長編17
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未来の息子

暑い日が続いている。

戦争も2年目に突入した。

息子は1週間前に空襲で亡くなった。

街は連日連夜の空襲で瓦礫となり死傷者が多数出ていた。

自衛隊も救護活動をしているのだがなにせ人数不足である。

さて私と私の息子に関わる不思議な話である

私の息子との関り合いは私が高校生までさかのぼる。

私が高校二年生の暑い夏の日。夏休み前のことである。

試験も終わり夏休み前の緊張感の無い日々を送っていた。

いつものごとく夜8時に塾へ自転車で向かっていた。

誕生日のプレゼントに親父から新発売のソニーのウォークマンを買ってもらった。

ウォークマンを聞きながら塾へ向かっていた。

いつも慣れてる道なので曲がり角は止まらずにスルーしながらルンルン気分で自転車をこいでいた。

塾のところから2つ目の交差点に差し掛かった時に突然自転車が飛び出してきたのだ。

私は慌ててブレーキをかけたのだが間に合わずその自転車とぶつかってしまった。

ぶつかった衝撃で自転車の方は道端に倒れてしまった。

「やっちまったー」と叫んですぐに自転車から降りてその人の傍にかけよった。

「すいませーん、お怪我はないですか?」と言うとその人はうずくまったままであった。

再度「ごめんなさい」と言うとその人は「おまえーーわざとか」と小声で聞こえた。

私は、「え!わざとじゃない・・・」と言い訳をした。

私は「わざとじゃないけど・・・」というとその人は「おまえ、ちゃんと前見て走れや」

と、そのときにはじめてそいつは私を見た。

そいつははびっくりした顔で「???おまえどこかでみたことある・・」と言ってきたのだ。

こっちこそびっくりである。私はこの少年とははじめてである。

幸いにもケガはないようにみえた。

よく見ると私と同じ年頃に見えた。

少年は私を見て不思議そうな顔をしていた。

少年は「どこかで?俺と会ったことないか?」と言ってきたが

私は全然理解できなかった

この少年は何を言ってるんだろうと思った。

幸いにもケガはなさそうでその少年を起こそうとして手を差し出した。

少年は「おお!!」といい手をつかんできた。

手を触れあったときになぜか電気みたいなのが走ったような気がした。

私は「え!」と声を出してしまった。

少年はびっくりした顔をして「どうした?」と聞いてきた。

私は「今、君の手を握ったときにビリッと電気が走ったような気がした」と言うと

少年は「俺は感じなかったけど静電気じゃない?」と頭をかしげながら言った。

この暑い日に静電気?うそだろ、とおもったが原因は分からない。

ふと少年のポケットを見た。

ポケットからイヤホンが出ていた。

私はこの少年もウォークマンを持ってるんだ、となぜか親近感が湧いてきた。

私は「君もウォークマン買ってもらったんだね」というと

少年は「ウォークマン?」と不思議そうな顔をした。

私は「そのポケットからイヤホン出てるじゃない、再生機器はウォークマンだろ?」というと

少年は「いや、ウォークマン?じゃないよ、スマホだよ」と

私は「え?スマホ?なにそれ?」と聞いてみた

「スマホも知らないの?今時の高校生なら大半の奴はもってるぜ」と誇らしげな顔で言ってきた。

「これな、俺が誕生日の時におやじに買ってもらったんだよ、「高校生だと友達と連絡し合うのにスマホが無いと不便だろ」、と言って買ってもらったんだ」と笑顔で言った。

私は「え!、スマホ?ウォークマンじゃないの?ウォークマンってこれだよ」と少年にウォークマンを見せた。すると少年は「なにこれ?オモチャ?ダセぇーー」といってきやがった

