中編4
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深夜の訪問者

「久しぶり!元気ー?」

ある日、中学の時仲の良かった友人からメールがきた。

最後に連絡を取り合ったのは、高校の時だったか。

もう何年も前の事だった。

「今度ご飯食べに行こうよ」

久々の友人に話したい事は沢山あり、私はすぐに快諾した。

会う日、当日。

友人は少し遅れてやって来た。

友人は中学の時と殆ど変わっておらず、変わったのは髪型と髪色位だった。

明るい性格はそのままで、中学の時の思い出話から、互いの近況報告まで、楽しく会話をした。

とても楽しい時間だったが、私には1つだけ気になる事があった。

それは、話している最中、友人が目を合わせてくれない事。

まったく目が合わないという事ではないが、目が合おうとすると、素早く反らされたり、殆どが目が泳いでおり、私ではないどこかを見て、話している事が多かった。

中学の時の友人は、人の目を真っ直ぐ見て話す人だったので、この友人の変化に、私は不審に思ってしまった。

「まるで、隠し事をされてるみたい」

そうは思ったものの、私は聞けなかった。

とても楽しいはずの時間の中、心ではもやもやとしながら、私は過ごした。

友人と久々に再会した、数日後。

「相談したい事があるから、会える日あるかな?」

友人からメールが届き、またも、私は快諾した。

とあるファミレスで会う約束をし、着くと、友人と黒いスーツを着た男性が待っていた。

友人から何も聞かされていなかった私は、驚き、戸惑った。

その様を見て、男性は自己紹介をしてくれた。

どうやら、友人の仕事の上司であるらしい。

席に着くと、どんな仕事をやっているかを男性と友人から聞かされた。

上手くオブラートに包み、良い仕事のように話していたが、結論を言うと、ねずみ講だった。

「完璧にサポートするから、それくらいの覚悟を持って、貴方に会いに来ました」

「最初の出資は直ぐに回収できます。これほど儲かる仕事は今だけ」

「急かしているわけじゃないけど、一緒にやりたい」

「不安かもしれないけど、私達が支えるから、安心して」

など、様々な事を言われた。

「考えさせて欲しい」

と言ったものの、

「思いきりが大事だ」

と言われ、勝手に契約書を準備された。

仕方なく、最初の出資金はかなり高額だったので、お金を借りにいく振りをして、逃げ出した。

友人との連絡先を全て削除し、変わってしまった友人を思い、一人泣いた。

悲しみが薄れ、心の傷が癒え始めた頃、何となく寝付けずに夜更かしをしていた。

時刻は午前二時を過ぎ、家族は皆寝ていた。

「そろそろ寝ないと」

そう思い寝転がるが、なかなか寝付けない。

何度目かの寝返りをした時、

「ピンポーン」

という音が、寝静まった我が家に響いた。

「聞き間違えかな」

と、思ったのも束の間、

「ピンポーン」

と、再度響いた。

どうやら、聞き間違いではなさそうだ。

しかし、こんな深夜に訪れる人は、まずいない。

非常識にも程がある。

「酔っ払いが間違えてるのかな」

仕方なくベッドから出て、一階へと向かう。

インターホンを見ると、画面が光っており、来客を知らせていた。

画面を見ると、真っ先に目に入ったのは、茶髪。

別れてしまった友人が染めていたような、明るい茶色の髪が、右へ左へゆらゆらと揺れていた。

肝心の顔や身体は、ノイズが掛かったようにざらついており、見えない。

通話ボタンを押し、

「家、間違えてますよ」

そう一言いい、終了を押した。

部屋へ戻ろうと、踵を返した瞬間、

「ピンポーン」

と鳴り、インターホンが光った。

画面には、先程と同じ、茶髪とノイズ掛かった人が、ゆらゆら揺れていた。

軽くため息を漏らし、

「間違えてますよ」

と、もう一度言った。

しかし、聞こえているのか、いないのか、返事をする事なく、ゆらゆらと揺れ続けている。

「何時までも付き合ってられない」

と思い、終了ボタンを押そうとした時、

「ぁあああああああぁぁぁぁっはっはっはっはぁぁぁぁぁ!」

女性の叫び声のような、笑い声が家中に響き渡った。

驚きの余り手を引っ込め、ただただインターホンと、揺れ続けている人を見つめ、響き渡る叫び声のような笑い声を聞いていると、当然、家族が起きてきた。

「近所迷惑だ」

と若干怒りながら、親が玄関を開け放つと、今まで響いていた叫び声のような笑い声が掻き消えた。

そして、インターホンに映っていた茶髪の揺れていた人は、何処にもいなかった。

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