長編33
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第1章  合成写真

皆さんはTVなどで幽霊写真や幽霊動画などの特番を見たことはあるとおもう

さて、それが本物かどうか気になる方もいるとおもう

残念ながら99%はすべて合成なのだ

だが・・・その1%は?・・・・

これは私とS君とお互いの妹2人が体験した不思議な話である

(長いお話なので暇なときに読んでほしい)

私とS君はカメラが趣味である

小学生からの同級生でもある

お互いにカメラ歴は20年を越した

フィルム写真からお互いに自己満足のためにあちこち出かけては写真を撮りまくった

フィルム写真は単に写すだけであったがデジカメを手に入れてからは写真の編集・合成もするようになった

フイルム写真の場合は慎重に構図を決めてからシャッターを押していたがデジカメからはどんどんと

お構い無くシャッターを切っていた

ある日、S君は私にこう言ってきた

「もう人物とか建物とかの切り貼りは少し飽きてきた

昨日、YOUTUBEで幽霊写真の紹介動画を見ていた

もういかにも合成ばかりで本物は一つもなかったな

んで、俺もそういう「偽物」を作れるんじゃねーかと思ったわけよ」

と私に言ってきたのだ

「まぁたしかに飽きてきたけどな

まぁたしかに本物は無いよな

作り物ばかりだ

よっしゃーーー作ってみるか」

と2人で意気投合したのだ

編集用ソフトは値段の安いものを使っている

高い物を買っても使いこなせないし勿体ない

まぁお互いに趣味の範囲でやっているので競争心は全然ない

自分がこれでいいと思えば済む範囲でお互いに見せ合いっこしながら

おしゃべりするのが楽しみの一つだ

だが・・・・

この幽霊写真の合成をS君は真剣につくりはじめたのだ

というのも

そういう幽霊写真の投稿サイトに応募したら見事に3位を獲得したのだ

見た人々から「怖い」「気持ち悪い」「やべぇーー」という書き込みが多数あり

反応がすごぶるよかったのだ

もちろん投稿した写真は合成だ

本物ではない

作り物でこんな反響があるとは思わなかったらしい

たしかにS君の合成技術はすごい

貼り合わせの仕方がもはやプロじゃないかと思うほど自然に合成してある

一見見ただけでは合成なのか分からないのだ

こんな安い編集用ソフトでここまでできるとはすごいと素直にS君に言ったことがある

S君は照れながら笑っていた

S君と私で街や山や川へ写真を撮りに休みの日に撮りに行く

普段はお互いにサラリーマンなのでなかなか会う時間がないのだ

リフレッシュも兼ねての撮影旅行である

今回の撮影地は京都の山奥である

テーマは神社など歴史のある建物を撮ろうということで決まった

テーマは一応決めるのだが結局なんでも目に映ったものはどんどん撮りまくるだろう

そして今回はS君の妹が参加した

この兄妹はとにかく面白い

兄妹仲は本当に良い

小さい頃は私の妹を含め4人でよく遊んでいた

S君の妹がいると必ずなにかしらのアクシデントがつく不思議とね

京都の山奥で1泊2日の撮影旅行となった

1週間前にS君が私に来週の休みは1泊2日の京都の旅にしようと提案してきた

はじめて車中泊とやらも体験したいと言ってきた

要は旅館代が無いのだ

私も面白そうなのでOKを出した

もちろん車は割り勘のレンタルである

お風呂や飯はコンビニや銭湯で済まそうということになった

荷物も少し多くなりそうなので大きめの車をレンタルした

どうせならバーベキューでもしようかと私がS君に提案した

もちろんOKをもらった

その日S君の家へ向かった

そしてS君の両親に挨拶をした

S君から

「今日は妹も参加する

妹も最近カメラに興味をはじめたみたいで今回の話をしたらすごく乗り気になったみたい

だから連れていくよいいよな?」

と聞いてきた

「もちろんOKOK,仲間は一人でも多い方がいい」と快諾した

妹が奥から出てきた

「おっち!兄貴たち、よろしくね」とあいさつしてきた

あいかわらず能天気・・・

「S子、おまえ、カメラに興味あるのか?」とすこしからかってみた

「おっち、あるある、兄貴たちをずーとみていたし2人のおしゃべりが楽しそうだし

わたしもいずれは中にいれてほしいなとおもってた」

とあいかわらず能天気な返事

やはり大きめの車にしておいて正解だった

6人乗りの車なら余裕で荷物も人も乗せれる

普段はS君と2人なので軽の車であちこち行っていた

軽なら細い道も楽に行けたし燃費のこともあったし

だが今回は大きい車の旅行になる

運転は1時間事に交代ですることになった

京都までは4時間はかかる

途中の休憩を入れたらどのくらい時間がかかるのやら

一応地図で行先は決めた

慌てずにゆっくりと行こうとなった

まずはバーベキューの買い出しにスーパーへ向かった

バーベキューセットは昔に買ったものがあるのでそれを使う

肉やら野菜やらなにかしら目に付くものは買ってきた

炭も多めに買った

買い出しで早お昼近くになってしまった

近所のファミレスでお昼ご飯にした

S君兄妹のおしゃべりは漫才みたいで面白い

S君兄妹には黙っていったのだが

私の妹も参加することになった

しばらくすると私の妹がやってきた

S君の妹が参加すると聞いたので慌てて妹に電話をしたのだ

やはり女子一人だといろいろと不便だろうと思ったからである

S君の妹はびっくりして慌てて私の妹に挨拶をした

お互いに知っているから改めて挨拶などしなくてもいいのにな、と思ってた

だが話を聞くと相当お久しぶりなのだそうだ

よく考えると私もS君の妹と話すのは2年ぶりである

もう2人の妹が参加すると賑やかになることは予想してた

お互いにおしゃべりだから

昼飯を食べ終え

荷物の忘れ物はないかチェックした

京都まで長い道のり

まぁ・・・コンビニなどあるからいいけど

ガソリンも満タンに入れた

野郎は運転手と助手席のナビゲーター

妹たちは真ん中の座席でTVやらゲームやおしゃべりをしながらのドライブとなった

荷物は一番後ろの席に置いた

4人分の荷物とバーベキューセットで後ろの座席は完全に埋まってしまった

本当に賑やかだ

普段2人だから話すネタがなくなるとお互いに黙ってしまう

だが今日はネタが切れることはない

最強の妹コンビがいる

高速に乗り順調に車を走らせた

SAで順次トイレ休憩と運転疲れの解消に15~20分ほど休憩をした

なんだかんだで無事に目的地の山奥の入り口に着いた

この山奥の頂上に神社がある

その近くには公園もあるので撮影場所としてはいいロケ地だと思う

入り口の駐車場に車を止めた

ここの駐車場はトイレ付なので安心である

少し離れた場所に空き地もある

そこでバーベキューをすることにした

バーベキューの準備をし終えた時にはもう陽は落ちていてあたりは暗闇が広がっていた

駐車場には私たちの車しかない

少し寂しいが大騒ぎしても迷惑にはならないだろう

着いた時は3~4台の車が止まっていたのだが

いつのまにやらいなくなっていた

2人の妹はおおはしゃぎだ

どんどんと肉や野菜を焼いていた

ひさびさに楽しい日になった

バーベキューもそろそろお開きの時間になった

火の始末と後片づけをしたらもう夜の10時は過ぎていた

辺りは一層暗闇になっていた

山奥でなにかしら鳴いたような気がした

4人とも目をぱちくりした

聞こえたのだ

「なにか山奥で鳴いたね」と私が言うとS君が

「だな・・・なんだろう?

