短編2
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ベットの下には…

 数年前、埼玉県の大宮区にあるラブホテルで殺人事件があった。新聞には掲載されていたが、テレビのニュースに取り上げられた記憶はない。

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 当時の記事を思い返すと、「出会い系サイトで知り合った男女が、そのラブホテルを利用。金銭的なトラブルが発生し殺人事件にまで発展した。」との内容だったと思う。

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 男性は女性を殺害し、その死体をベットの下に隠して、何事もなかったように1人で帰ってしまったのだ。

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 その後、その女性の死体が発見されるまでの間、実に3組ものカップルが、死体が隠されたベットの上で行為そのものを楽しんでいたのである。

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 4組目のカップルの男性が、ベットに違和感を感じ、ベットの下を調べるように覗き込んだ結果、女性の全裸死体を発見し度肝を抜かれたのだ。

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 当時の大宮近辺のデリヘル譲は、ほとんどがこの事件を知っていて、どこのラブホテルで何号室であるのかまでを把握していた。

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今はホテルの名前が変わり、看板等やデザインも一新されたが、部屋自体の改装やリフォームはほとんど行われていないようだ。

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 このラブホテルは、主要道路と主要道路と並行に走る、一方通行の裏道にサンドイッチのように挟まれている。

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 主要道路から、並行に走る裏道へと移動するには、このラブホテルの直ぐ脇を通っている、私有の細い路地を抜けるのが一番早い。

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 私はその路地をよく利用するのだが、その路地は一種独特で陰湿な雰囲気が漂っている。

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 「いやだなぁ~」と思いながらも、その路地を歩いて行くと、街灯がほとんど届かない場所へと到達する。

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 ほんの6メートル程だが、正しく夜中は真っ暗なのである。

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 その場を、そそくさと小走りで通り過ぎようとすると、ふと後ろに人の気配を感じた…。

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 殺人事件の事が脳裏を翳める。

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 人の気配は、微かな足音が…妙な空気感として伝わってくる。

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 振り返りたくはないが、どうしても気になる。

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 そっと立ち止まり後ろを振り返ってみた。

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 私は全ての記憶を消し去り、何事もなかったように帰路を急いだ。

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そのホテル探しちゃうかもしれません…大宮近いので!

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