中編3
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こだまの予言

仲良しの大学生4人組、それぞれ進路も決まって来年の春には別々の道に進むことになっていた。

最後に4人で思い出づくりに旅行でも行こうということになり、一人地方出身者のA君の帰省にあわせて、夏休みにみんなで四国の山へ登ることにした。

初日は麓の旅館に泊まり、早朝そこから山頂を目指そうと計画を立てていた。

翌日は快晴で絶好の登山日和。

しばらく歩くと、小さな山小屋と公衆トイレがあり。トイレの横のベンチには数人登山客とみられる人たちが座って休憩していた。

4人も疲れてきたし、ちょうどお腹も空いてきたので、そこで休憩することにした。

中に入ってみると机が2卓と長椅子置かれ、中からおばあさんが出てきた。

「こんにちは」って声を掛けると、

「すみませんね、食事はお盆過までしかやってないんですよ」って返事があった。

壁を見ると、うどん、おにぎり、カレーと、メニューを書いた短冊が貼ってある。

4人は旅館の近くのコンビニでおにぎりやパンを買っていたので、休憩だけしたい旨を伝えると、じゃあお茶だけでも飲んで行きなさいと、一旦奥に消えた後、お盆に麦茶を乗せて「ゆっくりしていってね」と4人の前に並べ、また奥へと帰っていった。

しかし出された麦茶は3つで、Bくんのだけが無い。

あれ?って思ったが、場所を貸してもらっているだけなので、お茶が一つ足りないとも言えず、おかしいなと思いながらも食事を済ませ、おばあさんにお礼をいって山小屋を後にした。

山頂に着くと、そこは開けた展望台になっていて、自分たち4人以外に登山客はいなかった。

お調子者のC君が「ヤッホー」って叫ぶ。しばらくすると「ヤッホー」って返ってくる。

他に登山客がいないのをいいことに、みんな「ヤッホー」とか「〇〇のバカー」とか口々に叫んでは、こだまするのを面白がっていたが、B君だけは、いくら叫んでも返事がない。

「声が小さいんだよ」って言われ、ムキになってお大声で叫んでもシーンとしてる。

「お前、山に嫌われてるんじゃね」とか「声が悪いからな」と散々からかわれながらも、たいして気することもなく、しばらく景色を楽しんだり写真を撮ったりして下山する事した。

旅館に着く頃にはすっかり辺りは暗くなり、みんな初めての登山でくたくたに疲れ、風呂と食事を済ませたらすぐに寝てしまった。

翌朝旅館をチェックアウトして、午前中は4人で車で観光し、実家のあるA君をそのまま送り届けたあと、3人も帰る予定だった。

二日後、A君の元へC君から連絡があった。

内容は、A君を送った帰りに事故に合い、自分たちは今X県の病院に入院していて、やっと連絡がとれるようになったこと、D君も怪我をして同じ病院に入院しているが命に別状はないこと、そして運転していたB君は即死だったことを聞かされた。

B君の葬儀も終わり、しばらく経ったある日、A君はつらくて見るのをやめていた旅行中の写真を見ていた。行きの車中で笑うB君や、旅館でふざけているB君がそこには写っていて、目頭が熱くなってきた。だが、B君が写っている写真はそれで終わってしまった。山頂で何枚も撮ったどの写真にもB君は写っていないのだ。景色をバックに4人並んでセルフタイマーで撮った写真にも、確かにB君にレンズを向けて自分が撮った写真もただ風景が写っているだけだった。急いで他の二人に連絡をとってみると、やっぱりB君が写っている写真は一枚もなかったという。

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