鳥?犬?・・・・かな」と

「ねぇ・・・ちょっと気味が悪い」と私の妹が言った

「うん・・・なんだろうね」とS子すこし顔が怖がっていた

「よーーし、気分転換に4人で記念撮影だーー」と大きな声でS君が大きな声でカメラを持ち

「そこそこちゃんと並んで」と指示しながらタイマーで撮影した

ところが・・・・

またもや山の奥で叫び声のような声?が聞こえてきた

「え?なんだ今の声は・・・」とS君がしゃべった

「うわぁ・・・確かに聞こえた・・・・」

「ねぇ・・・・人の声のような気がしたけど・・・」

「私も・・・人の声のような気がする・・・」

あたりは虫の声やカエルの声などしていたがたしかに叫び声のようだった

それきりその叫び声のようなものは聞こえなかった

4人ともしばらくは聞き耳を立てていた

S君が

「よっしーー後片付けも終わったし

もうそろそろ車へ戻ろう」

「そうしよう」

「だねーーー」

「だな」

と車へ戻った

お腹も満腹になり少し眠気が催してきた

シートを倒して少し後ろを見た

妹たちはあいかわらずおしゃべりしてた

やはり連れてきて正解だった

「おいおい、もうそろそろ寝る時間だぞ」と私は言うと

S子が

「なぁ~~に、寝る時間だと?これから女子はおしゃべりの時間ですぅ~~

兄貴たちは疲れたやろ、早く寝な」とすこしふざけ気味で答えてきた

私の妹も

「そうだ、そうだ、S子ちゃんの言う通り、兄貴たち、早く寝なよ」とS子に同調した

「そっかーーじゃあ、わしらは寝るわ、明日は朝6時に起きるんだぞ」とS君は

妹たちに命令口調で言った

「そうそう、ドアのロック、全部ロックしたか?」と私は妹たちに言った

「おっちーー、朝6時やな、ドアロック全部閉めたぞ、兄貴たちよ」と能天気な声が帰ってきた

あとは窓を外から見えないように100均で買ってきたカーテンをつけた

前と後ろは日よけの物を使った

F子が

「兄貴、トイレへ行きたいぞ、トイレへ一緒に行こうよ」と私に声をかけてきた

「あほ!ガキじゃないんだ、自分一人で行け」と答えたら

「兄貴・・・外、真っ暗で怖いんよ・・・一緒ね、行こう」と今にも泣きそうな声で訴えてきた

たしかに街灯はトイレ近くしかない

車からトイレまで50M程離れてる

「よっし、ちと待て、車をトイレ近くまで移動させる」と私は言い

車をトイレ近くの駐車場に着けた

「すぐそこだから一人で行けるやろ」と言うと

「アニキ・・・やはり怖い・・・行こうよ」と甘えてきた

「仕方ないな・・・」と

そしたらS子もトイレへ行きたいと言い出した

私も用を出したいし3人でトイレへ行くことにした

車から出てあたりを見まわした

真っ暗闇

都会で住んでるとわからない漆黒の闇

これはさすがに怖い

3人でトイレへ行き

私は用を出しながらトイレののぞき窓から外を眺めていた

頂上付近を見ていた時になにかしら光るのが見えた

山の上へ行く道だろうか

チカチカと見えた

こんな夜中に神社へ行く人がいるのかな、と思いつつ用を出し終えた

妹たちも用を出して2人で外で待っていた

「アニキ、ありがとう、私、なにかしら少し気味が悪いというか・・・

ううん、なんでもない」と私に言いかけた

「おっちーー、F兄貴、あんがとーー、F子ちゃんと一緒に行けてよかったぞぉ」と

能天気な妹だ

「うん、確かに怖いよな・・・この暗闇は・・・よし、車へ戻ろう」と言い

妹2人と車へ戻った

車に戻るとS君が

「お!連れションかい」と笑ってた

S子が

「ばか!、兄貴、冗談でなく怖かったんだぞぉ」とS君にかみついた

「あははは、おまえが怖いってか・・・」とS子におふざけでかまったら

S子は

「ば~~か、アニキ、F兄貴やF子ちゃんがいたから怖くはなかったぞぉ」とすこし怒り気味で答えてた

車内は大爆笑になった

やはりこの兄弟は漫才師だ

S君が私に

「いまさっき山の中腹あたりで光がチカチカと見えたけどおまえもみえたのか?」と聞いてきた

「あぁ・・用を出しているときに窓から見えたよ」と言うと

「そっか・・・もう夜の11時だぞ・・・こんな夜中に・・・」とS君は少し疑問に思えたのか

日よけをすこしずらして外を眺めた

S君は私たち3人がトイレへ行くのをずーと見ていたのだ

そして目を山へ向けた時に光が見えたそうだ

S君も用を出しに一人でトイレへ行った

S子が

「アニキ・・・

一人で大丈夫かな・・・」と私に問いかけてきた

「へ?トイレまで10mも無いよ」と言うと

「まぁ・・ね・・・」と心配そうに日よけをずらしたまま見ていた

S君がトイレから出てきた

S子が

「よかった・・・・」とつぶやいた

その時は兄弟愛なんだ、と思ってた

その時はね・・・・

S君が車に戻り

あらためてドアロックをし外から車内が見えないようにカーテンと日よけで遮断した

今日は女子2人いるから外から覗かれたら大変

用心には用心を

「おうし、そろそろ寝るかぁ、妹たちも寝ろよ」と妹たちに向かって話した

「おっちーー、兄貴たち、私たちも寝るよ」と元気な声

「それと、妹たちよ、もし車から外へ出るときはどちらかの兄貴と一緒に外へ出るんだぞ」と

妹たちに言い聞かせた

「おっちーーー、わかったぞい、どちらかの兄貴を叩き起こして外へでるぞぉ」とS君の頭を軽くこぶしで叩いた

「あたっーー、こりゃS子ぉーー兄貴のあたまを叩くなよぉ」とS子に向かってメッという顔をした

「へぇ・・・アニキ・・・ゴメンヨォ」

またもや車内は大爆笑

しかし・・・F子はすこし不安気な顔をしてた

私はそれが少し気にかかっていた

私は妹に

「どうした?」ときくと

「うん・・・ちよっとね・・・ううん、アニキ、気にしないで・・・」と笑顔で答えてきた

F子は小さい時からヤマカンというか何かあると不安な顔をする

それも必ず的中する

私は少し不安になり

私の父の携帯に「もしも」のときは頼む、と一言メールで送った

しばらくして父から返事がきた

詳細をメールで送ったのだ

やはり父も同様に心配だ、と書いてあった

もしも、のときは必ず電話かメールする、とメールで送った

「必ず、妹たちを守れ」と書いてあった

もちろんのこと妹たちは必ず守る

S君に一連のことを小声で伝えた

S子はああみえても怖がりだから

S君も「わかった」と理解してくれた

もう夜中の1時をまわっていた

妹たちは寝ていた

私たちも眠気が襲ってきた

周りはシーンと静かだった

私は眠気に負けそうになりウトウトとしていたら

突然、ドーーンと車の後ろに何かしらぶつかった音がした

私は「え!」とシートを起こし後ろを見た

もちろん日よけで後ろの風景は見えない

かといって今外へ出ると危ない気がする

そぉーーと真ん中から一番後ろの座席は移り日よけを少しずらして外を見た

外は真っ暗闇

何も見えない

あれだけの音がしたのに車は揺れていなかった

現に3人は寝ている

荷物も動いていない

空耳?かなと思った

疲れてるんだ、と思った

日よけを元に戻し

運転席へ戻った

またウトウトしてると

今度は外が騒がしいような人のしゃべり声がしてきた

「え?」

運転席からカーテンを少しずらして外を見た

外は暗闇

誰もいない

空耳?

