ついに餓鬼とも!自宅を襲撃する

長編20
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ついに餓鬼とも!自宅を襲撃する

いやはや・・・写真の整理で思わぬことを思い出してしまった

でも・・・整理をしたおかげで1回目の火事が付け火だとわかったことは有意義だと思う

幸いにも1回目の火事でほぼ焼失したと思っていたけれど・・・結構な数のオアキ・オハルちゃん関連の資料や写真が見つかった

写真や資料の整理で結構忙しい

S君もだいぶお疲れのようだ

8月もお盆まで1週間

暑い日が続いている

中庭でS君と2人で資料の整理をしていた

夜中の1時を過ぎた

だいぶ蒸し暑さも緩和してきたように思える

「ふぅ~~、けっこうな数だな

一族のためとはいえちょっときついよな」

「仕方ないさ・・・いろいろな怪現象の元を探さないと落ち着く日は来ないよ」

「だな・・・まぁ・・・大体は平安時代だと思ってるけれどな」

おしゃべりをしながらの作業

「パパ~~、まだ起きてるんだ・・」

葵と楓が手をつなげてやってきた

「うん・・・まぁな・・・どうした?」

「あのね・・・廊下の奥の方でなんか音がするんだよ

はじめはね・・・兄ちゃんたちがなんかやってるんじゃないかと思ってたの

兄ちゃんの部屋は明かりがついてないし隣の部屋からの音じゃなかった」

「え?音がするって?いつごろから?」

「あのね・・・言おう言おうと思ってたんだけども3か月前からたまに聞こえてた

毎日じゃないよ、たまにだよ」

「えーー、3か月前からなの・・・そっか・・」

「うん・・・怖くて怖くて・・・自分たちの部屋のドアを少し開けて兄ちゃんたちの部屋の窓から

明かりが消えているのを確認して奥の廊下を聞き耳してたらやはり廊下の奥から聞こえてきたんだよ

「そっか、怖かったろ、今は聞こえてる?」

「うん、聞こえてるよ、だからパパのところに来たんだ」

「そっか、よし!パパと一緒に部屋まで行こう、トイレはいいの?」

「トイレ行きたい、パパ、一緒についてきて」

「あたちもトイレなんだぞ」

「わかった、まずはトイレから」

どうやら3か月前から廊下の奥から異音がするらしい

「S君、しばらく一人で整理しててくれ」

「オッケーー、整理しとくわ」

娘たちのトイレを済まし異音がする奥の廊下まで来た

「よっし、ここで見てておくれ」

「うん、パパ、ここで見てるね」

別に奥の廊下は異常はない

南に娘たちの部屋(元はF子の部屋)

北に息子たちの部屋(元は自分の部屋)

