長編17
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後日談

楓の魂が戻ってから2週間後のこと

義理父から「家に来てくれ」と電話があった

義理父から直接電話などとは珍しい

普段は義理母を介して電話をしてくる

S子と一緒にS子の実家へ行ってみた

義理父の話だと東北から帰ってきてからなんとなく人の気配がするとのこと

実家には義理父と義理母の2人暮らし

義理母は昼間は一人しかおらず不思議な体験をしていた

午前中にはたまにS子が葵を連れてきて葵と一緒にいるのだが

昼からは一人

昼から一人になったときに不思議な現象が多発しているという

「婿殿、昼間は私しかいないのだけれど2階から足音なのか子供が歩いてるような感じがするのよ

葵ちゃんは昼に娘が迎えに来て帰っていくから絶対に子供はいないはずなのだけれどね

リビングでくつろいでるときに2階から聞こえてくるのよ

ちょっと怖くてね・・・・

それと・・・階段を上り下りする足音も聞いたし・・・・

夜中もね・・・足音が聞こえてくるのよ」

と義理母は少しおびえた顔で話し出した

話を聞いていて不思議なのはこの家にも結界を張っていること

外から霊が入り込めるはずはない

私は単に疲れているのだろうと思った

「ママ!!疲れているんだぞ!!ちゃんと休んだほうがいいんだぞ」と

S子が先に切り出してしまった

「S子の言う通り最近少し体調が悪いのよ

でもね・・・あの足音らしきものはパパも聞いているのよ」

と義理母が反論した

どうも・・・例の東北の件が絡んでるような気がしてきた

オヤジは「解決した」と言っていたけれど・・・

詳細に話をしないからなにが解決をしたのか全然わからない

これは一度お泊りして様子を見ないといけない

「お義理母さん・・・今日はちょっと無理ですが今週の土曜日に泊まりますね

えーーと・・・楓も一緒に・・・」

えっと思った・・・なんで「楓」と口ばっしったのか・・・・

「婿殿!おねがい、原因を突き止めてほしい」

と言われてしまった

「楓ちゃんと葵ちゃんも連れてきてほしい」と言われた

これは・・・和尚様にも伝えたほうがいいとおもい

後ほど電話をした

いつもの元気な声ではなくなにか物を挟んだような口ぶりだった

なんか怪しい・・・な

本当に全て解決したのだろうか

夕食時に今週土曜日にママの実家へ楓と葵をつれていくからという話をしたときに

オヤジの顔が一瞬びっくりした顔になった

オヤジには義理母のことは話してはいない

楓と葵は大喜びをしていたけれどね

この件のことをS君にも話をした

どうやら義理母は息子のS君にも同じことを話をしていたようだ

だがS君は東京での仕事が忙しく帰れないということだった

なんとか仕事にキリをつけたら帰るからとは言っていた

東北の件で仕事がたくさん残っているらしい

バタバタと忙しく「約束はできないけれど」と言われた

一応念のために予備の薬とお守りを持っていくことにした

土曜日になった

S子と楓と葵を連れて家を出た

S子の実家は家から1km先にある

歩いていくことにした

久しぶりに親子で歩いた

娘たちはうれしそうにおしゃべりをしながら歩いていた

S子の実家についた

義理母が出迎えてくれた

娘たちは義理母の手を握りリビングへ走っていった

義理父は用事があって帰宅が遅くなるとのこと

義理母の手料理を堪能してますます娘たちは上機嫌だった

「今日ね・・・やはりね・・・昼過ぎあたりから・・・

階段を上ったり下りたりする足音が聞こえたのよ

はっきりと聞こえたのよね

