中編3
  • 表示切替
  • 使い方

海で拾ったもの

これは、私が小学生の頃体験した話です。

夏休みに入り、旅行を計画していた我が家は夏という事で海に行こうということになりました。

私、弟、両親の4人で隣の県にある砂浜に向かいました。

車が苦手だった弟が酔って吐いてしまったり、父がそれに怒ってしまったりと色々と大変でしたが、目的地に着くとそれも忘れて楽しく遊びました。

nextpage

その頃の私の楽しみは石を集める事でその砂浜でも綺麗な石や、面白い石を探していました。

砂の中にいい石がないか探しながら歩いていると一つ目を引かれる石がありました。

それは細長くて白っぽいような石だったと思います。

今思えば、その石のどこに惹かれたのかよく分かりません。

nextpage

いい石を見つけた!と思い自慢するため、両親がいる場所に戻りました。

さっそく両親に見せると父は良かったなぁと言ってくれました。

ですが、母は真顔で、「それ、戻してきなさい」と言うのです。理由も聞いたのですが答えてくれませんでした。

nextpage

そこで元あった場所に戻せば良かったのですか、かなり気に入っていたので母に内緒で持って帰ることにしました。

やめておけばよかったのに…

その日の夜はホテルに泊まり、次の日に家に帰ってきましそこで異変が起きました。

nextpage

夕方に家に到着し、一息ついたところで旅で疲れた私は布団に入り、昼寝をしました。

拾った石をポケットに入れたまま…

nextpage

目がさめるとまだ暗い時間でした。

それも夜9時ごろだったと思います。

お腹空いたなぁ、

今何時だろう、

と思っているとその時になって石をポケットに入れたままにしていることに気がつきました。

nextpage

この石どうしよう…なんて考えていると

ベッドのすぐ横にあるカーテンに違和感を感じました。

カーテンは閉じているのですが、その隙間から光が漏れているのです。

なんだ?と思い、カーテンをザッと開きました。

するとなにかと目があったのです。

nextpage

そこにはオレンジ色に光り、ニタァと笑っている首だけの女がいました。

目が合い、カーテンを閉じるまでは一瞬だったのですが、何十秒にも感じました。

カーテンを閉じたあと、すぐに両親のいる部屋に向かい、そこで夜をあかしました。

両親に理由を聞かれましたが、何故かそのときの私は理由をこたえませんでした。

nextpage

あの女は何者だったのか…

何故私に姿を見せたのか…

わからないまま、そんな体験をしたことも徐々に忘れて行きました。

nextpage

時が経ち、中学生になった頃、母と一緒に心霊映像の番組をみていると母が、

「覚えてる?小学生の時砂浜行ったこと。」

あ、あの時のことだ。そう思いました。

母は続けて、

「あの時、石を持ってきたでしょ?あれね、人の骨だったのよ。」

母は看護師で、それが人の骨であることはすぐわかったそうです。

そのとき全てを思い出しました。

石を拾ったこと、

それを内緒で持ち帰ったこと、

そして、オレンジ色に光る女の顔を見たことを。

nextpage

しかもその日、母は洗濯物干しの途中、首から下のない女を見てしまったそうです。

あの骨は、その女の骨だったのかもしれません。

あの女はなにが目的でついてきたのでしょう。

それは今でもわかりません。

nextpage

まだ、ひとつだけ思い出せないことがひとつだけあります。

それは、あの骨が今どこにあるのか。

私の記憶ではおそらく捨ててはいません。

まだ家の中に残っていないことを祈ります。

Concrete
コメント怖い
0
7
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