短編2
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呼ばれる 2日目

1日目はお読み頂けているでしょうか…??

読んでいない場合は、もしかしたら意味が分からない部分が出てくるかもなので、お時間ありましたら『呼ばれる 1日目』から読んだ頂けると幸いです。

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翌日の夜に、このオリエンテーション最大の目玉、キャンプファイアーがありました。

キャンプファイアーでは、各クラス毎に劇やダンスなどを披露し、実行委員が決めたレクリエーション等をしました。

盛り上がりの中で私は昨日の出来事など忘れて、他のクラスの劇で笑ったり、友達といろんな話をしたりして充実した時間を過ごしていました。

最後に学年主任が得意のギターで1曲披露し、そのギターの音をBGMに、雑木林の道の両サイドに蝋燭を灯したキャンドルロードをロッジに向かって歩いて行くという穏やかな時間を過ごしていた時、また見てしまったのです。

道を友達と他愛もない会話をしながら歩いている途中、前方の木の影から覗き激しく上下に動く人の形の白いモヤを。

そのモヤは近づくに連れ、人の形をしているのではなく、人である事が確認できます。

しかし、それは学年の子でも先生でもなく、貞子のように白い服を着て、前髪も後ろ髪も同じ長さだけれど真ん中で分けられていて、顔が見える状態でした。

昨日の出来事がフラッシュバックし、顔を強ばらせながら友達に昨日のヤツがいると言いましたが、友達には見えていないようでした。

なるべく見ないように努めていましたが、人間の見てはいけないと分かっていても見てしまう部分を盛大に発揮し、すれ違いざま横目でちらっと見ると、その人は木の影から半身が見える状態で首を60°に曲げ、目は大きく見開き、口は裂けているんじゃないかと思うくらい大きく口角を上げ、ものすごい速さで手招きをしていました。

あ、見なきゃ良かったと後悔したと同時に私は泣きながらロッジまで走りました。

あの時の姿が脳裏に焼き付いて、その後の記憶はほぼありません。気づいたら翌日の帰りのバスの中にいたという感じです。

後日、地元であの時私を呼んでいた人を見たとか、後ろから誰かに呼ばれるなんて事はありませんし、昨日の白いモヤなんて表現もしましたが、2日立て続けに見たモヤが同一のモノであるかどうかも、今となってはわかりません。

しかし、ある意味記憶に残るオリエンテーションになりました…笑

毎年夏に小中高の同級生と集まった際に、決まって怪談話をするのですが、今でこそ『白い服の高速手招きオバサン』なんていうタイトルにして笑い話のようにこの話をしますが、当時は本当に恐怖でしかありませんでしたし、やっぱりオリエンテーションに行った同級生で、あの人を見たという話は聞きません。

私に何か言いたかったのか、それともただ単に道連れにしようと思っただけなのか…

どちらにせよ、あの人に再会するのは絶対に嫌です。

Concrete
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