私はムッとして「オモチャじゃない、このウォークマンは俺が誕生日の時に親父に買ってもらったんだ。最新のバリバリな奴だぞ」と言い返してやった。

少年は腹を抱えてわらいこげた。

「きみ~~、笑わせるねぇ、こんなオモチャ、音が出るの?」と馬鹿にした口調で言ってきた。

「ちゃんとでるよ」と言い返したら

少年は「最新のバリバリと言うのはこれのことだよ」と私にスマホを見せてくれた。

なんかTVみたいなところにいろいろな文字や写真が写っていた。

私のウォークマンは単にテープのところだけが見えてるだけなのにこのスマホ?というものは画面が動いてた。

私は驚いて「なにこれ?画面が動いてる、絵が出てる、音は出るの?」と少年に言うと

「もちろん出るさ、聞いてみる?」とイヤホンを私に貸してくれた。

私は「うん」と言うと耳にイヤホンを付けた。

知らない曲だけど音が全然違う。ウォークマンとは全然音質が違った。

「君、この機械の音質すごいな」と言うと少年は「えへん、MP3の音質なんだ、圧縮してるけどすごく音質がいいんだ」と自慢げに言ってきた。

「MP3?何それ?」と言うと「え?MP3も知らないの?まじ?冗談だろ」と驚いた顔をした。

あれやこれやと話しているうちに塾へ行くのを思い出した。

だが完全に遅刻・・・・

その少年は周りを見渡してキョトンとしてる。

「君、どうしたの?」と聞くと「ここどこ?」と聞き返してきた。

私は「○○市の○○町だよ」というと「え!、うそーーー、○○町だって・・・」

私は「そうだよ」と言うと「冗談はよしてくれよ、ここが○○町だって、全然景色が違う、お前、俺をからかってるだろ」と言うと私はムッとして「冗談じゃなく○○町だよ」というと

少年は「えええーーー俺が住んでる○○町はもっと賑やかだぞ、なんだここ、田舎じゃん」と驚いた口調で言ってきた。

私はさすがにムカついて「田舎で悪かったな、お前何なんだよ?」と怒り口調で言ったら

少年は「いや、別に、馬鹿にしてるわけじゃないけど、俺が住んでた○○町はもっと賑やかでそこにマックがあってその隣にはコンビニがあった。でもここは何もない。なんでだ?」と聞き返してきた