やはりこの家に幽霊でもいるんじゃないかと思う

夜もたまに足音が聞こえるし・・・人の気配もするし・・・

私、正直、睡眠不足でいつも眠いのよ

でも、今夜は婿とのやS子、孫娘たちがいるから安心して寝れそう」

と義理母はため息をつきながら話してくれた

今日は娘たちとS子は義理母と一緒に寝てもらおう

私はリビングにいることにした

夜も11時過ぎになり娘たちが眠そうな感じなので義理母に連れて行ってもらった

義理父も帰ってきたので義理父はS君の部屋にいてもらうことにした

義理父も気になっていて早く原因を突き止めてほしいと言われた

実家は表通りが幹線道路なのでけっこう騒音がある

車の音や人の声などよく聞こえる

やはり駅に近いせいか夜中0時過ぎでも結構うるさい

終電にならないと騒音はやまない

その点、我が家は0時過ぎると静かになる

隣の部屋から娘やS子や義理母の笑い声やおしゃべりがよく聞こえた

夜も2時過ぎると一気に静かになった

シーンとなった家はどことなく不気味に感じた

私もだんだんと眠くなってきた

ミシッミシッ

と階段を上っていくような足音が聞こえてきた

え!とおもった

娘たちは隣の部屋にいるはずだ

わたしはそぉーとリビングから階段を見た

だが・・・誰もいない

私は怖さを感じながらも階段の方へ歩いて行ってのぞいてみた

誰もいない

おかしい!!!

たしかに足音がした

念のために隣の部屋をのぞいた

みんな寝ていた

娘たちの足音ではない

私は階段をのぼり2階の廊下を見回した

誰もいない

S君の部屋をのぞいた

義理父が寝ていた

その時だ

今度は下の廊下を歩く足音が聞こえてきた

鳥肌が立った

いったい誰だろう

私は急いで階段をおりて廊下を見た

誰もいない

そんなはずはない

ちゃんと聞こえたのだ

隣の部屋をのぞいたが全員寝ていた

特に楓をよく見たがスヤスヤとよく寝ていた

私は廊下に座り様子を見ることにした

それ以降何も異変は起きずに朝を迎えた

義理母たちが起きてきた

「婿殿、廊下で寝ていたら風邪をひくわよ」と義理母に起こされた

「おっちーー、パパ、そんなところで寝てたらダメなんだぞ」とS子にも言われた

義理母に夜の出来ことを話をした

「やはり・・・婿殿も聞こえていたのね

私もウトウトとしたときに聞こえてきたのよね

でも、娘と孫たちがいるかどうか確認してからホットしたら寝ていたのよね

久しぶりによく寝れた」

と義理母は機嫌がよかった

「パパ・・・私も聞こえた!てっきりパパが歩いていたのかと思ってた」

と楓も聞こえていたのだ

「あたちは・・・えへへへ・・・よく寝てたからわかんない」

やはり・・・なにかがいる

これは和尚様を呼ぶしかない

「和尚様、やはり夜に足音が聞こえました

やはり何かがいるようです

来週の土曜日あたりに来てもらえないでしょうか?」

「まぁ・・・・やはり・・・聞こえましたか・・・

来週の金曜日の夕方に着くようにしますわ

結界はちゃんと張ってあるかもう1度確認してほしいですわい

ちゃんと結界が機能していれば外部からではなく誰かに憑いてきた可能性がありますわい

気分が悪い人がいるかどうかも聞いてほしいですわい」

「はい・・・1度結界の様子を見ます

ではまたあとで・・・」

私は家の周りに置いた薬やお守りを確認をした

別に異常はなかった

家族に体の調子の悪い者はいないかも確認したが今のところ名乗り上げる者もいなかった

おかしい・・・・なぜに足音が聞こえた?

和尚様の話だと外部からでは無ければ誰かに憑いてきたのだろうか?

いったい誰に憑いたのだ?