確かに人の声がした

車内を見た

3人は寝てる

車の車内灯をつけた

時間は午前2時過ぎ

こんな夜中に人はいるはずはないと言い聞かせた

またウトウトと眠気が襲ってきた

だが・・・またしても人が騒ぐ声がしてきたのだ

それも多人数

「え?まさか、族?」

私は隣で寝ているS君を起こした

眠そうな顔をしていた

S君に

「今、外で人の声がするけど聞こえない?」と聞くと

「え!?外で人の声?」

「そう、今聞こえてる、聞こえてない?」

「ちと・・・ええ!?たしかに外で人が騒いでる声がする・・・」

「だろ、聞こえるだろ・・・まさか暴走族が集まってきたんじゃない?」

「え!、まさか、それはまずいだろ・・・妹たちがいる」

「まずいな・・・」

エンジンがすぐにかかるように車のキーを握り

そぉーーとカーテンをずらして外を見た

誰もいない・・・暗闇だけだ

「誰もいない・・・そんな・・・」とS君に話した

「うそぉ・・・どれどれ・・・・えぇーーー誰もいない・・・んな、ばかな」

確かに聞こえていた

人が騒ぐ声

S君が順々に車内の窓からちらっと外を見た

「誰もいないぞ、車の周りには誰もいない・・・そんなはずはない」

「え?誰もいないって・・・・」

S君は

「勇気がいるけど俺、外に出て確かめてみる」

「やめておけよ、もし、族だったらどうするんだ?」

「外へ出たらすぐにロックしてくれ、エンジンはかけろよ」

といつつ助手席から外へ出て行ってしまった

私は慌ててロックをしエンジンをかけた

しばらくすると助手席からノックする音がした

「俺だよ、あけてくれ」とS君の声らしき声がしたので

「まじ?Sか?合言葉は?」

と確認のために合言葉を求めた

合言葉は合っていた

私がロックを解除しドアをそぉーと開けた

S君が入ってきた

「外の様子は?」と聞くと

「眠い・・・」と言って寝てしまった

「え!おいおい、外は?どうなってた?」ときくと

「眠い・・」の一声

無責任な・・・自分から外へ飛び出していって「眠い」だと

怒りが込み上げてきた

S君をゆらして起こしたがなかなか起きなかった

「ふざけるなよ」と言い何度も揺らした

起きなかった

深い眠りについた感じで寝ていた

そうこうしているうちに私も寝てしまった

なにかしら外がまた騒がしく聞こえてきた

ふと横を見るとS君も起きていた

「外、また騒がしいよな、さっきちらっと見たんだがやはり外には誰もいないんだよな」

「そっかぁーー、なんだろうね、この人の騒ぐ声」

今は午前3時

あたりはまだ暗いまま

今度は私が外に出ようとS君に言って外へ出た

ふと山の中腹あたりを見ると明かりがチラチラと複数見えた

よく聞き耳を立てるとどうも中腹あたりから声が聞こえる

ドアを開け

「Sよ、ちと外出てくれ」

「うん?どうした?」

私はS君に中腹あたりを指さして

「な!光が見えるだろ?」と言うと

「ほんとだ、あのあたりから聞こえるな」

「でも、夜中3時だぞ、なにやってるんだろう?」

「さぁ・・・村のしきたりとか儀式とかじゃねーのかな」

「かな?こんな夜中にね・・・」

と2人でしばらく中腹あたりを見ていた

すると光の数が徐々に増えていくのが見えた

道筋に光が並んでる感じだ

車内から

「おっち、兄貴たち外で何してるん?」

とS子が起きてきた

F子も起きてきた

「おお!おまえらも外へ出てこい」と言うと

眠い顔をしながら車から出てきた

「あれを見ろよ、光の筋になってるだろ」

と言うと

S子が

「おお、すごく綺麗だ・・・まるでキツネ・・」と言いかけた時に

F子が

「少し気味が悪い・・・わたし、車へ、戻るね」と言い車内へ入った

窓からじっーと私たちを見ている

少し不安そうな顔つきだ

「F子ちゃん、大丈夫かな?今さっきから少し寒気がする、と言ってたぞ」と

私に言ってきた

「え!、寒気がするって・・・」

妹のヤマカンが徐々に出てきたようだ

S君に

「F子のヤマカンが働き始めたみたい」と言うと

「え!そっか、やばいな・・・もうそろそろここを離れた方がいいかもな」

「たしかにな、出発時間が早くなるけど・・・仕方ない・・・」

私は能天気なS子を先に車へ入れてS子に出発をする旨を話した

「えええ!!!まだ、早いよーーーまだ神社にも行ってないぞぉーー」

と文句を垂れてきた

「すまん、S子、F子の状態はあんましよくない、もうこのまま家へ帰ろう」

「うううう、仕方ないねぇ・・・F子ちゃんの顔色悪いもんね、わかった、帰ろう」

ふと・・山の中腹を見ると光はもう消えていた・・・

