長編15
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オヤジが帰ってきた

オヤジがいなくなってからというもの家の中の雰囲気が暗くなってしまった

特に夕食時はまるでお通夜だ

あの能天気S子もあまりしゃべらなくなってしまった

私は性格上、ふざけたりするのはしないタイプだ

たまにS君やF子が東京から帰ってきたときにはいつものような楽しい雰囲気なのだが・・・

S君、S子の兄妹漫才は子供たちにも大うけだ

特に楓と葵はF子をとけてまでS君の傍に座る

「F子お姉ちゃん、Sおじさんの隣に座るからといてよ」と楓が一番乗りでF子に言って席をゆずってもらう

「あたちもおじちゃんの傍に座るんだぞ」

「えええ・・・あ、はいはい・・・私はどこに座ればいいの?楓ちゃん?」

「お姉ちゃんはパパの妹だからパパの横がいいよ」

「あたちもそう思うんだぞ」

「え!アニキの隣・・・・」

「なんだよ・・・そのリアクションは?」

「別に・・・・」

(アニキの隣・・・嫌だなぁ・・・)

「?、F子、顔色が悪いぞ、どこか悪いんじゃない?」

「ううん・・・別にどこも悪くないよ」

(アニキの隣は・・・あんまし居心地が良くないんだよね)

「私、S子ちゃんの隣に座るね」

「ぎゃははは!!!パパ、振られたね!!!」

「なんのことだよ、ママ?」

「パパさ・・・本当に鈍感だね、

パパはさ、まじめすぎるんだよ、たまにはF子姉ちゃんに冗談でも言ってあげればいいのにさ

だから、SおじさんにF子姉ちゃんは取られたんだよ・・・

まぁ・・・別にいいけどさ」

巧が横から口をはさんできた

「え?なんのことだ?巧?」

こんな感じで後はS君、S子兄妹たちのおしゃべりがはじまる

オヤジがいなくなってから3か月後の10月の末の日だ

その日は朝から肌寒く雪でも振るんじゃないかという気温だった

その日は土曜日で珍しく会社が休みだった

疲れもあって寝ていた

「パパ、起きるんだぞ!!、いつまでも寝てたらダメなんだぞ!!!」

葵が起こしに来たようだ

「あ・・・葵かぁ・・・パパは疲れてて眠いんだよ、寝かせておくれ」

「今日はパパと楓姉ちゃんと葵だけしかいないんだぞ」

「パパ、お腹がすいたんだぞ、なんか作ってほしいんだぞ」

「あれ・・・ママは?」

「ママは、ママの実家に行ってお料理の勉強だぞ、巧兄ちゃんや仁兄ちゃんはクラブだぞ

ばあちゃんは仕事でいないんだぞ」

そうだった・・・今日は3人だけだった

「そうだった・・・よぉし、起きるぞ!」

葵と一緒にリビングへ向かった

リビングへ向かう途中で楓が走ってきた

「パパ!!!大変!!!お風呂場に誰かがいる!!!」

「え?風呂場に?」

「うん、私、トイレへ行ったんだよ、トイレから出てお風呂場の横を通った時にシャワーの音がしたんだよ、てっきりパパかなぁと思ったけど着替えがない、怖くなったからこっちに来たよ」

「そっかぁ・・・よぉし、見に行くか・・・」

私と楓と葵の3人でお風呂場へ行った

たしかにシャワーの水の音がする

しばらく様子を見ることにした

するとシャワーの音がやんだ

ガチャンと風呂場のドアが開いた

うわぁ!!!丸裸のオヤジだ!!!

