長編12
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にゃんにゃん会議

深夜の住宅街にある小さな児童公園の隅で、小さな影が一つ・・・二つ・・・三つ・・・

声をひそめるように小声で話しをしている。

暗闇に目が慣れ見ると、ブランコの下にも、滑り台の陰にも、木の陰にも・・・

少なくとも10数匹の猫が、何かを話し合っているようだ。

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元々は白い毛並みが灰色に汚れた猫もいれば、毛足の長い、鼻がぺちゃんこに潰れたような高級そうな猫もいる。

年を取った猫もいれば、未だ小さな尖った乳歯の生えた口であくびをしている仔猫もいる。

どうやら、野良猫から家猫まで集まっている、これが噂の【猫会議】と言うものなのだろう。

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なになに?

彼等の話しに耳を傾けてみよう・・・

A猫「ニャニャン・・・ニャン」

B猫「ニャニャニャニャン!!」

C猫「ニャウーン・・・ニャニャ?」

D猫「ニャウゥゥゥ・・・ニャニャン!」

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これでは何を言っているのか、読んでいる方にはお分かりにならないですね。

では、この翻訳○ンニャクを召し上がって・・・

ほら・・・これで、猫語も通じるようになりましたね。

E猫「そうだよ!アレはやり過ぎだ!」

F猫「ボク…あの子が大好きだったんだ…」

G猫「私もよ…優しい子だったのに…」

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猫たちの啜り泣く声や嗚咽が聞こえる。

H猫「あの子、自分もお腹が空いてる筈なのに…

持ってたクッキー、半分オレにくれたんだ…

だから、オレはお礼のつもりで、滑り台で眠るあの子が寒くない様に、ずっと寄り添って寝てたんだ…」

猫は、暗闇で大きくなった瞳孔を開くと、大きな声で泣き出した。

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それにつられ、他の猫たちも合唱をするように大きな声で泣き出す。

すると、公園の前のアパートの窓が開き、

『うるさいぞ!!この野良猫どもめ!!!』

と、人間に怒鳴られた。

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猫たちは一瞬、身をひそめる様に身体を低くし、それぞれ自分の気配を消し、暫く無言でその窓を見詰めたが、特に何もして来ない事を確認すると又、話し出す。

I猫「私にも子供がいるわ。

でも、一度だって自分の子供に手を掛けようなんて、考えた事もない!!

動物だってそうなのに、なぜ人間は、いとも簡単に自分の子供を殺せるの?」

そう言いながら、隣で大きな欠伸をしている仔猫たちを愛おしそうに見詰める。

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J猫「親だけじゃないよ!!友達にもあんなにひどい事されてたじゃないか!!」

K猫「ボクも見たよ!!あの時だって…

あの子は、そこの破れたフェンスから、ランドセルをあの池に投げられて………」

そう言うと、又猫たちの啜り泣きが漏れる。

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その時、毛並みもボロボロの、尻尾が二つに分かれた老齢の猫が静かに顔を上げ、一点を見詰めた。

猫たちも一斉に視線の先を見詰める。

街灯で照らされた調整池の水面に浮かぶように、びしょ濡れの少年が俯いて立っていた。

向うの景色が透けて見える頼りなげな身体で、少年は何も言わず、ただ、水に浮かんだ自らの足元を見詰めていた。

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少年は、身体からこぼれる水か、それとも涙か分からないが、ポタポタと滴をしたたらせ、失くした片方の靴を履いていた自分の足元を、ただジッと見詰めていた。

・・・

猫たちにとって、その少年は特別な存在だった。

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いつからなのだろう・・・

少年が、共に猫会議に出席するようになったのは・・・

少年は、いつもどこかしら怪我をしたり痣を作っていた。

そして、いつも腹を空かせていた。

猫たちは、少年の後をこっそり付いて行って少年の住まいも知っていた。

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少年には、父親と母親がいるようだが、猫たちが見る時はいつも、その父親が少年を殴り、蹴り、羽交い絞めにして首を押さえ付けている姿だった。

