紀の国怪異譚(短編5本)

短編2
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紀の国怪異譚(短編5本)

集めた話の中で、短いものをいくつかまとめて投稿します。全て和歌山での話です。

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大塔村鮎川の人から聞いた話。その人の曾祖父が小屋にいると、大きな笑い声が聞こえてきた。

外に出てみると、何か真っ黒い大きなものが笑いながら山から降りてきたので、急いで小屋に逃げ戻ったそうだ。

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しばらくして外から戸が叩かれたかと思うと、ギャッと叫び声がした。

夜明けになって外を見てみると、鹿の生首が投げ捨ててあった。血はすっかり乾いていたそうだ。

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同じ集落のAさんが子どもの頃の話。

友達と二人で富田川の川原で遊んでいると、

「綺麗なかんざしが流れてくる」と突然友達が言い出した。そして「ちょっと取ってくるわ」と川へ飛び込み、そのまま行方不明になった。

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数日後、下流で遺体が発見された。肛門がすっかり開いてしまっていたという。

一緒にいたAさんには、かんざしは全く見えなかった。

ゴウラ(河童)がかんざしに化けて友達を誘い、肛門から身体の中を探ったのだ、と言っていた。

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市鹿野の山中で、猟師の仕掛けたトラバサミに狐が掛かり、足を一本失った。

後日、狐が仕返しに猟師の幼い子ども2人を滅茶苦茶にかみ殺して逃げた。

今でも時々、三本足の狐の足跡を見ることがあるそうだ。

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中辺路町野中の話。ある人が山仕事に出かけたまま二日経っても戻らないので、村の人達が探しに出かけた。

山に入ると、狸らしい足跡が、その人の足跡と並ぶように点々と続いており、崖の縁でどちらの足跡も途切れていた。

その人は狸に化かされて崖から落とされたのだろうと、人々は噂したそうだ。

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龍神村での話。

今から五十年ほど前、ある人が夜に友達の家から山道を帰っていると、障子くらいの丈で白い布を被ったものがいた。幅も障子ほどで、その辺をうろうろしていたそうだ。

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元々変な謂われがあるところだったので、怖くなって友達の家に引き返し、その晩は泊めてもらって翌朝帰ったことがあったという。

この人以外にも、同じような経験をした人が何人かいたそうだ。

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