが幽霊なのか?

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俺は息を整えて。

まずスマホを見た。

時刻は4時

どうやらアラームをセットするときに

時間を間違えたらしい。

俺はアラームを止め

隣の友人を見た。

寝ているのかと思ったが違った

目を開け、よだれをたらし、痙攣している

いや・・・様子が少しおかしい。

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「カワッテカワッテカワッテカワッテ」

小声でぶつぶつと何かしゃべっている。

「おい、起きろ!!」

ゆすっても起きない。

「おい!!目を覚ませ!!」

バチッッ!

頬を強く叩いた。

まだ友人の痙攣は治まらない。

俺は思いつきで

友人の枕の下にある

紙と俺の紙を二つ抜き取り、

外へ出た。

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まだひんやりしているが、

徐々に太陽が出てきているようだ。

俺は二つの紙をタバコで使っている

ライターで燃やした。

そして台所から塩を探し、

友人にぶっ掛けた。

そしてまた無理やり上半身を起こし、

叫んだ。

「目を覚ませ!!!」

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少しずつ痙攣が収まり、

友人が徐々にではあるが意識を

取り戻した様子だった。

「なにこれ・・・顔がすごいたいし

なんかしょっぱい」

俺はあきれつつ元に戻った様子の

友人をみて安堵した。

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翌日の大学1限

ほぼ単位取得のための授業であり、

教室の一番後列という中々の席を

確保していた。

「いやー・・昨日はほんとにやばかったよ」

いつもハイテンションの友人だが、

さすがに今日は沈んでいた。

「昨日さ、夢?なのかな

見覚えるある場所を動いていて

どんどん家に近づいていくんだ」

そこは俺と同じようだ。

ただ話を聞いていると俺よりも

早く部屋に戻ったようだ。

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「それで自分の部屋に行くとさ

自分とお前が寝てるんだよ

あれ?って思ったんだけど

段々自分の顔に近づいて

そこで意識がなくなったんだ」

あぶなかった。

俺ももう少しであぁなってたのか。

「これ「かわって」てのはほんとにそのまま

幽霊と代わるって事だったな」

ほんとだよと愚痴る友人

もう絶対こいつの変な噂に乗らない。

つまらない授業を聞きながらそう思った。

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@適当人間―駄文作家 様
ありがとうございます!
怖いと思っていただけるとうれしいです。

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