短編2
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電車違い

仕事を終え、いつものように電車を待つ。

毎日の事だが、この時間は帰宅ラッシュでホームは仕事を終えた沢山の人たちで混み合っている。

僕はスマホを取り出し、今日見ようと思っていた動画を再生し、イヤホンを耳にあてた。

ほどなくして電車の到着を告げるプシュウという音がした。僕は画面を見たまま視界の隅に電車の姿を確認した。

車内に乗り込むとシートは全て埋まっていた。なので僕は仕方なく扉近くの吊り革につかまった。

ふと、窓の外を見ると、なぜかホームにはまだたくさんの人たちで溢れていた。

違和感と胸騒ぎが僕を襲う。

たった今この電車に乗り込んだはずの人たちが、まるでこの電車なんて見えていないかのようにホームで電車を待っている。

乗り込んだのは僕だけ?急に不安になり、シートに座る人たちを見た。

彼らは人のようで人でないように見えた。そこにいる人たちはみな、マネキンのように動かないのだ。

僕は必死でドアや窓を叩いた。

しかし、外の人は誰一人として僕に気づいてくれない。

無情にも電車が動きだす。

僕はここへ来て、スマホを見ながら確認もせずに電車へ乗り込んでしまった事をひどく後悔した。

ホームを過ぎるといっぺんに景色がなくなった。窓の外にはただただ白い空間のみが広がっている。

すぐに降りたいけど、こんな何もないところには降ろされたくないから、出来ればさっきの駅まで引き返して欲しい。

そう乗務員に抗議しようと思ったが、なぜか体が固まったように動かないし、声も出せない。

相変わらずシートに座っている人たちは動かないけれど、まわりから彼らの視線を痛いほど感じる。

つい乗り違えてしまったこの電車は、いったいどこへ向かっているのだろう?

Concrete
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