母親は何か言うが、少年を助ける事はなかった。

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暫くすると、少年は家を出される。

泣き叫び、ドアを叩くが隣に住む者に何かを言われ、すると母親がドアを開け、少年を殴り、何かを叫ぶ。

少年は、声を押し殺し、自分の腕で涙を拭きながらトボトボとこの公園に来る。

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餌をくれる訳ではない。

撫でてはくれるが毛繕いをしてくれる訳ではない。

だが、猫たちは少年が大好きだった。

寒い夜、凍える少年に沢山の猫がまるで押しくら饅頭をする様に寄り添っていたのは、猫たちの持つ、小さな者への慈しみの気持ちだったのかもしれない。

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小柄な少年は、体格のいい子供達にもよく苛められていた。

滑り台から突き落とされるなんて日常茶飯事。

コオリ鬼をすればいつも鬼は少年で、もし誰かを捕まえようものなら、他の子供達にぶたれ、蹴られる。

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そして、あの日も少年は調整池に投げ込まれたランドセルを取りにフェンスの中に入った。

・・・

猫たちは一部始終を見ていた。

少年は池に浮かぶランドセルを取りに、破れたフェンスの間をくぐり、中に入った。

だが、水に浮かぶランドセルに手が届かず、少年は何度も手を伸ばす。

何度も何度も手を伸ばしているうちに、少年の身体はその濁った水に落ちた・・・

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その姿を見た子供達は助ける事無く走り出し、逃げて行った。

それから数日が経ち、たまたま幼い子供を連れて公園に遊びに来ていた大人に、少年は変わり果てた姿で発見された。

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夜の猫会議の時も、いつも微笑んで猫たちを撫でていた少年・・・

自分も腹を空かせているのに、僅かな食べ物を分けてくれる少年・・・

大人たちが守ってあげるべき、弱い立場の・・・

そんな少年は、誰にも助けられる事無く、人知れず、冷たい水の中で骸になった。

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猫たちは話し合った。

そして・・・・・・・・

若い猫たちは、それぞれが手分けをして少年を苛めた子供達の元へ

一番の長老猫は少年の両親の元へ

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「いざ出陣!!!」

長老猫の掛け声と共に、猫たちは一斉に声を出した。

『ニヤウーン!!!』

猫たちのリベンジが始まる。

そして、それぞれが暗闇に消えて行った。

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A猫とB猫は、一番足の速かった子供の隣の家の木によじ登ると大きくジャンプをし、2階の子供が寝ている部屋の窓を見る。

鍵が閉まっていて中に入れそうもないと分かると、カーテン越しにユラユラと影を作って見せた。

一緒に居たB猫が大きな声で鳴くと子供は驚いて目覚め、ベッドから声のする方を見ると・・・

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そこには、あの日亡くなった少年の姿が街灯の明かりに照らされ、カーテンにぼんやりとしたシルエットを作っている。

子供は震え、頭から布団をかぶると

『ごめんなさい!!ごめんなさい!!』泣きながら何度も謝った。

そのうち部屋の明かりが灯り、子供の親が部屋に入って来たところで、猫たちは地面に降り、又いつもの公園へ戻って行った。

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C猫とD猫は、一番痩せっぽちの子供の家に向かった。

子供は平屋の家で、家族と共に眠っている。

雨戸が閉まり、中に入る事もシルエットを浮かばせる事も出来ない。

そこで猫は子供の夢に入り込んだ。

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子供はたった一人、夜のあの公園にいた。

目の前には街灯に照らされた調整池。

子供は逃げ出したいのに、その足は歩く事も走る事も出来ず、その場に貼り付けられたまま、身動きが取れない。

それどころか、声も出す事も、顔を背ける事も出来なかった。

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やがて、池の中からゆっくりと何者かが這い上がって来る。

それは・・・あの日の少年・・・

池の淵からゆっくりと這い出て来ると、頭を胸に付ける様にうなだれて立ち上がり、エスカレーターに乗っているかのように滑らかに子供の目の前に来た。

子供はあまりの恐怖で、夢の中で意識を失った。

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猫たちは雨戸の前で、月を仰ぐ様に両手両足を使い舞いを踊っていたが、互いに顔を見合わせると踊るのを止め、公園へ走って行った。

