短編2
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掃除のおばさん

毎朝玄関を出ると、真向いの道路で必ず掃除をしているおばさんがいる。

無口で不愛想で目も合わせない、当然挨拶はしてこない。

365日いつも淡々と道路を掃いている。

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一度ぐらい、こちらから声をかけてみようかと思うが、

なぜかとても気が重い。結局、声をかけずに通り過ぎる。

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2年ぐらいたっただろうか?

いつものようにおばさんを見てみると、

おばさんは向かって来る車に指をさして、叫んでいた

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「あいつが…、撥ねた、私を撥ねた!」

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その時、おばさんと初めて目線があった。

その顔は、大きくえぐれて半分が潰れていた。

ドロドロと血が滴り、車が近づくにつれて、えぐれた顔面から血が「ブッシュ-」と噴き出した。

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右腕の関節は「ボキッ」っと鈍い音をたてて、真逆に折れ「ググッ」っと捻じれていく、

左足首がパックリとはじけるように裂け、真っ白い骨が突き出てきた。

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おばさんは瞬く間に倒れ、吹き出る血であたり一面が血の池のようになっていった。

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指さしていた自動車は、おばさんの上をゆっくりと通り過ぎようとしている…

運転手がたばこを咥えながら一瞬俺を見た。そしてふてぶてしく目線を戻した。

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悲惨な事故現場は何事もなかったように消えていた。

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俺は見逃さなかった、いつの間にか運転手の真後ろにおばさんが乗車していたこと、

そしておばさんは、運転手の首に両腕をぐるりと伸ばし、しっかりと絡めていた…

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それ以降玄関先の道路で、おばさんが掃除をすることはなくなった。

Concrete
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