中編6
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ストーカー

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これは私が実際に体験したお話です。

そして心霊…というよりは人間的に怖い話です。

私にとってはトラウマレベルの話です。

不快に思った方が居たら申し訳ありません。

途中で読むのを辞めてしまっても構いません。

それでは…どうぞ。

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私はこの春今のアパートに越してきました。

越してくる前の出来事です。

そして前の職場の先輩の話です。

愚痴になってしまいますが…教育係など教えてくれる先輩もなく経験者というだけで直ぐに現場に出されてしまい辞めた理由は先輩の事もありますが職場の対応の悪さもあり辞めてしまいました。

そんな時…『大丈夫?』

そう優しく声を掛けてきてくれたのが由実先輩(仮名)でした。なかなか仕事も覚えられず職場で孤立していた私にとって先輩は天使でした。

しかし職場だけの関係で食事に行ったり遊びに行ったりする機会はありませんでした。

由実先輩のアシストのお陰で何とか仕事もこなせるようになってきた私は同い年くらいの子とも話せるようになって来ました。

それが千歳(仮名)でした。

人懐っこい性格で何でも話せるような関係になっていきました。

そんなある日職場で由実先輩と千歳が話しているのを見ていました。しかしその雰囲気は仲が良い…というよりは千歳が由実先輩を嫌がっているようにその時見えました。

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それから3週間ほどして千歳に食事に誘われました。千歳とは何度か食事をしています。

場所は私の家の近くにある千歳とよく食事をするカフェでした。

「遅くなっちゃってごめ~ん」

私がカフェに着くと千歳と…由実先輩が居ました。

「えっ?今日は由実先輩も一緒ですか?」

「あらぁ私はお邪魔だったかしら?」

「そんなことないですよっ」

前から何かと助けてくれる由実先輩とは食事に行きたいな、ゆっくり話がしてみたいなとは思っていたのもあり席につきました。

その時の千歳と由実先輩は仲がよくあの時のふたりは何か仕事の話などをしていたのだと自分で解釈をしました。しかし後に言い争っていた理由を深く知る事になりました。

由実先輩とは仕事の話をしたり実は趣味が一緒だったり…何かと話が合うので楽しかったのですが千歳はひとり暗い表情をしていました。

そして突然立ち上がったと思うと『ごめん、今日はもう帰るわ。じゃあね』そそくさと帰っていってしまったのです。

突然由実先輩とふたりきりにされ静かになってしまいました。先に口を開いたのは由実先輩でした。

「あの子仕事辞めるみたいよ」

「え!?」

衝撃事実でした。でも今思えば納得のいったことで千歳については怒っていません。

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実はその時千歳のお腹には新しい命が宿っていました。大好きな彼が居るのは私も知っていました。

まさか妊娠をしているとは知らなかったのでそれを由実先輩経由で聞く事になるのは寂しく思いました。そして千歳は妊娠と結婚を理由に仕事を辞めてしまいました。

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その後も由実先輩とは仲良くさせて頂きました。

ご飯を食べに行ったり、旅行に行ったりと姉妹のいない私にとっては姉のように感じていました。

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しかし…

事態は思わぬ方向に動き出します。

ある日を境に由実先輩からのメール・電話・一方的にプレゼントが増え出したのです。

その“ある日”とは…

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私の結婚でした。

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特に困ったのは5分間に何十件というメールと夜中~朝方に続く電話。そして職場で『どうしてメールしてくれなかったの?』『電話に出てくれなかったの?』『私の事嫌いになっちゃったの?』

私は段々と憔悴していきました。

そんなある日由実先輩に食事に誘われました。

そこできちんと迷惑な事を伝えようと思いました。

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指定されたファミレスに着くとそこには知らない男の人と由実先輩が座っていました。

「えっ、誰ですか?」

「私の元カレの健次さんで~す」

「へっ?」

元カレを連れてくるなんて知らないしどんな神経をしているんだと思いました。

それからはずっと健次さんと由実先輩のなれそめの話や自慢話を聞かされました。

そして由実先輩がトイレに立った時の話です。

「ねぇ、大丈夫?」

「え?」

「由実、稲荷ちゃんに何かしてない?」

「どういうことですか?」

由実先輩と健次さんは前の職場で知り合い付き合うようになったそうです。

しかし由実先輩は凄く“依存”する性格のようで健次さんだけではなくちょっとでも仲良くなるとその子に依存をしてしまう。

プレゼントを無駄にあげたり、夜中まで電話をしたりメールをしたりLINEをしたり自分の考えを押し付けたり過去には後輩の女の子に対してのストーキング行為で警察沙汰になったこともあるのだそうです。

確かに由実先輩からのメールを見返すと『稲荷ちゃんと結婚出来るのは私だけ』『稲荷ちゃん以外もう何も考えられない』『あたしだけの稲荷ちゃん』

冗談の度を超していました。

それに対して何の返答もないと…

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腕を次の日切ってくるのです。

そしてそれが…『稲荷ちゃんへの愛の印』と言うのです。

その後もメールや電話が続きました。

困ったのがクリスマスの出来事でした。

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私は主人の実家でクリスマスパーティーをして帰ってきました。そしてアパートのドアノブには紙袋が引っ掛かっていました。

中を覗くと可愛らしくラッピングした箱とクリスマスカード。

クリスマスカードを開けると由実先輩からでした。

『給料1ヶ月分🖤絶対大切にしてよね』

クリスマスカードにはそう書いてありました。

小さな箱の中身はなんとダイヤモンド付きの指輪。

そしてメールの着信音…。

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まさかの由実先輩からでした。

『プレゼント見てくれた?聖なる夜にふたりは結ばれるの♪♪♪外を見て🖤』

家の前の外灯の下には…

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…由実先輩が立っていました。

『ひっ!!!』

私はぺたんと座り込み鳴り止まないスマホを壁にぶつけました。

正直主人にはこの話をずっと黙っていました。

迷惑をかけたくなかったからです。

でも今は急を要している状態。

全て洗いざらい話をしました。

すると主人は面と向かって言ってきてやると言いましたが万が一刃物でも持っていて刺されてしまったら困るので私は止めました。

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結局私達は警察を呼ぶことに決め通報しまもなくパトカーが来ました。

しかしその時には由実先輩の姿はありませんでした。

警察の人も困り果て由実先輩が現在何処にいるのかをはっきりさせた方がいいと言われ電話をしました。

『はぁい♪大好きな稲荷ちゃん?』

『由実先輩…今何処にいるんですか?』

『えぇ?あたしに会いたいって感じなのぉ?全然大丈夫なんだけどまず準備がぁ~シャワー浴びてからでもいいかなぁ?』

『今何処に居るんですか!?』

『なっ…何!?怒ってるの?どうして?私、何か悪いことした?だったら謝るから、許して。私を嫌いにならないで。ね?稲荷ちゃん』

『先輩何処に居るのか教えて下さい。私の家の近所ですよね?』

『えっ…いや、家だけど。どうして?』

私の住んでるアパートから由実先輩の自宅までは30分少々とてもじゃないですが直ぐには移動できない距離。だとすれば外灯の下に立っていたのは…

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そしてまもなく私は由実先輩に職場を辞めることも引っ越しをすることも告げずにあの街を去りました。数週間はひっきりなしに電話やメールの着信音が鳴りっぱなしでしたが電話番号も変えメールアドレスも変更したためそれからは平和な日々を送れています。

そう、平和な日々が続くことを願って…

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