中編3
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ゲームソフト、、、

「暇だなぁ、、、もう飽きたよこのゲーム」

コントローラーを投げながら、ヒロキは呟いた。

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「もう、ボスもステージも全部クリアしたもんね。」

カツキが答えながら大の字に寝そべった。

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小学生の夏休みも、時間を持て余し過ぎると苦痛にしかならない。

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他の友達は旅行に行ったり、塾に行ったり、それぞれの生活を送っている。

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「新しいゲームを買う金は無いし、みんな旅行や塾だもんなぁ」

ヒロキはゴロゴロしながら扇風機を強にした。

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「なんか、面白い事、、、あっ!!」

何か思いついたのか、ヒロキが声をあげた。

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「なになに?どしたの?」

カツキが問いかける。

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「隣の廃墟さ、表の窓からこの前のぞいた時に、棚にソフトがあったんだよね。」

ヒロキの家の隣、30m程離れた所に廃墟がある。

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住んでいた人は知らないが、家族?一人暮らし?  人が住んでいないと認識して三ヵ月程度経つだろうか。

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「え!?なんのソフト?、中身入ってんの?、取り行こうよ!」

カツキが食いついてきた。

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「よし、行こう!善は急げだ。」

全くもって善ではないが、純粋無垢な小学生には、そんな事は関係ない。

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二人は廃墟への侵入を試みる。

が、案の定玄関は、ドアノブにチェーンが巻かれ、南京錠がかかっていた。

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「カっちゃんカっちゃん!後ろの勝手口開いてるよ!」

目的のソフトがある部屋とは正反対にある勝手口は、正面玄関に比べ、鍵もチェーンもかかっていなかった。

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「ソフト以外も、何かお宝ありそう。」「見つけたら山分けな。」

二人は勝手口から侵入し、土足のまま上に上がった。

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家の中は、家具などがそのままにされており、ペットボトルやインスタント食品の空き箱、

菓子の袋が散乱していた。

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二人は二手に分かれ、ヒロキがゲームソフト、カツキがその他のお宝を求めて、家の中の探索を始めた。    ヒロキはソフトの部屋まで辿り着くと、棚から取り出し、ズボンとパンツの間に挟み込んだ。  

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ソフト以外の棚も物色するが、めぼしい物は何もない。

「この様子じゃカっちゃんも収穫無しだろうな、、」

廊下に出て、カツキに会う。

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やはり収穫は無いらしい。「戻ろうか、、早くこのゲームしよう。」

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二人で入ってきた勝手口に戻っていく。

と、その時、ヒロキが足を止めた。

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「ん?どしたん?」カツキが問いかける。

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「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

叫びながらヒロキは駆け出した。

何も分からないままカツキもついて行く。

「ちょっ!?何!?どしたんっ!?」

無我夢中で走りながら、廃墟の前の堤防を駆け上がり地面に突っ伏して

廃墟の方を見据えるヒロキ。

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カツキも何も言わないまま、同じように身を伏せ、廃墟を見据えた。

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たった今二人が出てきた勝手口を見据える。  ドアがギィギィ揺れている。

と、そこに、男が一人出てきた。 

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カツキは驚愕する。

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鎌を持っている、男が鎌を持っている。辺りを見回しながら

また、廃墟の中へ入っていった。

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カツキは震えながらヒロキに問う。「誰?あの人誰?」

「知らん!見たこともない!」

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ヒロキが足を止めた時、視線は和室にあった。

和室の押し入れ、   襖がすーーっと開いたのだという。

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顔は見られていない、もう会うこともない、、、、、はず、、、

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あの男は一体何だったのだろうか。

   

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