私は慌てて子供たちの前に出て見えないようにした

「パパ、どうしたの?」

「いや・・・ちょっと待て・・・」

私は洗濯機にかけてあったタオルをバカおやじに向けて投げつけてやった

「おい!、オヤジ!!どういう格好してるんだよ、ここに楓と葵がいるんだぞ

はやくタオルで隠せよ!!」

「おう!!!おまえたちが!!!ヨォ!久しぶり!!」

「そんな挨拶はいらんから早くタオルで隠せ!!」

「おっ、とっと、そうだった!」

オヤジはタオルで隠した

「じっちゃ!!なの?」

「じっちゃ!!!」

「おうよ!帰ってきたぜ!!!」

「わっ!本当だ!!!じっちゃ!!!」

「じっちゃ!!!」

「元気そうだな!!!」

「うん、元気だよ」

「あたちも元気!!!」

バカおやじが帰っていた

見たところあんまし変わっていないようだ

「オヤジ、服をきてこい、リビングへ来いよ」

「おう!!」

しばらくすると着替えたオヤジが来た

「じっちゃ!!!あいたかったよ」

「じいちゃ、あたちもだぞ」

子供たちは大喜び

「おい、オヤジ、帰ってきたんなら一言、言えよ

びっくりするだろ」

「あ・・いや・・・家に着いたのが夜中でな

みんな寝てたから、起こさないようにとおもって自分の部屋へ行ったんだよ

そのまま、寝ちまった、目覚めてから、久しぶりにお風呂へ入ろうと思ってな」

「家に着いた?どういうことだ?」

「まぁ・・・そのなんだな・・・1週間前にお寺の土蔵の中にいたんだよ

大きい声で坊主を呼んで蔵から出してもらった

坊主といろいろと話をしてた

俺もなにがなんだがよくわからんかったし

坊主と事の整理をしてたら1週間過ぎてたよ

坊主が「もうそろそろ帰ったら」というので坊主の車に乗せてもらって帰ってきたわけよ」

「1週間前に戻ってたのか・・・せめて連絡してくれればよかったのに・・・」

「まぁ・・・俺が体験してきたことを坊主と話してたらすっかり連絡するのを忘れてた

とにかく・・・不思議な体験だったぞ」

「パパ・・・お腹すいたよ」

「あたちもだぞ」

「あっごめん!パパ、料理できんのよ、カップラーメンがあったな、今日の朝はこれで我慢しておくれ」

「えええ・・・カップ麺・・・わかったよ、パパ」

「・・・楓姉ちゃんが我慢するならあたちも我慢するんだぞ」

4人でカップ麺を食べながらオヤジの話を聞いた

その前にわたしはおふくろへ連絡をした

「なに!!!手下が帰ってきてる!!!いますぐ帰るから、その手下を外へ出すんじゃないよ、いいかい、わかった?」

「うん・・・(手下って・・・)、わかったよ」

「オヤジ、おふくろが帰ってくるとさ」

「あっそ!あいつが帰ってくるのか・・・面等なことになりそうだな・・俺さ、外へ行くわ」

「あっ!ダメだよ、おふくろから「外へ出すな」と言われたからここにいてくれ」

「ちっ!仕方ないな・・・」

おふくろの頭の中は

オヤジが手下

私とF子は子分としか見てないみたい

新たにS子とS君も加わったし・・・

たまにおふくろの元で仕事の手伝いをしてるけど・・・

オヤジの扱いがひどすぎるというか・・・やりすぎだろ、とおもうことが度々ある

これって労働基準法にひっかかるのかな?