その真ん中に廊下がある

廊下の奥の向こうの壁の外は道路だ

私は壁に耳を当てた

ギィギィ

ドン

え!?なんだこの音は・・・・

ドアを開けて閉まる音によく似てた

あり得ない

壁の向こうは道路なのだ

2車線の道路で隣の家の音は聞こえない

「ね!パパ、聞こえたでしょ?」

「確かに聞こえた、あり得ない、壁の向こう側は道路だよ」

「うん、道路だよね、でも音がする、なんで?」

「おかしいよな、まさか、壁の向こうに隠し部屋とかあるのかな・・・位置的に無理だと思うけどな」

「わかんないよ、パパ、怖いよ」

「よぉし、兄ちゃんたちと一緒に1階へ行こう、今晩は2階で寝るのは止めようね」

「うん・・・兄ちゃんたちと一緒にじっちゃんのところの部屋におるね」

「うん、兄ちゃんたちを起こそう」

息子の部屋へ入り息子たちを起こした

「うわ・・・なに?どうした?パパ、なんかあったの?」

「ごめんな、起こしちゃって、訳は後で言うからとりあえず起きて1階のオヤジの部屋へ楓と葵を連れて行ってくれ、匠」

「仁もごめんな、起こしちゃって」

「え・・・なんかあったの?」

「訳は後で言うよ、とりあえずは妹たちと一緒にオヤジの部屋へ行ってくれ」

4人の子供と一緒にオヤジの部屋へ行くことにした

階段を下りて中庭で作業をしているS君に声をかけて廊下の奥から音がする旨を話しをした

「え?マジかよ、壁の向こうは道路だぞ」

「そう、道路だけど、確かに聞こえた、後で一緒に確認しよう」

「わかった、あとでな」

オヤジたちの部屋に入った

「オヤジ・・・起きてくれ」

「ううう・・・お!どうした?楓ちゃんたちよ」

「すまん、訳は後で話す、子供たちをここで寝かせてあげてくれ」

「おうよ、まかせとけ、ここでゆっくり寝ればいいぞ」

「うん・・・じっちゃ、ごめんね、2階は寝れなくなったから」

「そっか・・・ゆっくり寝ればいいぞ」

「ばあちゃ、ごめんね」

「いいよ、ここで寝ればいいよ」

「ばっちゃ、お手て、葵と一緒に寝ようよ」

「なにかあったかしらないけれど葵ちゃん、楓ちゃん達、ここにいればいいよ」

とりあえず子供たちをオヤジたちに預けた

「ところでよ、オヤジ、2階の奥の廊下の向こう側はなにか隠し部屋とかあるのか?

壁の向こう側からドアを開ける音と閉まる音がしたぞ」

「なんだ?2階の廊下の奥の向こう側は道路だぞ、隠し部屋なんぞありゃしないぜ」

「だよな、でも、今さっき壁に耳を当てたら音がしたんだよ」

「ありえんぞ、道路だぞ、空耳だろ!」

「いやいや確かに聞こえた、空耳じゃない」

おふくろも同じ事を言った

もう夜中も3時だ

「もう子供たちよ、寝ておくれ、じいちゃ、ばあちゃ、がいるから安心して寝るといいよ」

「うん、パパ、わかった」

「オヤジ、すまんが、廊下で座っててくれ、暑いけど我慢しててくれ」

「おうよ、廊下にいるぞ」

「なにかあったらすぐに子供たちを連れて逃げてくれ

それとF子、S子も面等見てくれ」

「おう、まかせとけ」

私とS君はもう1度廊下の奥へ

ガタガタ

ドンドン

タッタタ

完全に誰かがいる

もう生活の音だ

それも夜中にだ

念のために娘たちの部屋から道路を見た

だれもいない

その向こう側の家は明かりはついていない

「俺、おやじを連れてくるわ」

「おう、おやっさんを連れてきてくれ」

オヤジを連れてきた

「オヤジ、壁に耳を当ててみてくれ」

「おう!・・・あぁ・・・音が聞こえるぞ

というか・・・誰かがいるよな

しゃべってる声がするんだけどはっきりと聞こえない

でも・・・この雰囲気は・・・覚えがるようなないような」

「え!?雰囲気?意味が分からん」

「まぁ・・このしゃべりかたや音の出し方、懐かしんだよな」

「懐かしい?オヤジ、大丈夫か?」

「いや・・・なんとなくだが・・・はっ!!!

こりゃ・・・信じられん・・・このドタバタ、なんか閉める音、歩き方

笑い声など

おい!F!、まさかとおもうが・・・こりゃ

我が家のもうン十年前のような気がする

おまえらがまだ幼稚園に行ってた時の感じとよく似てるんだよ

おまえらがほら幼稚園の遠足の日だ

F子とおまえでけっこう派手に弁当のことで争ってたろ

おれがF子をかばったんでおまえが泣き出したんだよ

その時の音というか雰囲気なんだよ

今聞こえてる音がよぉ

信じられん・・・」

「まさか!そんなことはないだろ、オヤジよ、じゃなにかこの壁の向こう側はン十年前の世界の俺たちの部屋というか家なのか?ありえんだろ」

「でもよ、おやっさんのいうこと当たってるような気がするぞ

よく聞いてみろよ、なんか騒いでる感じがする、たしかに小さな子供の声だぞ」

「どれどれ・・・たしかになんか騒いでるよな

聞き取りにくいな、でも完全に壁の向こうに誰かがいることは分かったよ

でもどうしたらいいんだよ、これじゃ普通の生活が出来ん

息子や娘たちの部屋があるし、ずーと1階に避難しておくわけにもいかんし、困ったな

かといって壁を壊して確認をするわけにもいかないし」

「だな・・・まぁ・・提案なんだけど、小さなドリルで穴をあけたらどうかな?

