中編3
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友達のバッグ

学校の中で変な流行りがたまにある。

消しゴム飛ばして遊んだり、のりを乾かして綺麗に乾かしたものを剥がして綺麗さを競ったり。

そんな中でもファッションに少なからず芽生えだした年頃だったのだろう。

学校の中では何故かバッグブームが到来していた。

自分が気に入ったバッグを学校指定のバッグと交換して学校にしょってきて、何処で買ったとかの話で盛り上がっていた。

何故バッグなのかと言うとブームの火種役になった人が毎日カッコいいバッグで投稿してきていたからなのだ。

その人は学年で顔がカッコいいと評判だった。

背も高くて最初見たときは外国人かと思ったほどだった。仮にT君とする。

そんなT君がカッコよくバッグをしょってくる姿はなんともまぁひとつの美術品を見ているようだった。

そんなバッグブームのある日、帰りにT君が一人で歩いているのを見つけて後ろから走って声をかけた。

前々からT君がしょっているバッグが気になっていたのだがクラスの中心的存在に学校の中で話しかけるのは少々おっくうだった。

声に気づいたT君は笑顔で「おう」って返事をしてくれた。

それでそのバッグは何処で買ったのかを聞いたら

「これはおばあちゃんが作ってくれたんだ。それにバッグじゃない。」

とT君は笑って話してくれた。

手作りなら売ってるはずがないと納得した。

町でいくら探しても同じものが見つからない謎が解けてスカッとした。

「わかった、ありがとう!」って言ってそのままT君と楽しく話ながら帰った。

帰ってから楽しかったなぁと色々してから布団をかぶった。

満足げに布団に入ってからちょっと会話を思い出してた。

「バッグじゃない。」そういったT君が脳裏をよぎる。

「バッグじゃない?え?どいうこと?」

途端にその事が気になって気になってしょうがなくなってしまった。

あれが、あのどこからどう見ても革で作られたバッグがバッグじゃないって?

聞き間違いかとも思ったけど、やっぱり聞いた。

気になり出したら多分もう寝られないと思ったから一時間くらい悩んで最終的には「T君の甲羅」ってことにして眠った。

それから夢を見た。

自分はT君の横で話ながら帰っている。

T君は笑ってる。

回りは田んぼのあぜ道が続く。

そんな中T君は唐突に「俺のこの中みる?」

としょっているバッグを指差した。

そういわれて見たら謎が解けると思い「何が入ってるの?」っていいながらチャックを開けた。

そしたらヌルッと人の手が出てきて、右腕を捕まれた。一瞬の出来事だったから反応が遅くなって10秒くらいたってから「うぁぁ!何これ!?」って叫びながらその手を振りほどいた。

その時にちょっとだけ爪で腕を切った。

少し離れて目を見開いたままT君をみたら

「な?バッグじゃないだろ?」って言われて目が覚めた。

飛び起きて辺りを確認したら朝になってて

時間は6時過ぎを指してた。

それからその日学校に行きT君になんとなく

「バッグじゃなく籠?」

って聞いたら「そうだよ」って言った。

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