いつかオヤジ、倒れるぞ、と思う

オヤジは文句を言いながらもおふくろの下でこき使われてる

財閥の「総帥」という立場上、誰もおふくろには逆らうものがいない

唯一、たまに孫からのオヤジに対する援護射撃がある

そういう時は素直にオヤジを開放してるけど・・・しかし・・・翌日にはその倍の仕事を押しつけてる

「う・・・またあいつの説教かな・・・あの寺の1週間が夢のようだな・・・」

これでも夫婦である

夫婦というか貴族と奴隷だな

それとS子やF子にも連絡しておいた

「何?パパ、どうしたの?子供たちに何か起きたの?」

「いや、オヤジが帰ってきたよ、今リビングにいるよ」

「えええ!!パパ(オヤジ)が帰ってきてるの!!!わかった、今すぐ家へ帰るね」

「はい、アニキ、どうしたの?え?うそぉ!!パパが帰ってきたの?Sアニキにも連絡しておくね、今晩中に家に帰るね」

しばらくするとS子が帰ってきた

「おっちーーーー!!!パパ(オヤジ)、あいたかったんだぞ!!!」

「よぉ!!!S子ちゃん、おひさ、元気にしてたかい?」

「おっちーー、元気だよ、パパ(オヤジ)はどこもケガしてない?」

「してないよ、元気ハツラツ!オロナミンC!!!!」

「格好いい!!!パパ(オヤジ)、素敵!!!」

「ママ!!!はしゃぎすぎだよ!」

「ママ、じいちゃは将来、葵と結婚するんだぞ!じいちゃは葵のものなんだぞ!!!」

「葵、じっちゃんはばあちゃんと結婚してるんだよ、じいちゃはばあちゃんのものだよ」

「ばあちゃ・・・」

久しぶりに子供たちの元気な笑顔を見た

子供たちはオヤジのそばから離れようとしない

そのあとにおふくろが帰ってきた

「お!帰ってきたね、よかった、これで仕事がはかとるよ」

「うっ・・・・」

「じいちゃ・・・大丈夫?」

「大丈夫だよ・・・・」

朝からオヤジが帰ってきたので大騒ぎだ

とりあえずオヤジは疲れてるということなので寝てもらうことにした

起きてから色々と聞いてみよう

ずーと、オヤジの就寝中でも葵と楓はオヤジのそばを離れようとしなかったな

「ずっと、じいちゃのそばにいるんだぞ、どこか行かないように見てるんだぞ」

「私もじいちゃのそばから離れたくないよ、パパ、ママ」

「おっちーー、起きるまでそばにいればいいんだぞ」

「うん、ママ」

オヤジは昼過ぎまでぐっすりと寝ていたようである

昼過ぎ13時ごろに葵と楓を連れてリビングへ来た

「じいちゃ、起きたよ!!」

「よく寝れたよ、疲れが一気に抜けた」

「おっちーー、良かったんだぞパパ(オヤジ)」

「ところで、F、和尚様にお礼の電話をしたのかい?」

とおふくろから和尚様のお礼の電話を入れるようにと言われた

「あ!忘れてた!」

慌てて和尚様に電話をした

「あ、もしもし・・・お礼の電話を入れるのを忘れてました

オヤジの面等、本当にありがとうございました」

「あ、いや、いや・・・びっくりしましたわい

蔵のほうでなにか物音がすると家内から言われて恐る恐る蔵のカギをあけたら

オヤジ殿がいましたですわい

もうびっくりしましたわい

すぐさま、病院のほうへ連れて行きましたわい

結果的に体の異常はないという診断でしたわい

いやもう・・・看護師たちがオヤジ殿を見てキャアキャーと黄色い声援というかうるさかったですわい」

「病院まで連れて行ってくれたんですか・・・ありがとうございました

え!看護師・・・ちょっとその話題は今は・・・」

「え?あっ!ですな・・・

それからオヤジ殿を1週間ほどお寺で預かりましたがオヤジ殿から色々な体験談を聞かされてわしゃ・・・ものすごく勉強になりましたわい

やはり実体験したものしかわからないことばかりを聞かされてあっという間に1週間が過ぎ申したわい