E猫とF猫は、一番乱暴で威張った子供の家に向かった。

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なかなか家に入る事も、2階のベランダにも上がる事も出来ず、家の周りをグルグル回っていた。

その時、F猫が小さい声でE猫を呼ぶ。

「ニャウン…」

E猫は急いでF猫の呼ぶ場所へ行った。

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そこは、浴室の窓の下。

2匹の猫が見上げる先には、少しだけ開いた浴室の窓。

柵が付いてはいるが、猫たちがすり抜けるには十分な幅が有る。

先ず、細身で身軽なE猫が飛び、柵に掴まるとF猫を見て、浴室の中に消えた。

F猫も後に続こうとするのだが、何度飛び付いても窓まで身体が届かない。

すると、E猫が顔を出し、F猫に頷くとそのまま中に消えた。

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E猫が浴室の扉の中央を押すとそこから二つに割れる様に扉が開く。

ソッと足音を忍ばせ、家の中に入る。

階段を上る。

2階に着くと、鼻をクンクンさせ、子供の匂いを嗅ぎ分け、階段を登り切った突き当りの部屋の隣の部屋の前で後ろ足で立つと

…カリカリ…そっと爪を立てた。

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すると、扉がそっと開いた。

2段ベッドの上に寝ている子供の兄弟を起こさない様に、静かに下の段の子供の布団を前足で持ち上げる。

そして、布団の中に頭から入って行った。

子供は腹部に違和感を感じ起きると、重い瞼を擦りながら自分の身体に掛かった布団の中をのぞき見る。

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「!!!!!!!!!!」

そこには、身体に覆い被さる様に自分を見詰める少年がいた。

表情もなく、少年は子供を見詰める。

子供は呟く様に何度も

「ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…」

泣きながら謝り続ける。

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やがて、少年は子供の腹の上で立ち上がり、フゥ・・・と部屋の入口辺りまで行くと、フワッと煙が消える様に居なくなった。

子供は深夜の街に響き渡る様な大きな悲鳴を上げた。

E猫は浴室の窓から勢いよく飛び出すと、F猫に向かって頷き、2匹の猫は暗闇に向かって走り出した。

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猫たちが公園に戻ったのを確認すると、尻尾の2つある老猫は重い腰を上げ、全身で月の光を浴び、ゆっくりと調整池に近付くと、2つの尻尾をブルン!と振り、後ろ足で立ち上がった。

そして、両前足で、まるで綱引きをする様に何かを手繰り寄せる。

やがて、水音もさせず、池の中から少年が姿を現した。

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少年は老猫の元に引き寄せられるように来る。

そのまま連れ立って立って公園を出ると少年の家に向かって歩き出す。

猫たちはその後を静かに着いて行った。

老猫と少年は、かつて少年が“お父さん”“お母さん”と呼んでいた者達の住むアパートに着いた

裏庭に回ると、両親の住む部屋の前だけ、誰も毟ることない雑草が茂っている。

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少年は、足元に咲く、薄紫色の花を見詰める。

それは、食事を与えられず家を出された少年が空腹の為に食べた草。

ハナニラだった。

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ニラとは違い毒性が有る事を知らなかった少年は、夜風の冷たさよりも空腹よりも、激しい腹痛で公園のトイレで泣き明かしたのだ。

