中編2
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マサオ

上がってくるな…

上がってくるな…

夢か現実か、寝ぼけ眼をこすりながら足元を見てみると、愛犬のマサオが半分開いたドアに向かって小さく唸っていた。

薄っすら見える壁掛け時計の針は丑三つ刻を指している。マサオとは俺が昔飼っていたパグ犬、マモルの孫にあたるブサメンだ。けしてワサオではない。

マモルは大変不思議な力を持つ妖犬だったが、紹介すると大変長くなりそうなのでここでは割愛する。

マモルの息子、つまりマサオの父親であるワタルは至って普通の鼻づまりがチャーミングな奴だったのだが、このマサオは祖父マモルの力をモロに受け継いでいるのか、唸るとそれが人間の言葉へと変換されて俺の頭の中へと流れこんでくるのだ。本当だ。

久しぶりの感覚に最初はびっくりしたが、マモルと違ってマサオは生意気な言葉は使わずに優しく危険を知らせてくれるので、俺はすぐにこの超異常現象を受け入れることが出来た。

上がってくるな…

上がってくるな…

さて、マサオがいま見つめている先は闇だ。そして廊下の先には階段がある。果たしてその下から今、何が上がってこようとしているのか?

「…マサオくん?」

残念ながら小声でそう話しかけてもマサオはふり向かない。そうマモルの時とは違って俺の言葉はマサオに届かないのだ。いつもマサオの一方通行で会話が出来ないのが本当に残念なところだ。

上がってくるな…

上がってくるな…

あーあ、上がって来ちゃったよ…

俺は反射的にマサオを抱きしめて布団の中に潜りこんだ。この子は!本当に怖い事ばかりいう!

結局、上がってきた何者かの気配は俺たちの布団の周りをグルグルとしていたが、飽きたのか、それとも諦めたのか、知らず知らずのうちに消えていた。つか、寝てた。

見てはいないが恐らく、息遣いから推測できる顔の位置からしてあの有名な八尺様だったのでは?と、思ったり思わなかったりである…

まあ、ちゃんと見ていないから何ともいえないし全部夢だったのかも知れない。じゃあ、書くなよバカ!って怒られそうだが、今回はマサオの紹介がしたくてこれを書いてみただけなので、大目にみていただけると有り難い…ひ…

マサオ。

「…フガ」

夢でも見ているのかい坊や?可愛いやつめ。

それでは、夜が明けそうなので今夜はこの辺で。また次の機会に。

Concrete
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とうとうマモル君のお孫さんの代のお話が見れるとは。。姐さんは感動しています😂😂

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