本当は早めに連絡しようと思いましたがオヤジ殿が「連絡はせんでいい」ということだったので本当に申し訳ない」

「いやいや・・・なにからなにまで・・本当にご迷惑を掛けました

今年の年末にもお寺へ行こうと思います

お礼を兼ねてまた御厄介になると思いますがお願いします」

「おおおお、ありがたいことにまた来てくださると・・・ありがたいことです

葵ちゃんや楓ちゃんに遭うのが楽しみですわい

葵ちゃんや楓ちゃんを見てると本当にオハル・オアキちゃん姉妹にそっくりですからな

本当にこのお寺はオハル・オアキちゃん姉妹のおかげですわい

今年も宿泊客の予約で大変でしたわい

マスコミや新聞やTVなど取材も多く来ましたわい

これもすべてオハル・オアキちゃんのおかげですわい

年末から正月の1週間はすべて予約をとらないようにしますわい

それと、あれから何か異変とかおきましたかのぉ?」

「異変ですか・・・それが不思議とオヤジが消えてから全然なかったです

静かでしたよ」

「そうですかい、それはよかったですわい

こちらも何も異変はなかったんですわい

それよりも宿泊客やマスコミの対応で忙しかったですわい

オヤジ殿が帰ってきたということは少し気を付けたほうがいいかもですわい

お家の結界を必ず張ってくだされ

毎日とはいいませんがせめて1週間をメドにお薬とお守りと塩を交換してほしいですわい

もしなくなりそうならまたこちらから送りますわい」

「はい、結界のほうはほぼ毎日見てるのでいいとはお思いますが

今日にも全部新しいのに変えておきます

本当にご迷惑をかけました」

「子供たちよ、今年も年末にお寺へ行こうな

和尚様が大喜びしてるし

オヤジのお礼を言わないとな」

「やったーーー!!!おいしい水ようかんが食べれる!!!」

「あたちもうれしいんだぞ、和尚様のお話は面白いから絶対に行くんだぞ!」

「おうぅし!俺も行くぜ、あそこの酒は格別においしかったからな!!!」

「おっちーー!!うれしいんだぞ、あそこは静かでのんびりできるんだぞ」

「わたしも行きたいね、仕事で疲れがたまってるからお寺で息抜きをしたいよ」

一気に家庭が明るくなった

やはりオヤジが欠けてるとダメな家なのかもしれない

夕方には巧と仁が帰ってきた

2人とも大喜びでオヤジと話をしてたな

子供たちはみなじいさんっ子だな

その間に私は結界の塩とお守りとお薬をすべて新しいのに変えておいた

それと道路側にも塩を盛っておいた

年末まで何事もなく無事に1年間が過ぎればいいなと思ってる

夕食も久しぶりの賑やかさで夕食がとてもおいしかった

今年も年末に私の家族とS子の両親もそろってお寺へ行こう

また大所帯になるけど大家族はいいもんだ

とくにS子の実家にはいろいろと迷惑をかけてるし

お寺でゆっくりしてもらおうと思う

夕食も無事に終わり

それぞれの部屋へ散っていた

おふくろとS子は台所で後片付け

仁と巧は自分の部屋へ行った

オヤジと葵と楓と私がリビングでTVを見ながらくつろいでいた

とにかく子供たちはオヤジのそばから離れようとしない

オヤジも苦笑いをしはじめてた

「オヤジ、大変だな、孫がひっついてて」

「あ・・ああ、うれしいんだけどな・・・まさか1日そばにいるとは思わなかったぜ」

「もうそろそろ子どもたちよ、寝る時間だぞ」

「うん・・・でも・・・じいちゃのそばから離れたくないよ」

「離れたくないんだぞ」

「オヤジ、今晩、楓と葵と一緒にいてくれ」

「おう!わかったぜ、孫たちと一緒にいるぞ」

「隣には兄ちゃんたちがいるからな、もしトイレなど行きたかったら兄ちゃんのどちらかと一緒に行くんだぞ、たとえ自分の家でも一人行動はダメだぞ」

「うん、わかった、兄ちゃんたちと一緒に行くよ、じいちゃのそばから離れないから」

「あたちもわかったんだぞ、じいちゃと一緒だぞ」