おやっさん、無理かな?」

「開けてみるか・・・」

ドリルを使い穴を開けた

信じられない光景が見えた

ぼんやりだがリビングが見えたのだ

冷蔵庫も見えた

なんだかんだでもう午前4時

「おっちーー、パパたち、何をしてるのさ?」

S子がやってきた

「トイレへ行くときに匠や仁の声が義理父の部屋から聞こえてきたんで

のぞいたら子供たち4人いるじゃない、訳を聞いたら奥の廊下でどうのこうのって

何をしてるんのさ?」

「あのな・・・この穴からリビングが見えるんだよ、ボンヤリだけどな」

「え?まさか、パパいい加減なこと言わないでよ」

「見て見ろよ」

「パパ・・・何も見えないよ、まっくらけだよ」

「え!うそだろ、どれ・・・・え?まっくらけ・・・」

どういうことだ

今までたしかに見えていた

訳が分からん

とりあえず、私たちはリビングへ戻った

たしかに見えたのだ

人がいたし声もした

オヤジの言うことには昔の私たちの姿だという

ということは壁の向こう側は過去の時間が流れているのか?

というか・・・なんで壁の向こうがリビングなんだよ

こりゃ・・・和尚様をまた呼ばないと・・・でも毎週毎週呼ぶとなると・・気が引くな

一応連絡してみよう

朝も7時過ぎ

子供たちも起きてきた

朝食をし子供たちにはとりあえず昼間は2階の使用の許可を与えた

夕方6時以降は絶対に2階へ行かないようにと言い聞かせたけど・・・

不便だな

「えーーー!!!昼間だけって・・ちょっと・・」

「匠兄ちゃんの言う通りだよ、夜に部屋へ入れないとなるとな・・・」

確かに・・・しかし、用心のためだ

「ごめんな、はっきりと壁の向こう側がどうなってるか分からない以上は協力してほしいな」

「あたちはパパのいうことを聞くんだぞ、怖いんだぞ、何か起きそうなんだぞ」

「私もそういう予感がするよ、兄ちゃんたちもパパの言うことを聞いてほしい」

「楓が言うなら・・・仕方ないな・・」

和尚様に電話をした

「すいません、朝早くから

また問題が発生しました・・・」

今までの出来事を詳細に和尚様に伝えた

「そりゃあかんですわい、恐らく壁の向こう側は時間の流れが逆になってるんですわい

恐らくこれも餓鬼たちの仕業でしょうな、何の目的で時間を逆行させてるか分かりませんけれど

絶対にその廊下の奥へ行かない方がいいですわい

子供たちには絶対に行かないようにと言い聞かせてあげてくださいな

何が起きるか分かりませんから」

「はい、子供たちには言い聞かせます

和尚様、大至急、家へ来てください」

「もちろんですわい、おふくろ様の実家から蔵の復興資金をもらいましたからのう

それのお礼もかねて今夜には寺を出ますわい

着くのは恐らく深夜になり申すけれど・・・

それと、その2階の入り口と廊下の奥に必ずお守りと薬を置いてくだされ

でわ・・・」

良かった、和尚様が来てくれる

しかし・・ちょっと待て・・・

覗き穴?

は?

位置的にボンヤリだけど見えたのはリビングだと思う

冷蔵庫が見えた

ということは西側だ

私はリビングの冷蔵庫当たりの壁をよく見た

穴は開いてない

壁沿いをよく見た

あっ!これかな?

すこしなにか詰め込んだ感じの穴があった

指でその穴をいじくった

ボロボロとなにか砂みたいなものが取れた

完全に穴だ

その穴から見た

西側の家の壁が見えた

ということは・・・・気づかれずに誰かがこの穴から見ていたということか!