私はこいつ、なんか、アブネー奴だなと思い少年に「俺さ、もう家へ帰るわ、ぶつかってごめんな」と言うと「気にするなよ、別に痛かねーよ」と少し真顔で言い返してきた。

私は「君も早く家へ帰れよな」と言いその少年にバイバイした。

少年の自転車も少しへこんでいただけで走行には問題なさそうだ。

でも少年の自転車は見たことがなかった。なんか見た目バイクみたい。

まぁ時間も時間だし早く帰らないと怒られるし、と思い

猛スピードで家路についた。

塾の件はもう連絡されているだろうな、と思いどんな叱られ方するんだろうと内心ヒヤヒヤしながら

自転車を走らせていた。

するとなぜか後ろから人の気配・・・・・

え!少年がついてくる・・・・

まじかぁ・・・・やばい奴と知り合ったような・・・・マジでヤバイ奴かも・・・

少年は私を気にすることなく同じ方向へ走っている。

でもなんか変、足の動きがなんか止まってるような・・・・

ペダルをこいでいない。

え!なんで、走っていられるんだよ、・・・・うゎぁ・・・なんかマジでヤバイ奴に関わったようだ・・・・

まだついてくる・・・・

あいつの家は同じ方向なのかな・・・気持ち悪いなぁ・・・・

おおもうそろそろ我が家だ・・・・

家に到着・・・「ただいまぁーー」

「ただいまぁーーー」

え?後ろを振り返った、少年がいた。

えええーーなんでこいつがいるんだよ。

「おい!なんでおまえいるんだ?」

「そっちこそ、なんでいるんだよ」

「ここ、俺ん家だよ」

「ここ、俺の家」

ええ?はぁ?こいつマジで頭いかれてるぞ・・・・

平気な顔で「ここ、俺の家」だと・・・

「おい、いい加減にしろよな、ここは俺の家だ」

「おまえこそ、いい加減にしろ、ここは俺の家だ」

はぁ・・・おまえ、マジで言ってるんかぁ・・・

「おまえ、図々しいな、自分の家へさっさと帰れ」

「おまえこそ、何で俺の家にいるんだょ、おまえこそ帰れや」

あかん、こいつはキチガエだ・・・

こいつはもう無視無視

「ただいまーー腹へったぁーー」

「ただいま、なんかくわせろ」

はぁーーーー???おまえ・・・他人の家で「なんかくわせろ」だと

「おい、おまえ、他人の家で「くわせろ」とはなんだよ」

「おまえこそ、なにが腹減ったぁー、だ、図図しい」

すると騒ぎを聞いて奥から妹が出てきた

「おにいちゃん、玄関でうるさいよ、ママが怒ってるよ」と

「あれ?お兄ちゃん?お友達なの?」と少年に指をさした。

すると少年は「え?お友達?君、誰なの?」と妹に質問をしてきた

妹は「お兄ちゃんの妹だよ、ここの子だよ」と言うと少年は

「ふざけんなぁ、俺に妹はいない、おまえらどこのどいつだよ、勝手に家に上がり込んでそれも兄妹でょ、他人の家に入り込んでょ」と怒り出した。

私は「はぁ・・・おまえだろ、おまえこそ誰だよ?」

と言うと

「俺は○○タケシだよ」と大きな声で言い返してきた。

え??○○だって・・・私と同じ苗字だ・・・

どういうこと?

妹が「お兄ちゃん、変なお友達連れてこないでよ」とさっさと奥へ行ってしまった。

まぁいいや、早く居間へ行って夕食食べよう

・・???

