短編2
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リスペクト

リスペクト

 死のうと思って山の中を彷徨っていたら山小屋を見付けました。

 この数年、何人ものストーカー達に生活をメチャメチャにされ続け、なのに自分から好意を持って付き合い始めた男性とは、それが原因で別れてしまい、もう生きているのが嫌になりました。

 ロープを見付け、山小屋の中で首を吊ろうとしていたとき、床の上に指輪が落ちているのに気が付きました。

 ふと拾って見てみました。

 恐らく本物のダイヤです。落とした人は、きっと悲しんでいるでしょう。

 このまま死ぬわけにはいかない──。

 生真面目なわたしは山から下りて交番に届けることにしました。

 その後、仕方なく独り暮らしをしているマンションに戻りました。

 指輪を拾った翌日。

 どうやって死のうかと考えていたとき、テーブルの上に昨日の指輪があることに気が付きました。

 ああ又かと思いました。

 指輪を届けたとき書類に住所を書かされました。

 多分、あのときの警官です。あの男が新たなストーカーになってしまったのです。恐らく指輪はその意思表示なのでしょう。

 二年前、人気アイドルだったわたしが芸能界を去ったのも、その原因はストーカーでした。でもその後もストーカー達はわたしを苦しめ続けています。

 指輪を持って近くの海岸に行きました。わたしは海に向かって思い切り指輪を投げ捨てました。

 本当に、こんなことなら山小屋でそのままにしておけばよかった……。

 指輪を海に投げ捨てた翌日、又もテーブルの上に指輪が……。

 昨日のこともあって、いつもより戸締まりを念入りにしたはずなのに……。でも、海に捨てた指輪をどうやって……?

 よく似た指輪をどこかで買ったのでしょうか……?

 ひょっとして、わたしの行動を全部見ている……?

 ああもう、そんなことどうでもいい。だって、わたしは死ぬのだから。

 指輪はトイレに流しました。

 指輪をトイレに流した翌日。

 今日こそ死んでしまおうと決めていた朝、又してもテーブルの上に指輪が……。

 それでも一つだけ、わたしには分かったことが。

 恐らく、わたしの前に現れたそのどれもが、山小屋で見付けた、あの指輪なのです。

 何故なら……今、テーブルの上にある指輪は、う○こまみれに……

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三人の方、評価して下さって有難う!
リスペクトしたところで、僕の作風だからこんな感じです。

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