「おい!オヤジよ、こっちへきてくれ」

「おう!」

「これを見てくれ、穴が開いてる

砂みたいなものが詰まってて指でほじくったら穴が開いたぞ」

「なに!、どれどれ・・・うわぁ・・・西側の壁がよくみえる

どういうことだこりゃ・・・今まで全然気づかなかった

もろに部屋を見られてたってことかい・・・」

でもこのくらいの穴なら西側の明かりが中に入って気づくはずだが・・・

ん?もしかして・・・思い出せよ

あっ!たしか高校の時まで西側には自転車小屋があったはずだ

「オヤジ!今思い出したが自転車小屋があったよな?」

「お!思い出したぜ、たしかに自転車小屋だ

だからか気づかなかったわけだ」

「念のために外からこの穴をのぞいてみるよ」

わたしは急いで西側の穴のところへ行った

今は何もない

昔はここに自転車小屋があった

私は穴をのぞいた

え?見えない・・・リビングが見えない

馬鹿な・・・みんなリビングにいるんだよ

声も聞こえてこない・・・そんな馬鹿な

私は急いでリビングへ戻った

もう1度リビングから穴をのぞいた

西側にある家の壁が良く見える

どういうことだよ

「オヤジ、西側の外から穴をのぞきに行ってほしい」

「お!わかった、見てくるぞ」

わたしはずーと穴をのぞいていた

オヤジが見えた

うわぁ、オヤジの目玉が丸見え

あれ?おやじが慌てて走っていった

「おい!!!なんだよあの穴はよ?何も見えんぞ、真っ暗け

絶対におかしいだろ、なんでこっちのほうからは壁が見えて、西側の方からは真っ暗けなんだよ」

「だろ!!!おかしいって・・・どうなってるんだよ」

S君にも確認しに行ってもらった

やはりS君も同じことを言った

どうやら推測だがこの家の一部が時空間の渦の中に入ってるんじゃないかと

「おそらくだけど・・・この家、もしかして時空間の間に入ってるんじゃないかと思う」

「え・・・マジかよ・・・」

とりあえず和尚様が来ないとはじまらない

昼も過ぎ何ことも起きていない

昼食の後

葵と楓とS君と一緒に中庭

葵は相変わらず草むしりと木や花に水を与えていた

楓はお絵かきをしている

昼も無事に過ぎた

夕方、オヤジとおふくろが帰ってきた

匠と仁は慌てて自分の部屋へゲーム機などを取りに行った

またリビングからのぞいてみたが壁が見えた

西日がすごい

蒸し暑い

電話が鳴った

和尚様から

いまから寺を出るとのこと

着くのは夜中23時過ぎかな

ちょこちょこと2階へは確認をしたが

昼間の時間帯は異常はなかった

夕食を終え夜の21時になった

それぞれの部屋へみんないってしまった

ドーンと上から音がした

2階へは誰も行っていないはず

私は廊下を見た

おやじはそこに座っていた

「オヤジ、今の音聞いたか?」

「聞いたぞ、2階からだ、だれも2階へは行ってないはずだぜ」

私は各部屋をのぞいた

S子、F子はおしゃべりをしていた

「アニキ、今の音は何?

すごい音がしたけど?」

「だろ、あとで見に行くけど

まずは子供たちを見ないとな」

「おっちーー!!すごい音!

怖いんだぞ」

「2人はそこにいてくれ

恐らく何もないとは思うけど」

「わかったんだぞ、パパ、気を付けるんだぞ」

私は仁と匠の部屋をのぞいた

ゲームで遊んでいた

「パパ、すごい音がしたね、なんだろう?」

「さぁ・・わからない

あとで2階へ見に行ってくるよ

とりあえずはこの部屋から出るなよ」

「うん、わかったよ」

娘たちの部屋をのぞいた

おふくろと一緒におしゃべりをしていた

「パパ、今の音、2階からだよね?

大丈夫なのかな?

