好きな人に熱烈に愛されるおまじない

中編3
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好きな人に熱烈に愛されるおまじない

『好きな人に熱烈に愛されるおまじない』

私は偶然たどり着いたが、

このキーワードで検索すれば

容易に見つかるだろう。

当時の私は

同棲していた彼氏に

早く出ていってだの嫌いだのと散々言われ、

彼氏の携帯を盗み見て浮気相手の存在を知り

夜な夜な盗み見ては

浮気相手からの差し障りのないメッセージを削除してみたり

彼氏になりすまして

メッセージを送ったり

それがバレそうになって彼氏の携帯を持ち出したり

そんなメチャクチャなのに

彼氏の妹や両親にはご飯に誘われたりしていて

精神的に壊れていた。

壊れる分だけ彼氏にも嫌われていくのは

分かっていたのに。

『浮気相手さえいなければ

 私は愛され続けていられたのに』

『浮気相手さえいなければ』

浮気相手が憎くて憎くて

それ以上に彼氏に愛されたくて

とにかくもう

まじないにでもすがりたい――・・

それほど追い詰められていた。

そんなときたどり着いたのが

『好きな人に熱烈に愛されるおまじない』

だった。

やり方は至って簡単。

朝、和紙に私と彼氏の名前を

顔を思い浮かべながら書いて

息を吹きかけてから

折り畳んで高いところに置いておくだけ。

半信半疑だったから

1週間だけ置くことにした。

同棲してるから何かの拍子に見つかっても嫌だし。

すぐはっきりした効果がみられることは

なく、変わらず『いつ出ていってくれるの?』

などは言われていたが

浮気相手を殺したい衝動や

なりすます行動は抑えることができた。

そうして1週間が経ち

まじないを破棄した。

やはり、はっきりした効果はないようで

まじないがあってもなくても

彼氏が私を愛してくれることはなかった。

気のせいかもしれないが

まじないがなくなってからの方が

言われ方がキツい気もした。

その頃には

彼氏の携帯はパスワードロックなどではなく

指紋認証に切り替えられていた。

パスワードや軌道のロックなら幾通りかトライすることで解除していたが、指紋認証となると手が出せない。

彼氏の携帯を見れなくなったことと

まじないを破棄したこともあり、

私は不安を感じるようになり

再び精神的に不安定になった。

そこで

実家にある自分の部屋に

まじないを置くことにした。

私は徐々に余裕が出てきた。

すると、彼氏が最近は浮気相手に

メッセージを送っていないこと

そして

私に変わらず『嫌い』と言いながらも

心を込めた『ありがとう』と言ったり

徐々に心を開いてくれていることに

気付いた。

もしかして

おまじないが効いてきている――――・・・?

金曜日

その夜は一人になりたいから実家に帰って、

と言われていたが仕事が遅くなり

仕方なく職場で残務をして

始発電車で実家に帰ろうとしていたときのこと

私の右目に激痛が走り

瞼は腫れ、眼球は真っ赤に染まった。

コンタクトのせいかもしれない。

だけど、コンタクトを外しても

明らかに異常な痛みは酷くなる一方。

これは始発で帰るのは厳しいか。

それに、こんな姿を他の社員に見られるのも…

私は仕方なく、ヨロヨロしながら

同棲している彼氏のいるアパートに

歩いて帰った。徒歩10分ほどだ。

夜2時くらいだったが

彼氏は起きていて

罵倒されるかと思いきや

心配してくれて介抱してくれた。

翌朝も右目は赤く、腫れたまま。

仕事が休みの土曜日で良かった。

疲れが溜まってるんだろう、とたくさん寝た。

日曜日になると

目の赤みはひいたが、瞼の一部が赤く腫れたまま。

月曜、前髪と化粧で瞼を隠して出勤した。

彼氏は

やはり浮気相手に連絡を取っている様子は無い。

それに

明らかに以前よりも好意を寄せてくれている。

それが徐々に徐々に

明らかに態度が傾いてきている。

これって

まじないが効いたの・・・?

ただ、化粧で誤魔化せる程度とはいえ

私の右まぶたは赤く腫れたまま。

これは病気なのか

それともまじないの対価?

ただ、まぶたの腫れなんかより

私には恐れていることがある。

彼氏が私を愛してくれるのは

まじないの効果ならば

まじないが無くなったら――――・・・・

Concrete
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普通、行くだろ、眼科……
早く、医者行けって。

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