中編2
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友人S

俺の友人から聞いた話。

友人をsとする。

sは霊感がある。彼とは小学校からの付き合いだ。

当時から彼は実は幽霊を見たことがある、と言っていた。だが当時、周囲ではオカルトブームは去り

、幽霊が見えるなんて自慢にはならず逆に白眼視される環境だったため、年齢を重ねるとともに、sもそんな話をしなくなっていた。

俺とsの交友は、お互いに住む場所も違うこともあり、幼い頃ほど頻繁に会うことはなくなったが長期休暇の度には会って遊んでいた。

大学1年生の出来事によりオカルトに興味を持った俺は周囲の人に怪奇体験をしたことがないか聞いて回っていた。

その流れでsにも聞いた。

その時は正直sが幽霊を見たことがあると話していたのを忘れていたぐらいだが。

それでもsは自らの体験を俺に話してくれた。

sの家の前は道路を挟んで反対側に田んぼが広がっている。それはリビングのカーテンが開いていればよく見える。しかし道路からも中の様子が丸見えのため、普段は締め切っていた。

sが小学校の頃、夕飯を食べていると、カーテンが微妙に開いていた。

当時は夏で日が長く、外は明るく様子がよく見えた。

べつに何かを見ようと思ったわけではないがぼんやりと景色を眺めていると、視界の隅で何かが動いた。

無意識に視点を合わせると、田んぼの用水路から、小さな手が上がってきた。

普通なら、その時点でおかしい、と思うだろうが

sはただぼんやりとそれを眺めていたらしい。

金縛りではないのだがそれから視線を切ることができない状態、s曰くチャンネルが合ってしまった状態になってしまったらしい。

やがて用水路から這いずるように小柄な少年のように見えるものがsの家に向かって真っ直ぐに進んでくる。

明らかにこの世のものではない。

それが家まで5メートルくらいの距離まで来たときにsは急に我に返ったというか、このままでは大変なことになる、と感じたらしい。

でも相変わらずそれからは視線を外すことができない。

もう3メートルもないところまできて、sの恐怖が最高潮に達したとき、急に母親がカーテンを閉めた。

途端にsは呪縛から解かれたように体の自由を取り戻したという。

sは思わず母親を見た。

霊感がある素振りを見せたことがなかったのだがもしかして今のが見えていたのか。

聞くと、母親からはそれが見えておらず偶然カーテンが開いていたのが気になって閉めただけとのこと。

偶然、だがそれがsを救うことになった。

それ以降、その少年に関する恐怖体験はおこらなかったらしいがもし母親がカーテンを閉めなかったらどうなっていたか、sは考えたくないと真剣な表情で俺に語った。

Concrete
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