なんか、足音も聞こえたような気がするけど

兄ちゃんたち、部屋にいたの?」

「いたよ、ゲーム機で遊んでた

足音が聞こえたの?」

「あたちも聞こえたよ」

「私も聞こえたよ」

「そっか・・・足音か・・・

2人ともばあちゃんの傍から離れたらダメだぞ

廊下にはじいちゃんがいるからな

2階へ絶対に行かないようにね」

「うん、わかったよ、パパ」

「わかったんだぞ、あたち、もう寝るよ、眠いよ」

「楓も寝るといいよ

おふくろも眠いと思うけどしばらく起きててくれ」

「はいよ、起きてるよ」

S君を誘い2階へ行くことにした

おやじは廊下でキョロキョロと周りを見回していた

2階へ行く階段の明かりのスイッチを押した

だが、明かりが点かない

「え?点かんぞ、おかしいな」

「俺、ブレーカーを見てくるわ」

しばらくするとS君が戻ってきた

「あかん、2階のブレーカーが焼けてた

2階は全部点かないよ」

「え!まじかぁ・・・・」

懐中電灯を手にもって慎重に階段を昇った

「暗いな、こんなに暗いものかな・・・

外は月が出てるのにな

中庭が月の明かりでよく見えたのにな」

「ほんと、まっくらけ、先が見えない」

各部屋をのぞいた

なにか物が落ちたようなものはなかった

廊下の奥に来た

穴をのぞいた

ぼんやりとだが部屋が見えた

声がしてる

小さな子供の声も聞こえた

「お兄ちゃん!だめだよ、それ私が先なの!」

「今日は遠足なんだよ、妹は遠慮しないといけないんだよ」

「私も同じだよ、私の大好物なの!!!」

え・・・この会話って・・・この声、懐かしい

私とF子だ

小さい時の私とF子だ

そんな馬鹿な・・・・

「S君ものぞいてみな」

「お?どれどれ・・・・わっ!なにこれ・・・ぼんやりだけど子供がいるね

わぁわぁ、わめいでる」

「これな、自分が小さい時の遠足の時だよ、F子と弁当のことで喧嘩になった

まさかこんなところで過去の自分たちを見るとは思わなかったな」

「そっかぁ・・・こりゃ完全に時空間の異常だな

早く和尚様来ないかなぁ・・・」

「とりあえずは1階へ戻ろう」

「だな・・・戻るか」

私たちはリビングへ戻った

とにかく和尚様が来ないと何もできない

夜の23時過ぎたころに電話が鳴った

和尚様からだ

もうそろそろ着くという電話だった

「もうそろそろ和尚様が来るよ」

「お!やっとかぁ!!!」

私は廊下に出て

「オヤジよ、和尚様がもうそろそろ来る!