いつのまに下山したんだろう・・・

F子が

「アニキ・・・気分悪い・・・吐きそう・・・・」

「おいおい・・・ここで吐くなよ・・・」

「コンビニへ行こう、コンビニまでの我慢だ」

「うううう・・・・ガマンガマン・・・」

私は急いでここを離れ近くのコンビニへすべるように車を駐車させ

急いでF子をトイレへ行かせた

トイレからF子が吐いてる音がした

5分くらいたってF子が出てきた

顔色は少し良くなってるようだ

「大丈夫か?」と聞くと

「吐いたから少し気分が軽くなった・・・酔い止めの薬頂戴」と

私に酔い止めの薬を要求してきた

慌てて酔い止めの薬をコンビニで買ってF子に飲ませた

30分ほどで妹の顔色も落ち着いてきた

「すまん、F子、呼んだのが間違いだった」と言うと

「兄貴、気にしなくていいよ・・呼ばれてうれしいんだから・・・久しぶりに4人で遊べたし」

「そうだぞ、F兄貴~~~、気にすんなよーー」

と能天気S子がしゃべりだした

「S子、おまえはいつも能天気だな」と言うと

「能天気じゃないぞ、私だって悩みはあるんだぞぉーー」とおとぼけ顔で言い返してきた

水戸黄門のハチじゃないが太鼓持ちがいると場は和む

だいぶF子の顔も明るくなってきた

S子とおしゃべりを始めている

コンビニから山の中腹が見えた

もう光は見えない

あたりも明るくなってきた

今日はあきらめて素直に帰る

F子のヤマカンは必ず当たる

過去にもやばいことでF子のヤマカンでなんとか難を逃れてきた

こういうこともあろうということも含めて妹を呼んだのだ

だが・・・これが良かったのだ

携帯で親父にF子のいつものヤマカン発動で急いで帰る旨をメールした

症状も添えておいた

すぐに返事が来た

「早く帰れ」のメールの返事だった

途中の休憩も挟んで急いで帰った

神社の場所から離れていくうちにF子の顔色もどんどん良くなっていった

S君の家に着いた

親父とS君両親が外で待っていた

かわいい娘の顔を見て親父とS君両親はほっとした顔になった

S君両親に謝罪した

F子は親父が連れ帰ることになった

私はS君の家に泊まることになった

本当に疲れが出てきた

早めに帰ってきたのでまだ午後4時頃だ

蝉がうるさいほど鳴いていた

夏の蒸し暑い夕方

私は近くのコンビニへアイスを買いに行った

たくさんの車が停まっていた

この暑さでみんなコンビニへ逃げてきたんだな、と思った

私とS君一家分のアイスを買って外へ出た時だ

一台の黒い車が停まっていた

こんな田舎にしては高級な車だ

私はその車をジロジロ見ながら自分の車のところへ戻った

だが・・・何気なくなのだが・・・あっちもジィーと見てたような気がした

何分にも窓ガラス全部真っ黒なのでこっちからは相手が見えない

だけど・・・見られてるような気がした

あんまし見てるとヤバイ関係の連中なら怖いから早々にS君の家へ戻った

アイスをみんなに渡すと笑顔で「ありがとう」と言われた

S子が「F兄貴、よく気が利くじゃん、えらいぞぉーー」と言うと

S君パパが「こら、S子、お兄ちゃんに向かってえらそうな口を利くんじゃない」とS子に注意したが

能天気なS子は

「えへへへ、パパに叱られちゃった」といいながらパパに頭下げていた

そうこうしているうちに夕食となった

S君ママの料理はプロ級並みのうまさだ

小さいころから夕食のときに呼ばれることが多かったけれど

本当に料理のうまさはすごい

さて夕食も終わり

京都の旅で数少ないけれど写真を整理しようと

S君のパソコンにカメラから画像を取り出した

一枚一枚画像を整理していった

本来なら神社の写真も撮りたかった

その周辺の写真もね

だが我が妹のあの様子からでは無理があった

急にS君が

「え!・・・なんだこれ・・・・」と叫んだ

私は慌てて

「どうした?」と聞いた

「これみてみろ!なんで・・・」と絶句していた

私も写真を見て驚いた

カラー写真で撮ったはず

でもこの1枚だけはなぜか昔の感じで撮れていた

設定は変えていないはず

だがこの1枚だけはセピア色の古ぼけた写真なのだ

だが・・・どうみてもあの時の集合写真は写真なのだが・・・

風景が現代と違う

まるで江戸時代・明治時代末期?のような・・・感じ

合成で古ぼけた画像を作り出せるがこれは決して合成ではない

写ってる人物もたしかに私たちなのだが・・・・

何か変

服装が全然違う

顔はたしかにS君・S子・自分・F子のような・・・

だが・・・

顔つきも少し違うような気がする・・・

よく似てるのだが・・・何か違う

どういうこと?