おいおいんなんでこいつ入りこんでるんだ・・・

あっ!勝手にトイレへはいりやがったぞ・・・

なんだあいつは・・・

台所で夕食の準備をしていた母親が料理をもってきた。

母が「騒がしいねぇ、なにかあったの?」と

私が「いやべつに・・・」と言うと

そいつがトイレから出てきた

するとその少年は目が点になっていた。

「あんたらだれ?俺ん家でなにしてるん?」と疑いの目で聞いてきた

母が「はい?あなたこそだれなの?」と言うと

すると少年は「いやこっちのセリフだよ、おばさん」と言い返してきた

母が「おばさん?あなたこそ誰なの?見かけない子だね?○○のお友達?」と

私に振ってきた

私は「いやお友達じゃない、さっき十字路でぶつかって・・」と

今までの出来事を母に話した。

母は少し驚いて苗字が同じなのを少し変に思ったらしく少年に

「タケシ君、少し聞くけどタケシ君の誕生日はいつなの?」と聞くと

少年は「俺は1993年〇月○○日で17歳だよ」と

母に向かって返事をした。

はぁ?1993年だって・・・こいつ、やはりイカれてる

今年は1983年だっつーーの

母は少し驚いたが「じゃあタケシ君の住んでる町は?」と聞くと

今さっき私に話してくれた住所を母に返事をした

母は「もう一つ聞くね、タケシ君のお父さん・お母さんの名前は?」

と母は質問した。

すると・・・・お父さんの名前が私と同じだぅた

はぁ?こいつなんで俺の名前知ってるんだよ

気色悪いな・・・

こいつナニモンだよ

母が少し考えた様子で「ううーーん、タケシ君のお父さんの名前、私の息子と同じ名前なのよ、同姓同名なのかしらね」と母は少し少年につぶやいた

私は「こいつ、気色悪い、警察へ電話しようよ」と母に言ったら「ううーん、それもそうね」と

すると少年は「警察?おいおい、ちょっとまてよ、人の家に勝手に入り込んで勝手に料理まで作ってて警察だと?ふざけんなょな」とついに怒りだした

少年が母にとびかかってきたので私は急いで母の傍によりこの少年を引きはなしつつ

外へ放り出した。

なんなんだこいつは・・・・

外でぎゃぎゃと騒いでる・・・ドアもガタガタと叩いてる・・・

母が急いで110番した。・・・・・

しばらくたつと外のやかましさが消えていた。

10分たったころ玄関でノックの音がした。警官が来た

母が対応して今までの経緯を話すと不思議そうな顔をして

とりあえず近所をパトロールしてから署へ帰りますと言い家から出て行った。

警官が出てから急いで鍵を閉めて

3人であれこれ話した。

1時間後に父が帰ってきた

今日の出来事を言うと「そりゃ・・・大変だったね・・・不思議な話だね」と

母に話してた。

苗字が同姓で住所が同じ

ましてや少年の父親の名前が私と同じ

これは少年の狂言だったのかと家族で結論した。

・・・遅い夕食も終わり・・・用を出そうとトイレへ行った。

するとトイレの入り口あたりに少年が持っていたスマホが落ちていた。

もみあっているうちに落としたんだろう

スマホを拾い用を出して居間へ行った

父と母が食事をしていた。

私はその拾ったスマホを両親に見せた。

母が「なにこれ?おもちゃ?」と聞いてきた

私が「いや例の少年が持ってたよ、「スマホ」というみたい」と母に返事をした

父が「スマホ?なんじゃそりゃ?」と不思議そうな顔をして私に言ってきた

私が「おれもよくわからない、でも、これ、ちゃんと音が出るんだよ」と話した

父が「えええーーーこんなオモチャが音が出る?聞かせてくれ」というと

私は「えーーと、どうしたら音が出るんだろ?」とイヤホンを耳に付けても音は鳴っていない

小1時間スマホの画面をいじくりだしてなんか画面からわけのわからない写真やマンガみたいなかんじのボタン?が出てきた

「写真」という絵みたいなものを押したら画面が変わって

写真みたいなものがたくさん表示された。

いろいろみていくとあの少年や周りの風景

少年の友達?

知らないおじさんやおばさん、あの少年の両親なのかな?

写真には日付が・・・2010年〇月○○日と書いてある・・・

ええ?2010年・・・・

父も母もそれを見てびっくりしてた

母が「2010年ってあの子の言ってた年号と同じよね(2010年で17歳・・)」と

わけがわからない・・・写ってる写真に私の家が写ってた

少し古臭い感じはしているが間違いなく私の家だ

両親?と少年が笑顔で写ってた

どういうこと?

母と父はびっくりしてた

母と父はその写真をジーーと見ていた

すると

母が「この男の人、○○(私の名前)に何か似てない?お父さん?」と父に聞いた

父が「たしかに面影があるよな・・目のあたりや口元、○○にそっくりだ」と

私に写真を見せてその男の人の顔を指さした。

たしかにその男の人の顔は老けてはいるが確かに私とよく似てる。

どういうこと?

いろいろと写真をみていくと

最後の方に「おやじ、お小遣いを返せ」という写真の下に書いてあって「私」の若いころの写真があった・・・中学生の時の私だ・・・・

えええええええ、両親も声をあげた・・・

両親は納得したようだ・・・あの子は私たちの孫・・そしてあなたの息子

そうあの少年は未来から来たんだ

何かの拍子で今の時代に来たのだ

そして最後の方に年老いた私の両親と少年が写っていた

もう間違いないあの子は私の子供だ

しまった・・・追い出してしまった・・・・

後悔の念で胸がいっぱいになった

私は夜中にもかまわず家から出て少年を探した・・・

いない、どこにもいない・・・・

ぶつかった十字路にも行った・・・いない

もう少年はいなくなっていた

あきらめて家へ帰った・・・・

父も母も残念がっていた

妹は・・・部屋で寝ていた

もう夜も更けてもうそろそろ眠くなってきた

明日も学校がある

深い眠りについた

朝、目覚ましが鳴り眠い目をこすりながら居間へ行った

両親と妹はもう朝食をしていた

私は両親に「あの少年はいまどにいるんだろうな?」と母につぶやいた

母は「少年?何の話?」と驚いたような顔をした

私はへ?とおもい

「ほら、昨日の夜不思議な少年がいたでしょ?」と言うと

父が「はぁ?おまえまだ寝ぼけてるな、顔を洗ってこい」と言われた

へぇ?はぁ?・・・・

妹にも「ほら昨日、兄ちゃんが玄関で少年と騒いでたろ?」と聞いたら

「はぁ?玄関で?誰と?私、玄関なんかに行ってないよ」と呆れた顔で言い返された

はぁ・・・・どういうこと?

知らないって?・・・・

あれだけ大騒ぎしたのに知らないとはどういうことだよ

はっそうだ!スマホ!!!

証拠のスマホあるじゃん

急いで部屋に行き・・・スマホを・・・・あれ・・・!!ない・・・

探しても見つからない・・・なんで・・確かにここに置いたぞ・・・・

え??どういうことだ

夢でも見てたのか?・・・・・

へ?