オヤジはそこにいてくれ

子供たちが部屋から出そうになったら注意して部屋へ戻るように言っててくれ

特に2階からの異常があったらすぐに知らせてくれ」

「おうよ!わかったぜ、やっとクソボウズが来るかぁ!!」

チャイムが鳴った

「夜分、すまんのぉーー、だいぶ遅れてしまいましたわい」

和尚様が来たようだ

「はーーい!今開けますね」

「お忙しいところすいませんでした」

和尚様をリビングへ案内した

「おそうなり申したわい、さてと・・・問題の2階の奥の廊下へ案内してほしいですわい」

「はい・・・2階はブレーカーが焼けてすべてつかないんですよ

和尚様も懐中電灯を持っていきましょう」

「焼ききれたとな・・・こりゃ・・・わかりもうしたわい」

廊下に出た

「これはオヤジ殿、ご苦労様ですわい、今から2階へ行きますわい」

「おう!クソボウズ!気をつけて行ってこい!!」

「はい、今夜、どうなるか・・・オヤジ殿はそこから絶対に離れないでほしいですわい

もし何か起きたら下にいる人を全員、外へ逃げてほしいですわい」

「おうよ!わかったぜ!クソボウズこそ!気を付けろや!」

和尚様を2階の奥の廊下へ案内した

「ここです、この小さな穴からのぞいてみてください」

「はい、でわ・・・ううう・・・これは・・・過去のF君たちですな

おやっさん、えらい怒ってますな、・・・んんん・・これは・・完全に時空間の異常ですわい

早急に何とかしないといけませんわな

さて・・・どうしたらいいのやら・・・」

「和尚様、もうひとつ、見てもらいたい小さな穴があります

リビングへ戻りましょう」

「え!?まだあるんですかい」

リビングへ戻った

「ここです、この穴をのぞいてみてください」

「ほう・・・どれどれ・・・家の壁が見えますわな

これは普通に見えますわい」

「はい、でわ一度外へ出て外から覗いてみてください」

私は西側の穴のある壁へ和尚様を案内した

「覗いてみてください」

「どれどれ・・・え?まっくらけ・・・部屋の様子が全然見えないですわい

どうなってるんですかな・・・」

「まっくらけでしょ・・・そこで・・・もしやと思いますが

この穴にひもを入れておいて2階へ行ってみましょう」

一旦リビングへ戻り

「S君!いまから和尚様ともう1度2階へ行ってくる

そこにいてほしい、恐らくひもらしきものが出てくるはずだから」

和尚様ともう1度2階へ上がり廊下の奥へ

やはりひもが穴から出ていた

「お!ひもが出てますわい

ということは1階の穴からこの2階の穴は繋がってるということですわい」

「一応ね・・・しかし、和尚様、このひもをこの穴へ全部入れてみましょう」

ひもを全部穴へ入れ込んだ

「でわリビングへ戻りましょうか」

リビングへ戻った

「おい!なんか穴からひもが出てきたぞ!」

「おおお!!!なるほどですわい・・・こりゃ・・・」

「やはりでした、この穴は1階と2階と家の外へつながってるんです

やはり、子供たちを連れて行くつもりだったんです

この穴は見かけは小さく見えますがある時間帯になるとおそらく人が通れるくらいの大きさになるとおもいます

その時間帯がわからないのです

餓鬼ともの目的がはっきりとわかりました

子供たちをおふくろの実家へ避難させます

というか全員避難ですね

この穴を閉じる方法を早く見つけないと」

「なるほど、こりゃはやくなんとかしなくちゃ」

「わかりもうしたわい・・・一応お経をよんでみますわい

それとこの穴に薬をいれてみますわい

どんな反応が起きるかわからんが早く解決しないといけませんわい」

「全員、とりあえずはS君の家へ行ってもらおう」

「そうだな、全員、おれんところへきてもらうわ」

私は各部屋に行きS君の家へ行く準備をするように伝えた

「おふくろ、すまんが後で全員おふくろの実家へ避難させる

連絡してほしい」

「はいよ、わかったよ、連絡するからね」

「オヤジ!全員避難させる

今からとりあえずはS君の家へ行ってくれ

全員連れて行ってくれ

俺、レンタカーを借りに行ってくる

歩きだから周囲には気を付けてくれ

S君行こうか」

「おう、おやっさん、家へ連絡しておいたからな

特に子供たちを守ってくれ

和尚様も一緒だからいいと思うけれど頼むぜ!」

「おう!!まかせておけ!!」

「おっちーーー、パパ、気を付けてね」

「アニキ!あわてずにね」

「じっちゃがいるから安心だよ、パパ、ママのお家へ行くね!!」

「オヤジ!葵のペースで歩いて行ってくれ

葵と楓を真ん中に置いてな

オヤジが先頭で和尚様は後ろからお願いします

餓鬼とも、どこかで必ずチャンスをうかがってるはずですから」

「わかりもうしたわい!」

子供たちは家を出てS君の家へ

私たちはレンタカーを借りに行った

全員S君の家へ無事に着いた旨の連絡を受けた

私たちも慎重に運転しながらS君の家へ向かった

後ろからS君の運転するハイエースがついてくる

夜中なので車が少なくスムーズに流れていく

S君の家へ着いた

S君のハイエースにはS子・F子・おふくろと子供たちを乗せた

自分の車にはオヤジと和尚様が乗った

とりあえず着替えや身の回りのものを車の中に詰め込んだ

自分の家の前を通り過ぎるときに2階の部屋がすべて照明がついていた

「間に合ったな・・・オヤジ、見て見ろよ、2階の部屋明かりがついてる」

「おお!危なかったな!奴ら!今頃あわてふてめいてるぜ!」

「間に合い申したわい、餓鬼とも!いずれは退治してやるですわい」

途中でコンビニへ寄った

「S君!俺の家の2階の部屋の明かりがついているのを気づいた?」