二人はしばらく考えていた

この1枚だけ違う時代なのだ

そして写ってる人物たちも自分たちとよく似ているが他人なのだ

だが4人とも京都へは初めて行ったところ

生まれも育ちも京都ではない

だけど・・・あの神社へ着いた時に4人とも「なつかしいねぇ・・・」と思ったのも事実

行ったことが無いのになぜ「懐かしい」のだ?

もしかしたら小さい時に親に連れられて京都へ行ったことがあったのかも

しれない

そうおもってS君の両親にこの写真を見せた

S君の両親は写真を見るなり少し驚いていた

写真そのものではなく背景など人物も含めてなにかしら驚いた様子だった

特にS君の父親は「おいおい・・・もうこんな合成を作ったのか・・・すごいな」とびっくりした様子でS君に言ってきた

もちろん合成ではない

S君が否定すると父親は「え!、合成じゃないって・・・」と絶句したままポカンとしていた

母親も少し何か意味ありげな顔をしていた

S君の父親が「これって・・・京都へ行った時の写真だろ・・・なんでこれこんな色してるんだ?」

と聞かれ

「それが不思議にこの1枚だけなんだよ、あとはカラー写真」

母親が

「・・・・この写真・・・・私のおばあちゃんの実家で見たことがある・・・」と言い出してきた

S君が

「え!、母さん・・・あっ!そうか・・・おばあちゃんの実家は京都だ・・・忘れてた・・・」というと

「ここは・・・私の母の実家近くなのよ・・・ここに写ってるS子そっくりな子が私の母親なのよ・・・」と言うと

一同騒然となった

「えええええ、これF子じゃないって・・・ちょいまち・・・後の3人は誰だよ?」

「恐らく・・・お友達でしょ・・・よくは分からないけど・・・」

S君の祖母はもう他界している

S君もS君が小さい時の祖母の記憶しかない

でもなぜ・・・

よく似ている

服装がちがうのだけれど顔がそっくりなのだ

この写真に写っているS君のおばあさんの顔はS子そのものだ

後の3人も私たちによく似てる

そこにS子が2階から降りてきた

「おっちーー、ママたち何してるん?」と

「おおおーーー写真、写真、ちゃんとうまく撮れてる、アニキ」といいながら写真を覗き込んだ

「え!、なにこれ?色が変、何この服装・・・ダサィ・・・アニキ・・・こんな変な合成を作っちゃだめだよ」とS君に文句を垂れた

「いや・・・合成じゃないよ、何もしてない、この1枚だけこんな感じで写ってた」

「ええええ・・・・なんで?」

「わからん」

「いやだぁ~~、なんでばあちゃんが写ってるの?」とS子が不思議なことを言い出した

「え!!、今、S子なんで言った?」とS君が驚いてS子にもう1度聞いた

「だから、こればあちゃんでしょ?」と

「おい、S子、なんでこの子がばあちゃんだとわかった?」

「え!・・・あっ!・・・・なんでだろ・・・ふと言葉に出た・・・、これって私じゃないの?」

一同唖然

特に母親が一番驚いていた

S子が生まれる前にもう祖母は他界していた

ましてや20代のころの祖母などS子がわかるはずもない

母親が

「S子、この子はおばあちゃんの若いころのものだよ、あんたとよく似てるでしょ?」というと

「え!、ばあちゃんなの?そっくり・・・私自身を見てるみたい」

これはもう1度あの場所へ行くべきだとS君に話した

そしてS君の祖母の実家にも行けたら行こう、とS君の母親に祖母の実家の住所を聞いた

母親も祖母の実家など数回しか行ったことが無いという

そのときにこの古ぼけた写真を祖母から見せられた記憶がある、と言うことだ

S君の母親にあの神社は夜中になにか祭りとかあるのか聞いてみたが

よくわからないということだ

母親にその日の不思議なことを詳細に話した

そのときに・・・S子が不思議な体験をしたというのだ

連れションでトイレへ入ったときに隣は確かにF子が入ったのを見ていた

けれど・・・その反対のトイレからたしかに用を出してる感じで人がいた、と言うのだ

F子が先に用をすましそのあとにS子がトイレから出た

隣を見るとドアはあいたまま

F子に聞いてみると誰も出てきていないというのだ

ただ、F子は出るときに私の前をS子そっくりな子が前を通り過ぎていったような感じがしたというのだ

だからてっきりもう先に出ていたのかと思ったそうだ

だからF子はS子がトイレから出てきたときに驚いた表情をしたというのだ

「私が出た時にF子ちゃん、私の顔を見てびっくりしてた、「S子ちゃん、今さっき私の前を通らなかった?」と聞いてきたけど「今出てきたところだよ」と言うとF子ちゃん驚いた顔と不安げな顔になった」と話した

不思議な話だ

たしかに妹はトイレから出た時に不安げな顔をしていた

だからあの時、S君がトイレへ行ったときにS子が不安そうな顔をしていたのか

今月はちと無理なので来月にもう1度4人で行ってみようとなった

F子の様態もあんまし良くない状態だった

親父に連れられて

家に着いた時に疲労した顔で「眠い」といいながら

自分の部屋へ行きそのまま寝てしまったという

私が帰ったときも寝てた

その日を境に体調不良が続き1週間ほど会社を休んでいた

私の責任だと痛感した

来月の京都行きを妹も連れていくべきか悩んだ

体調もほぼ戻ったときに妹に来月もう1度京都へ行く話をした

「アニキ・・・わたしももう1度あそこへ戻らないといけないような気がする・・・

なんかねぇ・・・毎晩・・あそこの神社あたりの夢を見る・・・アニキたちと一緒に遊んでる夢・・

でも・・・私以外はなんとなくアニキたちやS子ちゃんじゃないような気がしてる・・・私がS子ちゃんを呼んでも返事がない・・・アニキの名前を呼んでも無視してるし・・・なんか仲間外れみたいな感じがする・・・今までアニキたちが私を無視したこと一度も無いのに・・必ずSアニキやアニキやS子ちゃんが守ってくれてた・・・なのにあの夢だけは・・・違和感がある」と話をした