でもリアルだったぞ・・・・

う?そうだ、足・・・ぶつかったときに・・・少し切った・・

え?・・・・傷がない・・・・

やはり夢だったのかな・・・・

でもリアルすぎる・・・少年の手をつかんだ感じ電気が流れたような感じ・・・

少年ともみあい外へ追い出した時の感じ・・・現実感があった

そうこうしていると母が「早く食事しないと学校遅れるわよ」と大きな声がした

バタバタと・・・行く支度をしてあわてて自転車に乗り猛スピードで走った。

夢の中で見た十字路が見えてきた・・・あそこで俺はあの少年とぶつかったんだよな・・・

まさかぁ・・・飛び出してこないだろう・・・とおもいつつ

十字路に差し掛かった時にウォークマンの音楽が途切れた・・・

え?壊れた?まだ買ってもらったばかりなのに・・・・

するとイヤフォンから「おい、おやじ、先月分のお小遣い、いい加減に返せよ」とあの少年の怒り声がした・・

え?私は自転車を止めた・・なんだ今のは?・・・・空耳?

はぁ?「お小遣い返せ」ってあの写真の下の方に書いてあった・・・

私は空を見上げた・・・雲一つない青空が広がっていた

周りは誰もいない・・・

私はウォークマンを手のひらにのせて壊れたのかと思い再生スイッチを押した・・

いつものごとく音楽が流れだした・・・壊れてなかった

プップーーと車のクラクションが鳴り我に返った・・・

時計を見たら遅刻寸前・・・やばい・・・

その日はなぜか忙しく時間が過ぎるが早かった・・・・

夏休みが来て・・・あっという間に終わり・・・

日常の忙しさで・・・あの日の出来事が徐々に忘れていった・・・

それから・・・幾年が過ぎ・・・

私も社会人となり職場で知り合った家内と結婚をし子供をもうけた

仕事に忙しい日々。子供の成長も順調に育っていった

そして息子の17歳の誕生日

前々から「スマホ」がほしいとしつこくせがまれていたのでしぶしぶ買ってあげた

息子は大喜びをしていた

私はショップへ行き色々なスマホが並んでいたのだがなぜか不意にこのスマホが欲しいと

棚の奥にあったスマホを指さし店員に話をして買ってきた。

買ったときには気にしてなかったか

途中でコンビニによりそのスマホが気になりはじめた

そして勝手に封を開けて・・スマホを見た・・・なぜか懐かしい気分になった

どこかで見たことがある機種だった・・・思い出せない・・・

コンビニから出て急いで家路についた。息子が待っている。

封を開けたのは店でスマホの確認をしたと嘘ついた

息子はあんまし気にしてなかったようだ

機種を見て「おおおかっこいいじゃん」と大喜び

「おやじ、ナイス」とスマホをいじくりだした

私は「あははは」と笑い不意にスマホを触ろうと息子の手を触った途端に電気が走った・・・

え?なんだ・・・静電気か・・・・夏だぞ・・・・

息子が「おやじ、今静電気が走ったろ」と言ってきた

「おおお、走った、夏だよ、なんで静電気が走るんだよ」と息子の顔を見た・・・

息子の顔をまじまじと見つめた・・・・どこかで見覚えのある顔、その服装・・・

どこかで見てる・・・どこだった?・・・・

家内が「さぁさ17歳の誕生会を開きましょうね」と息子に言っていた。

17歳・・・!?・・・・はl!・・・17歳って・・・あの時の・・・

まさかぁ・・・あれは夢だったはず・・・・

思い出した・・・・私が17歳の時だ・・・あの少年と十字路でぶつかった

んんまてよ・・・あの時の日付は・・・今日だ・・・息子の誕生日の日だったのか

全部思い出したぞ

息子の顔と服装・・・あの少年と同じだ

夢じゃなかったんだ・・・・

まてよ・・・今日のあの時間って・・・・

あと2時間後だ・・・

え?息子がいなくなるのか?過去へ本当に行くんだろうか?

