中編4
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不審死

これは知り合いのSさんから聞いた、ずっと昔彼が子供の頃に住んでいた地域で起こった気味の悪い出来事をもとに書いた話です。

実際何が起こったのかはわからず、落ちもありません。

心霊系の話ではなく、可能性としては、犯罪、事故あるいはバケモノ系の話です。

Sさんの了承を得ての投稿です。話にはSさん自身は登場しません。Sさんはたまたまその場にいなかったので、同級生のA君から聞いたのです。

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Sさんが当時住んでいたのは、田舎にある新興住宅地のような場所で、きれいな新しい家々が立ち並ぶ区域以外は、古い民家、古い商店、畑などばかりが続く、のどかな田舎そのものでした。

Sさんは新興住宅地住民でしたが、何となく、自分の住んでいる区域がのどかな田舎を汚染しているように感じるほど、素敵な田舎町だったそうです。

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古い家々や畑の向こうには森があり、その森を奥へと進むと川や池や沼地もあり、また小さい山になってる部分もありました。

親たちは森の奥へ行かないように子供たちに言い聞かせていましたが、特にその森に関して云われのようなものがあるわけではなく、ただ単に段差、崖、池など、子供にとって危険な場所が多かったのがその理由です。

それでも子供たちは普通に森の中で遊んでいました。

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ある日、小学4年生のA君、B君、C君の三人が森の入り口辺りで遊んでいると、森の奥の方からカサカサ、ガサガサという葉を鳴らすような音が聞こえてきました。

森の中で子供が遊んでいるのは特に不思議ではないので、三人は最初は気にしませんでした。

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しかしふと見てみると、遠くの方でその音を鳴らしているのは、大人のようで、しかも動きが少し奇妙でした。

ぎこちない動きというか、ホラー映画に出てくるゾンビのような、あるいはロボットのような動きで、ゆっくりあてもなくグルグルと歩いているように見えました。

そしてその姿は、だらしなくピンクっぽい服を身に纏っているように見えました。

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こちらに向かって来ているわけではなく、また動きも遅いので、しばらくその姿を眺めていましたが、気味が悪いので、三人とも近づくことはしませんでした。

しばらくして、三人は森から離れ、家や商店の並ぶ道の方へ向かいました。

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お菓子を買うために寄った店で、あれは何だったんだろうと話していると、D君、E君が姿を現したので、三人は二人にさっき見たものの話をしました。

二人は見に行くと言い出しました。

遠くから見る分には危険はないので、C君、D君、E君の三人で森に向かい、A君とB君は面倒なので、近くの本屋で待つことにしました。

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しばらくしてC君とD君だけが戻ってきました。

E君が森の中へ入って行ってしまったと言うのです。

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C君、D君、E君の三人が森の入り口辺りに着いたときにはすでにさっきの「ピンクの人」はいなくなっていたそうです。

そして森の中に入って行こうとするD君とE君をC君が止め、D君は思い止まりましたが、E君はちょっと見てくるだけと言って構わずどんどん奥へ行ってしまい、姿が見えなくなってしまったそうなのです。

しばらく待ってもE君は戻ってこないので、C君とD君は大声でE君を呼んでみましたが、返事はなく、二人は結局そのままA君とB君のところに戻ってきたのです。

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森への出入り口は他にもいくつもあり、と言うより、どこからでも出入りできるので、もしかしたらE君は他の所からすでに森を出ていて、皆を驚かそうとしているのかもしれないと考え、少ししてからE君の家に行ってみることにしました。

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行ってみると、E君はまだ家には戻っておらず、E君のお母さんも話を聞いて、少し心配しており、四人もだんだん本気で心配になってきました。

考えてみると、E君は普段からそういうふざけたことをするような子ではないのです。

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夜になってもE君は戻らず、本格的な捜索をすることになり、その結果、E君は森の中の、入った地点からかなり離れた所にある池で死んでいるのが見つかったのです。

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転んでできたであろうかすり傷など細かい傷はいくつかあったものの、叩かれたり、殴られたり、首を絞められたりした跡や、ナイフなどで刺された傷などもなく、また、衣服の乱れもなく、事故死であるように思われました。

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ただ不可解なのは、なぜ友達二人を置いたまま普段誰も行かないあんな遠くまで一人で行ったのか、なぜ転んで作ったようなかすり傷がいくつもあったのか、という点です。

どう考えても本人の意思だけで起こったこととは思えません。

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A君とB君とC君が目撃したあの「ピンクの人」は結局見つからず、半ば子供の狂言のように扱われたそうです。

そんな目立つ人がいれば、目撃者が他にいないはずがないと言うのです。

ただし、森の中に他にも人がいた形跡はあったそうです。しかし、それが誰のものであったか、またそれがE君の死と関係があるかはわかりようがなく、結局E君の死に関する真相はわからなかったそうです。

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A君、B君、C君にしてみれば、あの「ピンクの人」と、その目撃直後に起こったE君の不審死はとても関係ないとは思えないのですが、どうすることもできません。

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これは誰でも思いつく単純な憶測ですが、おそらくE君はその「ピンクの人」に執拗に追いかけられて、逃げに逃げて、かなり遠くまで行ってしまい、そして最後は池に落ちてしまったのではないでしょうか。

もちろん、奇妙な動きをしていたというだけで人を犯罪者扱いするのも問題ですが、可能性としては考慮しうるものだと思います。

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