中編3
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少年

高校のころ付き合っていた女の子から聞いた話をしよう

彼女には霊感がある

以前投稿した話の中心人物だ

彼女、香奈枝(仮名)が子供の頃に体験したことらしい

香奈枝は小さい頃メゾネットタイプのアパートに住んでいた、香奈枝の部屋以外に部屋が4つプラス物置と離れのような部屋がある

香奈枝のお母さんはその離れでピアノを教えていたらしい

香奈枝もお母さんからピアノを教わっていた

古い建物で、霊感のあった香奈枝はここでいつも怪奇現象にあっていたらしい

幼稚園児くらいの頃はそこに現れる「もの」と怖がることなく接していたそうだ

そんなだから、普通の友達もおらず、幼稚園でも浮いた子だったという

それでも香奈枝は寂しくなかった

家に居れば仲良しの一人の少年がいたからだ

二人はたくさん遊んだ、おままごとや、かくれんぼ、一緒にアニメを見て過ごした

そんな香奈枝を両親は幼稚園児ということもありあまり気にせず、所謂イマジナリーフレンドと考え、香奈枝に話を合わせていた

しかし時がたち香奈枝も小学生になっていた

さすがに両親もおかしいと思い始める

そして、現実の友達を作ってもらいたいと、医者にみてもらうことにした

そこで香奈枝はカウンセリングをうけそれはいないものだと、刷り込まれた

香奈枝は少年を無視するようになった

そして、学校で友達をたくさん作った

いつしか、香奈枝は家に現れる「もの」を怖く感じ始める

少年は香奈枝の前に現れては以前のように遊ぼうと誘ってきていた

香奈枝「もう、遊べない!あなたとは遊べないの!あなたはいないの!」

香奈枝は声を荒げた

少年「そっか、香奈枝ちゃんもなんだね

わかったよ

じゃあ、香奈枝ちゃんがピアノを弾いてる時だけ、聞きに来るね」

そう言うと少年はいなくなった

その後少年は現れなかった

他の「もの」は現れたりしたが、香奈枝はもう気にしないようにしていた

それから数年が過ぎ、香奈枝は小5になっていた

ある日、香奈枝は学校から帰ってくると疲れて居眠りをしてしまった

両親は共働きで夜にならないと帰ってこないので家には一人でいた

そこで唐突に目が覚める

そして、気配を感じ窓の方に目をやると、外に少年がいた、しかし様子がおかしい、必死に窓を開けようとしている

香奈枝は怖くなり後ずさりした

少年は香奈枝になにか訴えている

しかし聞こえない

あまりに必死なので、香奈枝は恐る恐る近寄ってなにを言っているのか確かめてみた

少年「ここを開けてよ!早く出ないと!」

そう聞こえた

意味がわからなかった、怖くて香奈枝は逃げ出した、そして一階に降りると、あたりは火の海になっていた

火事だ

とても熱い

そして炎は香奈枝のほうに襲いかかった

そこで、香奈枝は本当に目が覚めた、夢だった

香奈枝は汗だくで起き上がり、ふと夢で少年がいた窓を見ると、網戸が溶けている

驚いていると、部屋が異常に暑いことに気づいた

本当に火事なんだ

香奈枝は恐怖で動けなくなった

すると下の階から声がする

隣に住んでるおばあさんの声だ

「香奈枝ちゃんいるのー!?火事だよー!!!」

我に返り一目散に玄関に走った、隣のおばあさんと外に逃げた

しばらくして消防車が来てくれた

消火を始めたが火の回りが早くかなり広範囲で燃えてしまった

香奈枝が目を覚ますのがもう少し遅かったら、夢で見たようなことになっていたかもしれない

消防士が行き来する家をボーッと見上げると自分の部屋の窓から、あの少年が見つめているような気がした

香奈枝は少年に感謝した、あの夢は少年からの警告だったのかもしれない

香奈枝はそのあと引っ越して新たな家で生活を始めた

もうあの少年に会うことはない

その後、香奈枝は自分の霊感を否定することはなくなった

霊とは、ただ恐ろしいだけのものではないと

高校で、肝試しに行った時も、そんな想いがあったからなのかもしれない

Concrete
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