「あ、おやじも眠くなったら寝てもいいからな、私とS君で今晩は徹夜するから」

「おう!頼むぜ!!」

「おふくろはS子やF子と一緒にいてくれ」

「はいよ、わかったよ、娘たちはまかせておいて」

「私とS君でリビングにいるから」

まぁ・・・おそらく何事も起きないだろうとは思う・・・一応警戒だけはしておかないとね

10月も末になって夜もだいぶ涼しくなった

いや寒いぐらいだ

夜の23時過ぎにS君とF子が帰ってきた

「ただいま~~アニキ、帰ってきたよ」

「おっちーー!!!F子ちゃん!!お帰り!!!Sアニキも」

「よぉ!おやっさん、帰ってきたって?」

「おっちーー、パパ(オヤジ)帰ってきたんだぞ

今、葵ちゃんたちの部屋にいるんだぞ」

「そうなの、パパ、元気だった?」

「おっちーーー、元気ハツラツ、オロナミンCなんだぞ」

「よくわからんけど・・・」

「さぁ、上がって、寒かったろ」

さっそくF子とS君は楓の部屋へ行って雑談を始めたようだ

しばらくたってから2人ともリビングへ来た

「おやっさん、すごい元気だな

やはり、スゲーわ」

「パパ、なんか若かえったみたい」

夜も12時過ぎ・・・もう外はすこし静寂さが増してきたようだ

車の音や家へ帰る人の足音や声などうるさかった

やはり今の時間帯になると一気に減って静かになる

これからの時間帯は本当に静寂な時間で私は寝る前に本を読むのが好きだ

今日は徹夜でおきていなくてはならないけどね

TVやスマホで時間をつぶそう

「S君、疲れたでしょ、寝てていいよ」

「だな・・・寝るわ、東京は本当に疲れるところだな、

ここの家が一番リラックスできるし静かだし」

「あはははは、F子うるさいだろ?」

「あはははは、図星だな、さすが実の兄貴だ

遠慮なしに注文や文句を言ってくるよ

この前もカメラマン同士で酒を飲んでて家に帰るのが遅かったけど

「どこいってたの?」とか「誰と飲んでたの?」とかうるさかったよ」

「あはははは・・・・F子らしい、その点、S子はそういうことは聞かないな

不思議とな」

「あいつ・・な・・・なにもかもお見通しだよ

だから嘘はつけんぞ、F!!!」

「おいおい・・・脅かすなよ」

なんやかんやでどんどん時間が過ぎていった

おしゃべりの後すぐに寝てしまったS君

相当疲れているな

連れ添いがF子だからな

これから苦労するとおもう

午前3時になったので各部屋を順に見ていった

各部屋とも別に異常はなかった

もちろん楓たちの部屋は3人とも揃ってよく寝てた

それもお互いにオヤジの手を握ってた

おふくろの部屋も3人ともよく寝てたな

仁と巧も同じ

普通の家ならこんなことしないのにな

眠気がどんどん増してきた

深夜のTVもくそつまらん

たまに周囲の音を聞くために耳を澄ますけど

集中するほど眠気が増してくる

ウトウトしはじめたときに

ドーーンというなんか大きな音がした

一気に目が覚めた

S君もびっくりして目が覚めた

「な、なんだ、今の音は?」

「聞こえた?確かに聞こえた、なんだろう」

「俺、2階へ様子を見に行く」

「S君はおふくろの部屋を見てくれ」

「おう!わかった」

私は急いで子供たちの部屋をのぞいた

何事もなく3人は寝てた

隣も同じく寝ていた

S君が2階へ上がってきた

「おふくろさんたち、よく寝てるよ、子供たちはどう?」

「こっちもよく寝てる、音を聞かなかったのかな?」

「でもあの音で俺は目が覚めたよ」

とりあえずS君と二人で家の各部屋を見て回った

トイレやお風呂場もだ

中庭もである

物が倒れていたりとかはしていなかった

浴槽などもよく見たが何も異常はなかった

トイレも同じくよく見たのだが・・・

まさか・・・また例の2階の壁か?