私はこの変色した写真をPCで妹に見せた

そして説明をした

妹の驚いた顔

「これこれ・・・夢の中・・・この服装・・・アニキ、この子たちだよ。私が毎晩夢見てたの・・・

でもなんで写ってるの?」

「これな・・・S君のおばさんの話だとS子の祖母だそうだよ、S子そっくりだけど祖母だってさ」

「え!!!、S子ちゃんじゃないの・・・・だから名前を呼んでも答えないわけだね・・・納得」

「やはり、アニキ、来月の京都行きは私も行く・・・どうもS子ちゃんと私に用事があるようにおもえる」

「・・・そっか・・・でも体調のことも考慮しないとな・・・」

「まぁね」

不思議な糸が私たち4人をあの場所へ行かせようとしてる気がした

なにかあったのかもしれない

あの4人と私たち4人

そっくりな人たち

S子にそっくりな子はおばあちゃんだとわかった

あと3人は誰なのだ?

それも知りたかった

8月も過ぎ・・9月に入った

残暑厳しく毎日が暑い

9月に京都へ行こうと予定はしていたが妹の体調を考慮して10月に予定を変更した

8月9月の暑さも和らぎ

過ごしやすい季節になった

妹の体調も治り元気になった

あの例の夢もほぼ見なくなったそうだ

当日、レンタカーを妹と一緒に取りに行きそのままS君の家へ

同じ車種を選んだ

今回はバーベキューセットを積んでいないので後ろはさっぱりしている

懐中電灯と電池を余分にもってきた

車中泊のために食糧も少し余分に買った

S君の家へ着いた

もう行く準備はしていて待っていた

能天気なS子は少し元気が無いように見えた

私がS子に

「風邪ひいた?」ときくと

「ううん・・・1週間前から少し体調が悪い・・・変な夢も見てるし・・・少し睡眠不足」

といつもの元気さが無い

S君も心配で今回はS子は留守番にしようと考えていた

だけど

S子が絶対に行くということでS君は折れた

私ら兄貴はどうも妹には弱い

なんでも言いなりになってる気がする(笑い

S君両親に挨拶して一路京都へ

まずはS君おばさんの祖母の実家を訪ねることにした

おばさんの兄に事の詳細を話してもらいアポをもらっていた

もう祖母の家は祖母に縁のあるおじさん夫婦が財産を引き継いで住んでるらしい

元は農家の家とのこと

順調に飛ばしておばさんの祖母の実家付近にさしかかったときにあの山が見えだした

やはりあの神社の近くなのだ

なんと!山の入り口の反対側が祖母の実家だった

まわりは樹木で生い茂り10月の季節らしい風が吹いていた

周りには民家が少なく静かだった

無事についた

S子も顔色がいい

大分体が軽くなったそうだ

おじさん夫婦が出迎えてくれた

S君兄妹もはじめてくる祖母の実家

家は少し大きい

庭もある

庭には野菜が育っていた

S子がいつもの能天気を発揮し始めた

「おっちーー、私の家だーーー、なつかしいぞぉーー」と言い出したのだ

「はぁ?おまえのうち?ちがうだろ、ばあちゃん家だ」とS君が言うと

「えへへへ・・・そうでした」と笑いながらベロを出していた

おじさん夫婦も会話を聞いていてクスクスと笑っていた

おじさん夫婦が改めてS子を見て驚いた顔になった

「おばさん・・?」とおじさんがS子にむかって話した

S子はびっくりして「え!」と声を出した

あわてておじさんは「は!いや・・・ごめんな・・・」とS子に謝った

おじさん夫婦に居間に案内されて荷物を下ろした

椅子にこしかけて私は部屋をぐるりと見まわした

整理整頓されてて綺麗な部屋

窓から涼しげなそよ風が吹いていた

外は樹林と日本庭園みたいな感じの庭が見えた

おばさんが冷たいお茶をもってきてくれた

「あんたらさぞかしつかれたでしょ?」と優しい口調でねぎらってくれた

おばさんがS子にお茶を渡すときに「おばさん、冷たいからいね」とつぶやいたときに

おばさんが「はっ、ごめんね、つい・・・おばさんじゃなかったね」と謝っていた

S子は

「はい、おばあちゃんじゃないぞぉーーS子だぞ」といつもの能天気な返事をした

それをみていたおばさんがふいに目に涙が流れてた

「そうだよね・・S子ちゃんだもんね」と

おじさんも少し涙目になっていた

私はお茶を飲んでトイレへ行こうと和室のある部屋を不意に見たときに

あの例の写真が飾ってあった

色々な写真が仏壇の前に飾ってあった

若い時のおばあちゃん

少し白髪があるおばあちゃん

そして例の集合写真

若い時のおばあちゃんを見て私は驚いた

もうまさにS子そのもの

20代であろうおばあちゃんの若い時の写真

生き写し

私はあわててS子を呼んだ

「おっちーーーFアニキ、なにーーー」とトコトコと歩いてきた

「これ見ろよ、S子、お前が写ってるぞ」というと

「あ!本当だ、私だ、いつ撮ったんだろ」ととぼけたことを言ったので

「はぁ・・おまえな・・・お前じゃないだろ。もうっ」と言うと

「えへへへへ・・・・おばあちゃんだね、私とそっくり・・というか双子みたい」

「だよな・・ちょい写真の横に並んでみろ・・・あはははは、まさに双子だ」

「だねーーー違和感がないぞぉーーー」

和室で騒いでいるのをおじさんたちも気になったのかやってきた

「なんだ、さわがしいね、・・・・あっ!・・・おばさんが二人いる」とわざとらしい

おばさんも

「あれ・・・おばさん、いつのまに帰ってきたの?」と夫婦そろってぼけてくれた

一同大笑い

それからS子はVIP以上のおもてなしをうけた

気になっていた集合写真の3人の素性をおじさんに聞いた

ところが

「この3人は・・・私もよくわからないんだよ・・・おばさんに気になって聞いたのだけれど教えてくれなかった・・・なに?おばさんの兄妹だって?・・・いや・・・おばさんは一人娘だ・・・兄妹はいないはず・・でもこの写真を見るとあんたらそっくりだな・・・いや丸写しだ・・・おばさんの友達なのかな・・・ちょいまってておくれ・・・私の一番上の姉に後で電話で聞いてみる」

