短編2
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ぴちゃぴちゃ

一番最初に、

これは実話です。

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私は某施設の調理担当をしている者です。

職場は田舎にありもう務めて3年になるのですが、

普通の飲食店とは違い閑繁の差が激しく、

夏は人で溢れ賑やか冬は誰も居ない静かな所にあります。

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今からお話する事に気付いたのはつい2週間前の事でした。

閑散期にあたる今の時期は独りで厨房を切り盛りすることがありその日もそんな夜でした。

お客様が少ないとは言え独り作業は片付けに時間が掛かり22時を回ってしまいました。

20時で街の灯りが消えてしまう田舎なので

体感的には2時とかそんな感じです。

厨房内は機器のモーター音など普段から何かしら音が鳴っており

最初はそれに気付きませんでした。

最後の締めの伝票を整理していると

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「ぴちゃぴちゃ…」

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と水の流れる音がしました。

もちろん厨房ですから水は当然使いますし、

例え水をシンクに流していなくともドレンから出て排水溝に流れたり

厨房ではごく当たり前の音でした。

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「ぴちゃぴちゃ…」

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いつもは気にならない類の音なのにその日はやけに大きく感じ、

気になってどこから鳴ってるんだろうと出どころを探しました。

最初は普通に音の鳴る方へ歩み耳を済ませましたが、

近づくとその音は聴こえなくなりました。

おかしいと思い今度は足音も立てずそっと根源に近づいてみると

その音は排水溝の中から聴こえてました。

(やっぱり普通に水が流れてるだけか)

と思い排水溝に目をやるとキラキラ光るものが見えました。

(やっぱり水かな…)

もう少し覗き込もうと思ったのですが

独りでこの時間帯というシチュエーションが多少の恐怖を思い起こさせ、

ふと本能で確認するのは止そうと思いました。

そしてキラキラから視線を外し顔を上げようとした瞬間…

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『バサッ』

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視野ギリギリの見えるか見えないかのところで排水溝の中で何かが閉じた感じがしました。

そしてすぐそれが何か検討付きました。

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目です。

それも人間の目。

排水溝は厨房内の排水を集める幅、深さ20㎝ほど掘ってある溝なんですが、

ここの蓋は鉄で出来ており、

所々に3㎝ほどの穴が開いてるものです。

その穴を見上げるように「まばたき」を誰かがしたのです。

キラキラ見えたのは眼球が光を反射したもの、、

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私の働いてる施設は昔、臨海学校として足立区が管理しているものでした。

それをリノベーションして宿泊施設として営業しています。

築50年は過ぎてる古い建物で、その昔は海水浴が人気だったそうです。

当然、海水浴場ですので水難事故もあったらしく

普段プールで目を開ける練習をしていた子が勝手の違う海で目を開けれず溺れ

沖へ流されて亡くなったという悲しい事故も起きていたようです。

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それからというもの、

私は独りで夜仕事をする時に無駄に独り言いったり音楽掛けたりしてます。

あの音を聴かぬように

Concrete
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@bleu 様
まぁ、そうでしたか。
冒頭、実話です。と書かれてございましたから、てっきり信じてしまいました。
実話は、フィクションのように。
フィクションは、実話のように。
と、はいうものの、う~ん・・嘘はいただけませんね。
次回は、騙されませんよ。(笑)

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