短編2
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炭焼き窯

祖母から聞いた話。

白浜町の見草という地区から、しばらく山の奥へ入っていくと小さな池がある。

その辺りは昔から人が寄り付かない、とても寂しいところだったそうだ。

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戦前の話らしい。

その池の近くに、田辺から一人の炭焼きがやってきた。

「こういう人気のない所の方が、上等な木ィが仰山ある」と考えたらしい。

小屋掛けをし炭焼き窯を拵え、早速仕事に取りかかったそうだ。

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昼間は辺りの木を伐り、伐った木に楔を打って真っ直ぐにする。それらを束にして窯の中に立てて入れ、窯に火を付ける。

普段ならば、それで立派な炭が出来ている筈だった。

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しかし、翌朝になって炭焼き窯の中を見てみると、入れておいた木は全て燃え尽き、灰になっていたそうだ。

やり方を変えて試しても、どうしても上手く炭にならない。

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ある晩、

「今日こそは成功させたるぞ」と、

いつも通り窯に火を入れてから、その前に座って不寝番をすることにした。

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やがて時間が経ち東の空が白んできても、窯に変わった様子は見当たらない。

「上手いこと行きそうや」

胸をなで下ろして、窯の中を覗いてみた。

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しかし、

これまでと同様、窯の中に炭は一切残っておらず、全て灰になっていたそうだ。

「おかしいなぁ」流石に男は首を捻った。

どうしても納得いかず、炭焼き窯の周りを見回してみると、

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小さい子どもの手や足の跡が、ペタペタと窯一面にびっしりついていたそうだ。

男は震え上がり、小屋も窯もそのままに、そこから逃げ出したということだ。

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祖母が白浜町在住の友人(同年代)から聞いた話らしいです。

見草の辺りではよく知られた話で、今でも池の近くに炭焼き窯の跡が残っているそうです。

しかし、手や足の跡を付けた正体については、よく分からないとのことでした。

Concrete
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