短編1
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オムライス

小学生の頃、一人っ子で、鍵っ子だったぼくの土曜日の昼食は冷えたオムライスだった。

毎週といっていいほど、ケチャップをつけてラップをかけたオムライスだった。

朝から夜まで働き通しだった母が忙しい時間の合間を縫ってつくってくれていたものだ。

そんな事はすっかり忘れていた一昨年、私は離婚して一人、今は母だけになった実家に帰った。

自暴自棄になり仕事も辞めていたから、実家で数日を過ごした。

毎晩黙って酒をあおる私を母は何も言わず、早く寝ろと促すだけで先に眠っていた。

ある日、昼過ぎまで寝ていた私が台所で酔い覚めの水を飲むとテーブルに何かあることに気付いた。

作り置きの冷えたオムライス。

メモがあって「用事があって出かけるから、これ食べなさい。」と書いてあった。

私はラップを剥がして、静かにオムライスを食べた。

懐かしさと、切なさと・・・色々な感情がまじって湧き出し、オムライスはしょっぱくなった。

私はその日、帰京する支度をして、また一からやりなおすと母に誓った。

今はまだ一人だけど、淡々とそれでも楽しく生きている。

口に出して言えないけれど……

お母さん、私は永遠にあなたの息子です。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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