おじさんは写真と私たちを交互に見て「そっくりそのまんま・・・とくにS子坊はおばさんそのものだな」

しばらくしておじさんの姉がやってきた

「○○(おじさんの名前)、どうした?なにかあったの?」と慌てた顔で家に入ってきた

私たち4人が挨拶をしたときに

「あれまぁ・・・おばさん、いつのまにここにきたの?なんで私に挨拶も無しに○○(おじさんの名前)のところにいくの?帰りましょうね」と言ったときに

おじさんが

「ねえさん・・・よくみろよ・・・こんな若いおばさんじゃないだろ・・・」というと

おじさんの姉はS子を見て

「あぁ・・・・・おばさんじゃなかった・・・・ごめんね・・おっちーー、おばさんかとおもったぞぉ」

「えええーーー「おっちーー」って・・・」と私は驚いて声をあげてしまった

(「おっちー」の起源がおじさんの姉さまだとは・・・)

S子が

「おっちーーーわたしはばあちゃんじゃないぞぉーーS子だぞぉーー」と言うと

「おっちーーーごめんなーーS子ちゃん」と答えてきた

この会話のやり取りで一同大笑いの渦になった

どうやらこの「おっちーー」の起源はばあちゃんとのこと

どんどんつながっていくな、と私は思った

おじさんのおねえさんに例の写真3人は誰なのかを聞いてみた

すると

「あぁ・・・・この3人は・・・・おばさんの実の兄妹だよ・・・この3人は病死したそうだよ。この村で流行り病が起きておばさん以外の兄妹は介護空しくあの世へ逝ったと聞いたよ」と涙をこぼして話をしてくれた

おじさん夫婦も涙が出ていた

そっか・・・ばあちゃんは・・・兄妹を亡くしたんだ

S子が泣きながら

「ばあちゃん、かわいそう・・・おっちーーもアニキが死んだら悲しいぞぉーー」

「おいおい、S子縁起でもないこと言うなよー」とS君怒り顔でS子に言うと

「うえぇーーん、アニキ・・・死んだらダメだぞぉーー」

「だから・・・おまえな・・・」と一同笑いをこみあげてくるのを我慢した

すぅーーーと窓から風が流れた・・・・風鈴が・・・リーーンリーーンと寂しげに鳴った

おじさんのあねが

「おっちーーも弟がいなくなったらと思うと

かなしいぞぉーー」のダメ押しでついに笑いの我慢が切れてその場全員大笑い

この4人はばあちゃんとばあちゃんの兄妹の生まれ変わりだ

そう思う

なにせ生まれてから他人のようには全然思えなかった

全てが自然の付き合いだった

これが「縁」というものなのか

最後におじさんに

「前回来たときに夜中のこと、神社の行く道で光がたくさんみえたけどお祭りとかしてたのかな?」と聞いてみた

「いや・・・ここらへんで夜中に祭りはしないよ・・・光が見えた?ううーーん・・・なんだろうね」

「おっちーー、それは・・・昔、たしか江戸時代まではたしか夜中に祭りをしてたとおばさんから聞いたよ、明治時代以降にお祭りはやめたとか・・・理由はよくわからないけど」と

おじさんの姉様がフォローをしてくれた

すると・・・あの光は江戸時代の人々だったのか?

あの声も・・・・

今は21世紀

ありえない

いろいろと話をして夕方になった

撮影は明日にしようとS君と話した

おじさんの姉とS 子の会話「おっちーー」と必ずつけるから見てて笑える

おじさんの姉が「おっちーー、なんかおばさんと話してるみたいでうれしいぞぉ、昔はおばさんにかわいがってもらった、なつかしい・・・」

「おっちーーー、わたしもおばさんと話してると昔をおもいだすぞぉーー」と

お互いに楽しそうに話をしていた

夕食時も大家族になり話題も大いに盛り上がった

いつもはおじさん夫婦2人だけの食事だから喜んでいた

私とS君は奥にある部屋へ泊ることにした

妹たちは和室で寝ることになった

おじさんの姉は帰っていった

おじさん夫婦には子供が無く2人きりの静かな生活をしているとのこと

ここらへんは民家が少なく夜になると外の音が余計に聞こえる

虫の声

遠くで犬の鳴き声

カエルの声

耳を澄ますと大合唱している

いつもは都会で住んでるから新鮮な気持ちになる

車の音や人の声などもう騒音でしかないけど

ここは自然の音しか聞こえない

そして静かなのだ

S君と2人で昼間のことや明日の撮影スケジュールなど話をしていたら

もう時計は0時を越えていた

和室から妹たちの話声が聞こえなくなった

寝たのかな

私たちも疲れが出てきたのか眠くなってきた

ふと目が覚めた

誰かに見られてる気がしてた

目を窓に向けた

黒い影がサッとよぎったような気がした

え!と思ったけれど

疲れてるんだ、と思い目を閉じた

眠れない

仕方ないのでレンタカーの所で寝ることにした

場所が変われば寝れるだろうと思ってた

場所を変えて正解だった

深い眠りについた

*****************

どのくらい時間が経ったのか・・・・

あたりがやだらと明るい感じがした

隣を見るとS君が寝ていた

え!