猫たちは看病をしてあげる事も出来なく、少年の鳴き声を切ない思いで聞いていた・・・

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部屋の中は明かりが消えていた。

老猫は窓の前に立つと、何かを念じる様に両前足を合わせたと思った直後、カチン!音と共に鍵が外れ、触れる事無くスルスルと窓が開いて行く。

老猫が部屋に入ると、おぼろげな少年はカーテンを揺らす事無く部屋の中へとその姿を消した。

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母は、布団にも入らず飲みかけの缶ビールをローテーブルに置いたまま、そのすぐ横で寝息を立てていた。

少年は眠る母の姿を見詰め、それから何かを探す様に部屋の中をグルグルと回り出す。

そして、キッチンに山積みされたゴミ袋の横に転がるキラキラ光る物を見付け、そこでしゃがむと微笑んだ。

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それは、今はもう会えない、少年の父がプレゼントしてくれたスノードームだった。

少年の記憶の中の父は、いつも大きな手で少年の頭をゴシゴシとシャンプーしてくれ、一緒に湯に浸かり、狭い浴槽で向かい合って歌を唄ってくれる・・・そんな優しい父だった。

いつの日か、父が帰らなくなり、そして知らない男がある日現れ、少年に「お父さんだよ。」と言ったのだ。

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父が作ってくれたこのスノードームは、少年の宝物だった。

どんなに怖い思いをしても、どんなに痛い思いをしても、このスノードームが有れば、いつか父に会えるのではないか・・・

いつか父が迎えに来てくれるのではないか・・・

少年は夢見ていた。

老猫はそんな少年をただ見詰めていた。

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どの位、そうしていたのだろう・・・。

玄関の鍵がガチャガチャと鳴り、乱暴にドアを開ける音がすると、フラフラと足元もおぼつかない千鳥足で、母と暮らす男が入って来た。

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そして、キッチンに来ると少年と老猫に気付かず、水道の蛇口に口を近付け直接水をゴクゴクと喉を鳴らし飲む。

足元に転がるゴミを蹴りながら、男は今度はトイレに向かった。

少年の目が光る。

老猫はそれを感じ、少年と共に男のこもったトイレのドアの前に立つ。

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狭いトイレで、男は天井に顔を向け、だらしなく口を開けてうつらうつらと船を漕いでいる。

少年と老猫はドアを擦り抜ける様に中に入ると、少年は男の顔とくっつきそうな程自分の顔を近付け、ジッと見詰める

男は酩酊状態にも関わらず、何かの気配を察し、薄目を開けた。

男の視界に入ったのは、あの日、あの池に沈めた少年・・・

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少年はあの日・・・

ランドセルを取ろうと足を滑らし、池に落ちた。

だが、必死に池の淵によじ登り、びしょ濡れの身体で家に帰ったのだ。

だが、その少年の姿を見た母と男は、片方失くした靴が見付かるまで家に帰って来るなと言い放ち、少年は薄暗い、人っ子一人いない公園の池の周りで、失くした靴を探していた。

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そして、そんな事すら忘れて酒を飲みに行った帰りの道すがら、男と母は、池の近くに灯された街灯にぼんやり浮かぶ少年の姿を見付け、男はそんな少年の元へフラフラ近付くと、小さく軽い身体を軽々と持ち上げ、池に向かって放り投げたのだ。

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「お母さん・・・

お母さん・・・

助けて・・・」

少年の声に耳も貸さず、少年の母と男は水飛沫を上げもがく少年の姿をただ見詰め・・・

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やがて・・・

ピチョン・・・・・・

小さな水音を一つ残し、少年の姿は濁った水の中へ消えた。

・・・・・・・・・・・・・・・

猫たちは、一部始終を見ていた。

・・・・・・・・・・・・・・・

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男は焦った。

自ら手を掛けた少年が、自分の顔とくっつきそうな程に顔を寄せて、男の瞳の中を覗き込む様に見詰めている事・・・

確かに、死んで、遺体も上がっている事・・・

何も理解出来なかった。

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老猫は、男の足元で両前足を天に向かい上げたかと思ったら、何かを掴む様にギューッと爪を立てた。

