短編2
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カオ

酷く蒸し暑い夜のある日。

私は真夜中に、ふと目が覚めました。

続いて、もあっとした蒸し暑さと、汗で肌に張り付いた衣服の不快感に襲われました。

「暑い」

軽く呻きながら、エアコンのリモコンを探し、

「ピッ」

という音と共に、エアコンの作動音が響き、やがて、涼しい風が部屋に流れ出しました。

地獄のように暑かった部屋が、数分で天国に様変わりする事を、肌で感じながら、私は再び眠りに就こうとしていました。

仰向け寝て、両手をお腹の辺りで組んでいた私は、睡魔に誘われつつ、横向きに寝ようと、組んでいた手を離しました。

そして片方の手を、横向きで寝る、自分の顔前辺りにもってくる為、枕の横の位置に置いたとき、

「ペチッ」

という音が響きました。

「ん?」

と、声には出さなかったものの、私はすぐに不思議に思いました。

今鳴った音もそうですが、置いてある手が枕よりも高い位置にある事。

そして、手に感じる布団などの布ではない感触。

人の肌のようにスベスベしているが、氷のように冷たい感触と、細長い何かが私の指に絡まる感触。

私は、眠りに向かい始めていた意識を再び起こし、重たい瞼を開けました。

ぼんやりと霞む眼前に、何かがある事は分かりました。

その何かに自分の片方の手が乗っている事も分かりました。

「寝る前に何か置いたかな」

と考えながら、霞む視界が次第に、はっきりと見えだした頃、

「ひっ」

と言う短い悲鳴と共に、私は飛び起きました。

理由は、目の前にいた何かの正体が分かったから。

私の隣にいたものは、女性の顔でした。

蒼白い顔に、かっと見開かれた両目、これでもかと開かれた口、長い黒髪が特徴的な女性の顔が、私を見ていました。

恐怖で震える私を、どれくらい見ていたのか。

満足したのか、女性の顔に恍惚とした笑みが浮かびました。

そして、笑みを浮かばせながら、ゆっくりと後ろへ傾いでいきました。

女性の顔が半分も回らない内に、ベッドの端に顔は行き、やがて、ふと視界から消えた後、

「ゴトン」

という、鈍い音が響きました。

暫く、恐怖で動かなかった身体を、なんとか動かし、ベッドの端から下を見てみましたが、女性の顔は、どこにも居ませんでした。

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@龍悟 様

この度は「カオ」を読んでくださり、ありがとうございます!
怖楽しんでくれたなら、大変嬉しく思いますm(__)m

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短い内容でしたが、怖さは凄く伝わってきました!

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