中編3
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いつかの少年

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17歳の頃

毎週末は友人と明け方まで地元の公園で遊ぶことが恒例だった。

ある日の土曜の夜 いつものように特にやることもなく他愛もない会話で盛り上がっていると唐突に大粒の雨が降り始めた。

時間は午前2時を過ぎたところ

いつもなら帰るのにはまだ早いが さすがにこの大雨では居心地悪い、仕方なくその日は解散となった。

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多少小降りになった雨の中 小走りで家路へと急いでいた。しかしさすがに寝るにはまだ早いと自宅近くの自販機でジュース買い ゲームでもしようかと考えていると、ふと15メートルほど先の外灯の下に人影があることに気づいた。

人影は二人 一人は傘を差した女性 中年というにはまだ若いといった印象だ。そして傍らには黄色いレインコートを着た男の子。おそらく幼稚園生か小学低学年かといったところ。

親子と思われる二人は外灯の下 手を繋いで目の前の民家をただじっと眺めているようだった。

こんな時間になにしてんだ?

その時はその親子に対しそれくらいにしか思わなかった。

ふとその男の子がこちらを向いた。

灯りに照らされたその顔にはどことなく見覚えがある、近所の子供なんだろう。

自分は目的のジュースを買い、そそくさと自宅へと帰った。

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部屋に戻り早速ゲームに取りかかるが、一向に止まない雨音に気をとられてなかなか集中出来ずにいた。

さっきの親子のことを考える。

あの見つめていた家の住人だろうか、父親とケンカでもして家を出たのはいいものの、行く宛もなく帰ってきた、でもなかなか素直に帰りづらい…そんなところか。

時刻はそろそろ4時になろうとしていた。あの親子、まだあそに居たらさすがに怖いな、などと思いながらゲームを止めて寝ることにした。

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翌朝

噂好きの母親に昨夜のことを伝えることにした。

自分「昨日の夜中にあそこの外灯の下に母親と男の子の親子っぽい二人が目の前の家をずっと見てたけど、そこの家の家族かな?」

母親「ほんとに!?帰ってきたの!?」

自分「帰ってきたのって…もう話題になってんの?」

母親「いやそうじゃなくて、、あの二人が行方不明になってからもう10年くらいたつんだよ」

自分「10年!?」

母親「そのアンタが見た男の子はよくわからないけど…ほら!小さい頃あそこの家の◯◯君とよく遊んでたじゃない、そしたら奥さんが◯◯君を連れて居なくなって…アンタも◯◯君が逃げた!って泣いてたんだよ。」

その時、忘れていた記憶が一気に蘇った。

確かに、確かに自分はあの子と毎日のように遊んでいた。あの子の家の庭を二人で駆け回っていた。

ふと昨夜の男の子を思い出してみる。

あの子だ。◯◯君だ。10年前とそのままの。

母親「でもねぇ…今さら帰ってきてもねぇ。△△さんもだいぶ前に引っ越してるしねぇ…」

そとあと母親になぜ失踪したのか尋ねたが、理由はわからないと。

父親である△△さんも当時は有ること無いこと噂され、失踪から一年もしないうちにどこかへと引っ越したらしい。

母親「◯◯君はアンタの一つ下だったし、アンタが見た男の子はどこかで出来た子じゃない?」

自分「あぁ、うん、そうかもね…」

母親の言う通りなのかもしれない。

ただ自分には確信がった。思い出したんだ。

あの黄色いレインコートは自分のものだ。

あの日、大雨のあの日、自分は買ってもらったばかりのレインコートを着て遊んでいた。

そして貸したんだ、◯◯君に。夜に出かけるから貸してって。◯◯君が居なくなって、自分はレインコートを盗って逃げたと泣いたんだ。

今となっては誰にも真相はわからない。

でも自分は未だあの男の子は◯◯君だと思っている。

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