短編2
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電車にて

俺はいわゆる「見えてしまう」体質だ。

この体質のせいで見えなくていいものまで見えてしまうのであまりいい思いはしたことがない。

子供の頃に母親や友だちに伝えてもそんなものはいないと言われ変な子と扱われたりもしたのでもう人には見える事はことは言わなくなった。

いつものように電車に乗って学校にむかっているとまた見えてしまった。

実は霊というのはあまり完全な人型をしていないことが多い。

生前の形を留めているのは余程死ぬ間際に強い思いを持たないといけないからだ。

その日も電車で見えたのはつり輪にぶらさがっている幼稚園児ぐらいの大きさをしたやつと、網棚で寝転んでいるこれも同じような大きさのやつだ。

電車がガラガラで誰もいなかったこともあり俺はそいつらを写真にとった。もちろん写るわけはないのだが同じ体質の人にはみえることが多い。

俺には同じ体質親友がいてそいつとよくこの体質のことで愚痴を言い合っており、今回も「また見えたよ」と一言添え、そいつにメッセージアプリで写真を送った。

すぐに返信がきて「おいおい3つもいるじゃん笑。やっぱ電車は多いんだよなー。」

返信を読んで笑いながら「何言ってんだよ、つり輪と網棚のとこで2つだろ笑」と更に返信。

またスマホが震え、返信があることを告げる。すぐにアプリを開き内容を確認する。

「いや写真の端っこに女の形のやつ写ってるだろ。完全に人の形して座ってるやつ。お前見えてないの?」

急いで写真を確認すると確かに写真ギリギリに髪の長い女が座っているのが写っている。

でも俺は他人が写らないように注意をして写真を撮った。確かに周囲にはガラガラで誰もいなかったはず。

俺は恐る恐る女が写っていたの座席を見た…

すると正面の座席に髪の長い女がずっと下をみて座っている。

今まで見えてきたものなかでここまで生前の形を留めているのは初めて見た。

その女からでる異様な雰囲気に圧倒され冷や汗がわき出てきた。

こんなに形を留めいてる霊は生前の思いが強すぎて地縛霊と化しているやばいやつだと親友が言っていたことを思い出す。

なぜか目をそらすことができず、身体が動かない。頭では車両を変えて逃げようとしているのに思うように身体が動いてくれない。

俺の体がありとあらゆるアラートを出しているのに動かない。

女がゆっくりと立ち上がり出した、慌てて目をその女から逸らすが明らかに雰囲気でこちらを見ている。

またどっと冷や汗が出る。

身体は動かない。

完全に立ち上がった女はゆっくりこちらに歩いてくる…

ああ、停車駅はまだ遠い…

Concrete
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