・・・・・

誕生会も無事に終わり

息子は部屋でスマホをいじくっていた

誕生会が終わって1時間後に実家の母から呼び出しを食らった

父が倒れたと母から連絡があった

急いで実家へ行き車で病院へ行こうとしたが

なぜか車のエンジンがかからず諦めてタクシーを呼んだ

タクシーに乗り病院へ行った

大事には至らず母だけ残して実家へ戻り再度エンジンをかけたがかからず

仕方なしに父の自転車を借りて家へ向かった

帰る途中で前方から自転車のライトが見えた。息子だった

息子がすごい勢いで迫ってきた

すると十字路で右へ曲がってしまった

何そんなに慌ててるんだろうと思い私も左へ自転車を向けた

曲がった途端に息子の姿が見えない

うそぉ、いないぞ、とおもいつつ直進した

いない

脇道は無いから後ろ姿は見えるはず

いない

仕方ないので引き返して家へ帰った

家へ帰ると家内が片づけをしてた

おやじの様態を家内に知らせるとホツとした顔になり

また片づけをし始めた

息子は部屋にいるのかと言うと?お友達から電話がありお友達の家へ行ったとのこと

そっかそれで慌てて走っていたんだなと・・・

12時が過ぎ・・・息子が帰ってこない・・・・

遅すぎる・・・私は息子のスマホへ電話を掛けた。出ない。

お友達の所へ電話を掛けた。

するとその友達は息子へ連絡もしてないし誘ってもいないとのこと

家内が言うにはたしかにスマホから着信があったの事

行くときにその友達から電話がかかってきたから行ってくると、はっきりと言って出て行った

どういうことだ?

3時ごろに玄関でノックの音がした

息子の声だ

ドアを開けると息子が立っていた

何か様子がおかしい

ふと見ると自転車の前部分がへこんでる

息子に何かあったのか聞いてみた

息子曰く、スマホをいじくってたら○○からの着信

へ?とおもい出るかどうか迷ったらしい

というのも買ったばかりでだれもスマホの電話番号を教えていない

にもかかわらずちゃんと○○の電話番号

出ると○○が出て面白いマンガを買ったから今から来い、とのこと

もう8時過ぎだし行こうか迷ったけれどもどんな漫画が気になって家を出たらしい

急いで走ってると前方から私が見えたとのこと

私を見て友達の家へ行くために十字路で曲がったとのこと

曲がったとたんに自転車に乗った見知らぬ少年とぶつかったらしい

あれこれしてるうちにその少年からバイバイされて

息子も早く家へ帰ろうと走ったらしい

そしたらその少年も同じ方向へ走ってて「同じ方向なんだ」と思って

走っていたら家に着いたとのこと

その少年もその家に着いて

え?と思ったらしい

そうこうしてうちに少年は勝手に家へ入って息子も用がしたくなりトイレへ行き

用を出して居間へ行くと知らないおばさんがいたとのこと

そのおばさんと話をしてたらなぜか「110番~」と聞こえてきて

自分の家に勝手に入り込んでいて110番とは何だと思い

そのおばさんにつかみかかったときにその少年ともみあいになって外に追い出されたとのこと

追い出されてしばらく大声を出したりドアを叩いたりしてたけどパトカーのサイレンが聞こえてきたのでそのまま家から自転車に乗り十字路あたりを曲がったらいつもの風景に戻ってて無事に帰れたとのこと

・・・・・

おいおい私が「夢」で見たことすべて一致してるではないか

どういうことだ?

息子にスマホは?と聞いたら気づいたときにもう無くなっていたとのこと

もしかしたらもみあってるときに落としたかも・・と泣きながら話をしてくれた

泣くなよ、すべての原因は自分だ

すべて辻褄があった

夢ではなかったのだ

息子はスマホを落としたのが気になって私にすごく謝っていた

いずれまた買おうと息子と約束をした・・・・

だが息子はバイトして買う、と言い

それから2年もバイトしながらスマホを買った

同じ機種、もう時代遅れだが安く買えたので満足とか

色々と写真を撮っていた

そして・・・戦争が始まった・・・

戦争の規模がどんどん大きくなり

世界大戦へとエスカレートしてしまった

そして息子は1週間前に亡くなった・・・・

大空襲だった・・・

街は焼け野原になり・・・・

戦争も2年目に突入していた

息子19歳

短い生涯だった

息子にお小遣いを前借していた

バイトでためてたバイト代

なんとか息子からバイト代を借りて手に入れたいものを買った・・・

来月は返すつもりだった・・・・

そっか・・・あの日の空耳は息子の声だったのだ・・・

時間を越えて聞こえてきた「おやじ、小遣いを返せ」・・・・

すまなかった・・・・

もう私も年を食った

戦争は4年にも及び犠牲者はものすごい数になった

戦争の原因はいろいろとあったみたいだが

結局は政治家どもの下らない欲から始まったものだ

もう遠い過去・・・悲しい思い出だ

そして不思議な出来事だった・・・

Concrete
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