中編3
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ひな人形の犠牲

初めまして。今からお話しする内容は私の姉が体験した実話です。

私は夕方にアルバイトから上がり、姉が仕事終わる時間が近かったので一緒に帰ろうと思いました。いつもはバスで帰るのですが、その日はバスで帰るのが面倒になりタクシーを選びました。だいたい姉は20時ごろに仕事が終わるので待っていました。

姉が仕事から上がったのでタクシーを呼び、行き先を伝え自宅に向かい、何気ない会話をしながら向かいました。

自宅、団地の前まで到着し、私は先にタクシーを降り、階段を上がり始めていました。姉もタクシーを出てポストから手紙を取り出しているときにふと、タクシーのほうへ振り返ってしまったそうで、

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その時に乗っているはずのない女の人を見てしまったのです。しかも、その席は私の座っている席でした。その女の人は、少し若く、服装は花柄のスカートに上はセーターを着ていたそうで、姉がその女の人に気づいたとき、その女の人も姉に気付き、振り返ってきたのです、しかし姉は目を合わせたらまずいと思ったのか目が合う前にその場を後にしました。車内にいるときはこれといって何も感じなかったのですが、、、。その話を聞いたのは、私が階段を上がり始めてすぐでした、姉が焦りながら上がってきて小さく震えた声で伝えてきました。最初はタクシーになにか忘れものをしたのかと思いましたが、内容は期待を大いに裏切りました。

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何度か姉から幽霊類の話を聞くことはあったのですが、自分がその場に居合わせることはなかったので正直気味悪かったです。それと同時に私は生まれてから幽霊を見たことがなかったので、わくわくしてしまいました。

そのあとも特に何か起きるわけでもなく、数週間が立ち、ふと姉からとても信じがたい話を聞いたのです。ひな祭りシーズンに姉が仲の良い友人の家に行った時の話です。友人の家には7段くらいのひな人形が飾られていました。友人と部屋を上がりひな人形の前を通った時、「バリッ」と大きな音がしたと同時に、なんと3体のひな人形の顔が割れたのです。

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それは姉の友人もしっかり見たそうで二人は放心状態だったそうです。そのあとひな人形の状態を確認したところ3体とも顔が大きく斜めに割れていたのです。正気に戻った姉と友人は、顔が割れてしまった3体のひな人形をお寺に供養しに行きました。その時にお寺の人に「あらら、どうしてこんなに割れちゃったの。」と少し動揺していたそうです。姉はその人にお祓いを進められ、その日に友人と東京の雷門へ行ったのです。そこでは無料でお祓いが行われていたので姉はお祓いをして貰うことにしました。

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いざ部屋に入ったときに先に入っていた人たちが姉を見てヒソヒソと話し始めたそうで、姉はいてもたってもいられず、「何ですか?」と聞き返したそう、するとその中の1人が隣に女の人が立っていると言われました。正直私が姉なら理解しがたい状況です。幽霊がついてしまっている人はお祓いをされているとき、どこかしら痛みを感じるらしく、姉の場合は右足でした。痛すぎて終わった後立てなかったと言っていました。私には到底理解しがたい領域でした。

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それはやはりあの日見てしまった女の霊がついてきてしまったのでしょうか、なぜ友人のひな人形が3体も割れてしまったのかは未だにはっきりわかりません。ひな人形は身代わりになってくれるという話も聞きますが、、。あるいは警告だったのでしょうか。

幽霊を見てみたいという好奇心は、見える人には逆に理解できないものなのだと感じました。

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