「ああぁ!気づいたよ、危機一髪だ!危ない危ない!奴ら!きっとびっくりしてると思うぜ」

「とりあえずはおふくろの実家まで着くまで油断できないよ、おそらくあいつらの尾行はしてるとおもう」

「だな・・・油断はできない、F!特に後ろは気を付けててくれ」

「あぁ・・・わかってるよ、今のところ後ろからついてくる不審車はいないよ

おふくろに屋敷の外と中も警戒態勢を敷いてもらおう

結界も一番強力なものを和尚様に作ってもらおう」

もう深夜午前2時過ぎ

通行していく車の数が一気に減ったように思える

おふくろの実家へはまだ時間がかかる

オヤジにはたまに後ろを見るように頼んだ

車内は緊張した空気が流れていた

「おい!F!昔、F子ちゃんが小さい時に「パパ、なんか誰かに見られてるような気がする」と話しかけられてきたことがあった

まさかな、餓鬼ともに見られてたんだな、もっと早く気づけばよかったな、くそっ!」

「オヤジ・・・餓鬼ともの存在は後からだよ・・・無理だよ・・・」

「しかし・・・餓鬼ともはしつこいですな、あそこまでしつようになるとはおかしいですわい

逆に言えばなんか焦ってるような気がするんですわい」

「たしかに・・・もしかしたら天国での世界で餓鬼ともが劣勢になってるんじゃないですか

でも子供たちを連れ去ってなにをしたいんだろ?もし本気ならば連れ去るよりも・・・やめときます」

「俺は・・・その天国での戦いはむしろ神様たちが苦戦してるような気がするぜ

前にも話だが俺らの一族は神さまに仕えてきた一族だ、俺の体の中には大昔に神さまが悪霊と戦って封じ込んだ悪霊が封じ込められている

俺は完全にこの悪霊をコントロールできない

もしこの封じ込んでいる悪霊が目覚めたらどうなるのやら

ゾッとするぜ」

「オヤジ殿、その悪霊は恐らく閻魔様と互角の力を持ってると思いますわい

だから閻魔様もオヤジ殿を避けてるんですわい

というか・・・この地球を作った神さまの1体なのかも

悪霊と思われてるようだけどわしゃ・・そう思わないですわい

ただ・・・その地球創造の神様とソリが合わずに「悪霊」というレッテルを貼られて

オヤジ殿一族がその責をとらざる一族として今まで来たように思えますわい

その孫娘たちの葵ちゃんや楓ちゃんに何かしらの力があるのかもしれませんわな

いやF子ちゃんも持ってるはずですわい」

「クソボウズの言う通りかもな、特にF子ちゃんは産まれたときに俺をジィーと見つめてた

何かを訴えるような目だったな

まさか・・・女房があのオアキちゃんの子孫だとは知らなかった

特に幼少のF子ちゃんの苦悩はそれはつらかったと思う

体が弱いとかじゃない、霊媒体質だからいろいろな霊が寄ってきてた

俺がその「悪霊」の封じ込められた人間だったから大事には至らなかっただけだ

今も思いだすと涙が出る」

「そうだったのかぁ・・・なんでオヤジがそうもF子をかばうのか分からなかった

たしかに・・・幼少の時のF子はよく寝込んでたな

そっかぁ・・・霊媒体質だったのか・・・」

などといろいろな話をしながらおふくろの実家へ着いた

屋敷の周りに使用人(私設警備員)が立っていた

そのまま門をくぐり直接玄関まで車を運転した

「お嬢様!お無事で!さぁ、お屋敷の中へどうぞ!」

執事長と使用人が迎えてくれた

「ばあちゃ、お嬢様だって・・・なんかおかしいよね、ママ」

「おっちーー、おばあちゃんはこの家の娘だよ、だからここの人たちから見ればおばあちゃんはお嬢様なんだぞ」

「ううーーん、楓、よくわかんない」

「しかし・・広い屋敷ですわい・・・オアキちゃん一族の力はすごいですわい

お寺はオアキ・オハルちゃん達のおかげでなんとか成り立ってきましたわい

ありがたいことですわい

改めて、おふくろ様には感謝いたしますわい」

「和尚様、私たちの一族は先々代の住職様がオアキ・オハル姉妹を養女にしてくれたからですよ

こちらこそ恩返しをしないと

母から言われてきたことです

絶対にお寺さんの加護を受けるようにと

必ず恩返しをするようにと

私たち一族は絶対にお寺さんを見放すことはしませんよ

特に仁!あなたがこの屋敷の長となってもこの約束は守るように!」

「ばっちゃん、わかってるよ、こんな体験をしてきたんだ、絶対にお寺さんやオアキ・オハルばあちゃんたちの約束事は守るぜ」

「ありがたいことですわい」

さて・・・子供たちはもうそろそろ寝てもらわないと

「子供たちよ、いつもの部屋で寝てきてもいいよ

オヤジとおふくろはそれぞれの部屋で一緒にいてくれ」

とにかく疲れた

しばらくは休めるだろう

良く寝た

広い部屋と緊張感が解けて良く寝れた

まずは子供たちを早く避難させて良かった

もしあのまま自分の家に居たらどんな目に遭ったか

本当にゾッとする

朝8時ごろに和尚様と私とS君とオヤジが集まって今後のことを話しをした

まずはあの時空間の穴を早急にふさがないといけない

それと結界をもっと強くしないと安心して暮らせない

出来れば「天国」というところへ行ってどういう状況なのか知りたい

などなど

色々な意見が出た

まずは家のあの穴を早急に塞ぐことにした

まぁ・・・あの穴を塞ぐにはセメントが一番

適当と言えば適当だがそれしか方法が浮かばなかった

結界の件は和尚様にまかせた

「天国」はこればかりは私たちでは絶対に無理

お狐様が来て下さらないとね

さて・・・・本当にセメントで塞いで時空間が戻るのか?

ごちゃごちゃ言ってても仕方ないのでお昼ごろに自宅へ行くことにした

Concrete
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