とおもい後ろの席を見ると2人の妹たちが寝ていた

ええ?いつのまに・・・

車の外を見て愕然とした・・・・

家が無い

あるのは雑草と廃墟になった家屋らしきものだけ

どういうことだ?

たしかにばあちゃんの実家に来たはず

私は慌てて車から飛び出し周囲を見渡した

なにもない

周辺の民家もない

単に山奥の雑草の中にいる

慌てて車に戻り3人を起こした

3人とも眠たい顔をしていた

「おっちーーー、もう朝かぁーーー、おはよっーー」と能天気なあいさつをしてきた

「うう・・・ねむいなぁ」とS君も体を起こした

「アニキ・・・うるさいよ・・・今何時だとおもってるの?」と寝ぼけた顔で妹が私に言ってきた

「おまえら・・・窓の外見てみろ」

3人は外を見た・・・

3人とも唖然となった

「おっちーー、家はどこ?ばあちゃん家は?おじさんたちはどこ?」

「うぇーーー、ここはどこだよ、実家じゃなかったのか」

「アニキ・・・こわいよぉ」と口々にしゃべりだした

私はカーナビを起動させた

たしかに住所は合ってる

だが肝心の家屋が無い

どういうことだ?

私はすぐにS君の家へ電話した

住所は間違いないけど家屋が無い、と話をした

S君のおばさんから「おかしいわね・・・家が無いなんで・・・たしかに私の兄から実家へアポをとったはず、ちょっとまってて、兄へ連絡するから」と一旦切れた

しばらくしてからおばさんからの電話

「兄からはたしかに実家の住所とばあちゃんの親戚筋に当たるおじさんにアポをもらった、と言ってるのよ、おかしいわね」

「おばさん、そのおばさんの兄の電話番号を教えてください」というと

「そうだよね、一度聞いてみて」と言い、電話番号を教えてもらった

ところが

電話しても「使われておりません」のアナウンスだけ

なんだよ、とおもいつつS君の家へ電話した

おばさんが出てきて

「あなたたち・・・たった今、警察から連絡が来て交通事故にあったというから・・・あれ?交通事故にあったんじゃないの?」と

訳が分からないことを言い出した

「いいえ、4人とも無事です、それよりも今さっき聞いた電話番号、通じないです」と言うと

「え?電話番号?なんのこと?」と

「ええ?今さっき電話したんだけど」

「え?いまさっきなの?電話などこなかったけれど?」

「えええーーーじゃあ、今さっきの人は誰なんだよ」

「F君、落ち着いてね、あなたたち、事故にあったのよ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

足に強い痛みが走った・・・・

ふとみると太ももから血が流れていた

隣を見た

S君が額から血が流れていて気絶していた

私は急に不安になり後ろを見た

2人の妹が顔から血が垂れていて真っ赤に染まっていた

どうやら実家へ向かう途中に事故にあったみたいだ

しばらくすると救急車とパトカーがサイレンを鳴らして来ているのが分かった

救急隊員が声をかけてきた

私は気絶した

次に目を覚めた時は病院だった

4人とも同じ病室にいた

お互いの両親がきていた

幸いにも死亡者はいなかった

だが・・・重体だった

特にS子は生死をさまよった

S子の両親は泣きじゃくっていた

S君は重体だが命に別状はない

私と私の妹も重体だった

だが・・・事故に遭う前の記憶が無いのだ

しばらく入院生活をした

どうやらばあちゃんの家を出た後に事故にあったらしい

だけど・・・私の記憶は・・・眠れないからレンタカーへ移ったところしか記憶が無いのだ

推測だが家を出た後に私は眠気に襲われたのかもしれない

夢うつつで運転していてそのまま事故に遭ったとしか思えない

だけど・・・後の3人も・・・いつ実家を出たのか記憶がないそうだ

夢?中では雑草と廃墟しかない場面しか思い出せない・・家を出た記憶がない

おじさんの話だと

家を出てしばらくして遠くから車がぶつかる音がして

おじさんがあわてて見にいったらしい

まさか、とおもいつつ・・・・

そしたら案の定・・・事故を起こしていた

すぐに119番と110番してくれた

もうおじさんたちはパニック状態でおばさんが気絶して倒れたらしい

ということは確かに実家へ行ったということだ

あのやりとりは夢ではない

でも・・・家を出た記憶がない・・なぜ?

事故で記憶がなくなった?

医者もその可能性はあると言っていた

でも4人とも家を出た記憶をなくすものなのか

入院生活も半年になり

リハビリなど

こなしながら

4人は徐々に元気になった

特にS子は生死をさまよい

あの世へ逝きかけた

入院生活はとにかく暇だった

S君と色々な話をした

実家を出た記憶を蘇らそうと努力はした

妹たちも記憶を戻そうとしたが

記憶が全然思い出せない

いつ実家を出たのか・・・

今でも不思議で・・・しかたがない・・・

しかし・・・それと例の写真が消えていた・・・

PCから消えていた

消した覚えはない

おばあちゃんの実家のおじさんにもその話をした

でもそんな写真は見たことが無いという

しかし、S君のおばさんは見た、と言っている

一体あの写真はなんなのだ?

1年後に私だけばあちゃんの実家へ行き

おじさんにお礼と謝罪をした

そして、家を出た記憶がないことを話した

和室にあった写真は・・・無かった

あとの若い時の写真や年取ってからの写真はあった

S子にそっくりなのは確かだった

おじさん曰く

「そんなはずはない・・・あれだけ元気に挨拶をして家を出たんだからね」と・・・

そのあとすぐに事故った

おじさんも不思議だな、と言っていた

一体どれが現実でどれが夢なのか・・・・

頭が混乱してる

あの例の写真の4人があの世へ呼ぼうとしたのか?それとも守ってくれたのか?

おばあちゃんの兄妹たち

私たちは間違いなくあの4人の生まれ変わりだと信じている

写真は無くなったがあの集合写真の記憶は残ってる

文章が長くなり読みづらいと思います

話が2転3転と変わり夢なのか現実なのかわからない文章になってしまいました

私の記憶を基に再現したのものですから記憶違いということもあり得ます

だが4人が一堂に言い切れるのは「実家を出た」記憶がない、これだけです

Concrete
コメント怖い
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