私が体験した話〜中学校一年生編〜

中編3
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私が体験した話〜中学校一年生編〜

 これは、私が中学校一年生の夏休みの時の話です。実体験なのですが、パンチのきいた話ではないため、そこら辺はご了承ください。

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 時刻は深夜の三時より少し前。私はパソコンでワープロソフトを立ち上げてぼーっとしていました。

 すると、私の近くにあった扇風機の方向から、何か音が聞こえた気がしました。私が扇風機のほうを向くと、弟の姿が見えました。扇風機の前で口を開いて、涼しそうに目を細めて。いつも通り、扇風機の前で座っていました。私が弟の名前を呼ぼうと口を開いた瞬間……弟の姿が掻き消えました。そしてその瞬間、さっきの弟が幻だったことに気が付きました。

 そしてまた、作業に戻ろうとパソコンに顔を向けた瞬間、私の名を呼ぶ声が聞こえた気がしました。私がそちらを見ると、ダイニングの椅子に母が座って、早くご飯を食べなさい、というように、こちらに手招きしていました。私が「すぐ終わる〜。」と返事しようと思い、口を開くと……母の姿がすっと、いなくなりました。そしてその瞬間、母が、この場にいなかったことに気が付きました。

 何故だったんだろう、と首をひねっていると、肩を叩かれた気がして、後ろのソファの方を見ると、父がソファに寝そべって、スマホを私に渡してきました。それを受け取るように手を差し出した瞬間、父の姿が見えなくなりました。たしかにそこにいたはずなのに。そう思い、父と母と弟が寝る寝室を覗き込みました。

 すると、全員穏やかな表情をして寝ていました。気持ちよさそうに寝ている。じゃあ、さっきのものは、間違いなく、疑いようもなく偽物だったのだ。背筋に寒気が走りました。幻にしては、よく出来過ぎている。

 私はパソコンの前に戻り、作業をしようとキーボートの上に手を置いたとき……視界が反転した。

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 私は私を空中から見つめていた。こういう経験は珍しくもないため、いつも通り自分の表情でも見ようと思い、身体を動かそうとしました。しかし、身体が動きません。下を見つめても、私の服も、腕も、何もかもが見当たらない。これは、いつも経験しているパターンのため、特に疑問も抱きませんでした。でも、身体が動かない。いつもは、身軽に動くことが出来るというのに。重力なんて感じないくらい、自由に動けるというのに。

 そして、唐突に話し声が聞こえた気がした。扇風機の前から、ダイニングの椅子から、ソファの上から。声が聞こえる。そして、私はそちらの方を向く。弟と両親が、穏やかに会話を交わしている。私もそれに加わろうと口を開けた瞬間……弟と両親が、私の方をじろりと向いた。……それはもう、両親ではなかった。黒い「何か」だった。背筋がぞくりと泡立つ。あなた、誰?

 そして唐突に、私(本体)もこちらを向く。やはりこれも、「何か」であった。そして全員が、その黒い「何か」が私に向かって嘲笑う。その白い目と、その何も見えない白い釣り上がった口、やけに印象的だった。

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 私はまた、パソコンの前に座っていた。近くの時計を見ると……三時前だった。時間が、たっていない。一瞬、うたた寝していた?いいや、それにしては……。

 そう思いながらパソコンを見て、私は戦慄した。私のワープロソフトは、私が書いていた文が全て消され、同じ言葉が大量に並べられていた。沢山、沢山。画面を埋め尽くすほど。執念を感じた。恐怖を感じた。

 パソコンの画面には、「死ねばいいのに」という言葉が、羅列されていた。

Concrete
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