「グッ…!!!」

男は一声唸ると、自分の胸を両手で押さえ込むと前かがみになり、そのまま動かなくなった。

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「もうーーーっ!!うるさいね!!寝てたのにぃーーーっ!!!」

母の声で少年はハッと後ろを振り向く。

――――

バタン

――――

ドアが勢いよく閉まる音が聞こえると、水音が響いて来た。

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鼻歌を歌いながら、母がシャワーを浴びている。

少年と猫はトイレのドアを抜けると、浴室の扉を眺める。

・・・・・・・・・

お…かあ…さん…

・・・・・・・・・

少年は一言呟くと、悲しそうな瞳を伏せる。

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ふと見ると、消えかかる少年の足元に、白い布で包まれた小さな遺骨・・・

ゴミに紛れてポツンと佇む様に置かれていた。

老猫は、意を決した様に浴室のドアの前で両手両足を使い、踊った。

盆踊りを踊るかのように、一見楽しげに見える踊りを踊る。

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すると、浴室の電気がバチバチと点滅を始めた。

「なに!?」浴室から少年の母の声が聞こえ、そして全身から滴を垂らしながらドアを開けた。

老猫が一段と激しく踊ると、転がっていたドライヤーのスイッチが入る。

「なによ!?」

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少年の母は老猫を見付け、一言叫んだと思った次の瞬間、MAXで熱風を吐き出していたドライヤーが一人でに、浴室の中に転がり込んだ。

濡れた床を伝い、濡れた身体の母は、火花をあげると暫く痙攣を起こしながら、やがて勢いよく床に倒れ込む。

と、同時に部屋のブレーカーが落ち、真っ暗になった。

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少年は、未だ燻っている母を見下ろし、一粒の涙を流した・・・

そして、その姿は輪郭が薄れ、靄で包まれた後、静かに消えた。

老猫が部屋から出ると、集まった猫たちが横に除けて、老猫の歩く道を作る。

そして、老猫を先頭に、いつもの公園に猫一団はトボトボと帰って行った。

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猫たちはいつものそれぞれの場所へ行く。

ブランコの下で横になる者。

滑り台の横で丸くなる者。

中心には、猫たちの長老である、あの老猫。

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老猫は疲れたのか・・・

少しの間身体を横たえ、乱れた毛並みをザラザラの舌で舐め上げると、ゆっくり立ち上がり、集まった猫たち一匹一匹の近くに行くと、鼻を付けて挨拶をする。

小さな仔猫には、優しく背中を舐めてあげている。

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そして、一匹一匹への挨拶が終わると、月を見上げ、後ろ足で立ち上がり、優雅に舞いを踊る。

そして、踊りながらあの調整池まで行くと、そこで力尽き、倒れた。

猫たちは老猫に駆け寄る。

だが、もう息を吹き返す事がない事を知った。

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猫たちには見えた。

少年が歩くその後を追い、老猫が走って行く姿を。

少年の元に追い着くと老猫はその足元に身体を摺り寄せる。

少年は笑顔で老猫を抱き上げると、共に月の明かりの中に吸い込まれて消えた。

猫たちは涙を流しながらも、どこか安堵した様に、少年と老猫が消えた月をただ眺めていた。

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やがて月は薄い紙の様な色になり、空が白々と明けて来ると、それぞれが自分のテリトリーに、家に、帰って行った。

又、今夜の猫会議の為に、猫たちは休息を取る。

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猫たちは、見ている。

良い人間、悪い人間。

それだけではなく、小悪党もいれば気紛れに優しさを見せる人間もいる。

ただ何も関心のないフリを装っているだけなのだ。

目に余る悪党には鉄槌を・・・

まだまだ猫たちの会議は終わらない。

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