中編3
  • 表示切替
  • 使い方

他人への関心

今日は久しぶり休む事が出来た。

ここの所日曜日も仕事をしなければならない事が多く

まともな休日を取るのは本当に久しぶりだ。

今日は新宿へ買い物へ行き、久しぶりに服を買った。

買ったといってもユニクロだが。

nextpage

最寄駅に戻りここから自宅まで歩いて15分程度

そこそこいい運動になる距離だ。

ただ少し喉に乾きを覚えた。

「そういや近くにあれが売ってたな」

家に帰る道から少しだけ外れてしまうが、

少し歩いた所にある郵便局

その前に自動販売機が4台ほど列を成して並んでいる。

その中に俺のお気に入りのジュースが売っている。

【北海道夕張メロンミルク】というジュースだ。

俺はこれが大好きなのだが、これが中々売っていない。

たまにこれを飲むためだけに寄り道をするくらいには好きなジュースだ。

120円を払い自動販売機から取り出した。

空き缶は後で捨てるのが面倒だからその場で飲む事にした。

nextpage

そこでふと視界に何かが映った。

人だ。

恐らくホームレスだろう。

少々ボロボロの服をきて、風呂に入っていないのだろう。

肌は見るからに黒く、汚れていた。

彼は郵便局の前で座ってビールを飲んでいるようだ。

nextpage

『あぁいうホームレスの人ってどうやってお酒とか買ってるのかな』

などとどうでも良い事を考えながら自分もジュースを飲んでいた。

そして飲み終わり空き缶を捨て帰る前に何か食べて行こうかなと

考えた所で、

ホームレスの男性は横たわって寝ていた。

日曜日だけ昼からお酒飲んで道端で寝るんだもんな。

好きに生きてるっていうのかな。

なんて考えていた。

nextpage

なんだ・・・

視線を感じる・・

nextpage

良く見ると寝ているホームレスの男性が

寝ながらこちらを見ていた。

というより睨んでいる?

まずい、じろじろ見ていたのがばれたのか。

俺は急いでその場を離れた。

nextpage

少し小腹がすいている。

少し戻る形になるけど近くに、から揚げを食べ歩き用に

購入できる店があるので、そこへ向かった。

少し並んでいるが、10分程度で購入できた。

俺はそれを口に頬張りながら帰る事にした。

帰る途中またあの自動販売機の前を通る形になる。

まだあのホームレスの男性は寝ているのだろうか。

そう思いながらまたあの場所に近づいていくと

なにか少し騒々しくなっている。

nextpage

「大丈夫ですか!?」

「救急車は!?」

「今呼んだ!後は警察!!」

なんだ、事件か?

俺は人が集まっている所へ向かった。

nextpage

その人だかりの中心にはあのホームレスの男性がいた。

寝ている男性の近くに女性と男性がいる。

女性は近くに買い物袋を持っている主婦だろう。

男性は彼女の夫だろうか。

一生懸命ホームレスの男性に呼びかけている。

「何かあったんですか・・・?」

俺は思わず近くいた人に聞いてみた。

nextpage

「あぁーなんかあのおっさん、

 倒れていて今意識がないらしいよ」

倒れている?

意識がない?

混乱している所に救急車が来た。

直ぐに倒れている男性の近く行き

脈拍などを確認している。

そのまま心臓マッサージと、人口呼吸が始まった。

nextpage

心臓が止まっているのか・・・

いつからだ・・?

もしかして俺が寝ていると思った時から・・・?

あの睨んでいる目はもしかして・・・

助けを求めていたのか・・・・

nextpage

あの男性はそのまま救急車へ乗って運ばれていった。

心臓が止まってから時間が立っているらしく

恐らく助からないんじゃないかと周りの人たちが言っていた。

「もっと早く発見出来れば良かったのに・・・」

そう言っている主婦の女性の言葉が俺に強く心に残った。

Normal
コメント怖い
2
4
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信