「まさか・・・また2階の奥の壁かな?」

「ありえるよな・・・もう1度確かめておこう」

「子供たちの部屋に近いから、確かめておこう」

急いで2階へ上がり一番奥の廊下の壁へ来た

この前の穴の部分をよく見たが何も異常はなかった

「穴は開いてないよな・・・」

「だな・・・」

子供たちの部屋をもう1度見た

ちゃんと寝てる

「とりあえず、朝まで俺は子供たちの部屋にいるよ」

「S君はリビングにいてくれ」

「おう!」

ウトウトとまた眠気がしてきた

「パパ、起きてほしんだぞ、葵、トイレへ行きたいんだぞ」

葵の声で目が覚めた

「おお・・・葵か・・・トイレなの?よぉしパパと一緒に行こうね」

朝の5時になっていた

肌寒い朝だ

葵をトイレへ連れて行った

葵がトイレから出てきた

「葵、寝てるときになにか物音を聞いたかい?」

「あたちは寝てたからよくわかんないんだぞ」

「あたち、ひさしぶりにオハルちゃんやオアキちゃんと一緒に遊ぶ夢を見たんだぞ

じいちゃもいたんだぞ、楽しかったんだぞ」

「おおお、そっか、良かったね、いい夢を見れて」

んん・・・夢?関係あるのかな・・・・あの音と・・・

まだ早いので葵を部屋へ連れて行った

葵はオヤジの手を握って眠ってしまった

私もいつの間にか眠ってしまった

「パパ、起きてよ、朝だよ」

「ええ・・・うーーん、もう朝かぁ・・・」

本当に肌寒い・・・

「寒い朝だね・・・」

オヤジに夜の例の音を聞いたか聞いてみた

「オヤジ、夜になにか音を聞かなかったか?」

「音?、・・・ちとまてよ、あれって気のせいじゃなかったのか?

確かに、聞こえたような気がするんだよな

でも葵がわしを呼んでるような気がして・・・よくわからんな」

「オヤジ、夜にな、「ドーーン」という音がしたんだよ

S君と一緒に各部屋を見回ったけど異常はなかったよ」

「うううーーん、そっか・・・じゃあ、気のせいじゃなかったんだな・・・」

「オヤジは聞いたんだな、OK、ありがと」

おふくろとS子と子供たちは聞いていないようだ

「アニキ・・・たしかに音は聞こえたよ、家の外から聞こえたような気がしたけど・・・

私、怖くて、起きられなかった・・・少し目を開けたらSアニキがいたんで、私、またそのまんま、寝ちゃったよ」

F子は聞いていたようだ

それも家の外から

私は急いで玄関を出ておふくろの部屋の外側をよくみた

何も異常はない

私は外側から順に見ていった・・・・

あった・・・・リビングの外側だ

大きな石が転がっていた

壁には石が当たった跡のようなものがついていた

「誰だよ、石を投げた奴は・・・もう少しずれてたら窓ガラスに当たっていたじゃないか」

後からS君も来ていた

「うわぁ!!!これは・・・壁が窪んでるじゃん・・・ひでぇな・・・」

「悪戯かな・・・ちとやりすぎだと思うぞ」

「こんな大きな石を投げた奴って相当な力持ちだよな」

私はこの大きな石が気になって仕方なかった

私は勇気を絞ってこの大きな石を持ち上げた

「へ?軽いよ・・・なにこれ・・・大きいけど軽い・・」

「うそだろ・・・どれ・・・うわぁ・・なにこれ・・・軽ぅ・・・」

ドサッと下に落とした

私とS君はその裏返った石を見て固まった

「おまえたち、絶対に許さないからな」という赤い色の文章が書いてあった

「どういう意味だろう・・・・」

Concrete
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