楓にか?いや・・・違うな

葵?・・・これも違うような気がする

子供の足音・・・・心当たりといえば・・・

義理父か義理母か?・・・・・ありえるかも・・・子供の足音・・・まさか・・・義理父の姉に当たる少女が義理父に憑いたのかな・・・・

しかし、和尚様の話だと成仏したはずだが・・・オヤジと和尚様の不審な言動や行動はなぜか引っかかる・・・

私はおそるおそる義理父に私が思っていることを話をした

「やはり・・・私もそういう気はしていた・・・姉さんが私と一緒に来たのではと思う

しかし・・・ちゃんと成仏して天国へ行ったんだろう・・・なぜに一緒に来たのだろう?」

やはり義理父も同じ思いをしていた

なぜに義理父と一緒に来たんだろう・・・

なにか訴えたいことがあるんだろうか?

どうも・・な・・・オヤジと和尚様・・・怪しすぎるぞ

まさか!!!全然解決してないんじゃないのか?

オヤジ達途中であきらめたんじゃ無いのか?

楓の魂は戻ってきたけれど義理父の姉は解放されても天国へ行けずにこの世をさ迷ってるんじゃないのかよ

オイオイ・・・・

だから・・・義理父を頼ってきたのか・・・

こりゃ早く成仏させて一刻も早く天国へ送らないとやばいんじゃないのかよ

わたしは和尚様に電話をした

「和尚様、もしかして全然解決してないんじゃないんですか?」と

ストレートに質問をした

「うっ・・・いや・・・そのぉ・・・参ったな・・・オヤジ殿から口止めされていたんですわい

確かに解決はしてないんですわい

いや・・・一応は成功なんですけれど・・・相手が悪すぎましたわい

オヤジ殿もなかなか手ごわい相手だったらしくもう少しでというところで相手が消えてしまったんですわい

こっちもびっくりですわい

今までは相手は必ず私たちを追い込むのが常でしたわい

ですが・・・今回の相手は・・・なにかおかしいんですわい

とりあえずは楓ちゃんの魂とS君のお父さんのお姉さまの魂の開放はしたんですわい

ですが・・・なぜか・・・そのお姉さんは天国へ行けれなかったんですわい

なぜか・・天国の門番らしい者が門前払いをしたんですわい

これにはオヤジ殿が怒りましてな

その門番ともめたんですわい

その門番がそのお姉さんの影を指さしましてな・・・オヤジ殿も指をさした影を見て一瞬顔がこわばりましたわい

すぐにそのお姉さんとわしゃを連れてこの世へ戻ったんですわい

お姉さんはこの世に戻されても行く場所がない

仕方なしに弟のS君のお父さんと一緒に付いてきたんですわい

ですからその「足音」はたしかにS君のお父さんのお姉さんですわい

わしゃ・・・オヤジ殿に影を見たときに一瞬顔色が悪くなったことを聞いたんですわい

そしたら・・・オヤジ殿は「クソ坊主!!!こりゃ大変な相手とやりやったぞ!!

閻魔大王と互角の力を持った悪霊と戦ってしまった・・・意味わかるよな?クソ坊主?

俺らな・・・餓鬼を影で操る連中の罠にはまってしまった・・・・」とボツリと話してくれましたわい

わしゃ・・・意味がよくわかりませんわい

閻魔大王様と互角の悪霊と戦ったわけですけれど罠にはまったなどとはよくわかりませんわい」

と興奮気味に話をしてくれた

「和尚様・・・義理父のお姉さんの魂、このままだとやばいんじゃないですか?」

と聞いてみた

「そうなんですわい

わしゃも一刻も早く天国へ送りたいんですわい

ですが・・・今さっきも言った通り・・・お姉さんの影の中にその悪霊がいるんですわい

ですから天国へ行けれないんですわい

もう1度オヤジ殿と組んで戦うつもりなんですけれど・・・・

やはり・・・力の差がありましてな・・・2人では力不足なんですわい

困り申したわい

後・・オヤジ殿と同じレベルの力を持った人が2人いれば何とかなるとは思うんですわい

ですが・・・・わしゃの周りにはそんな人はいませんわい」

と和尚様のがっかりした声で答えてくれた

「同じレベル・・ですか・・・・あっ!!!楓!!!(咄嗟に私の脳裏に楓の名前が浮かんだ・・・なぜか・・・不思議だ)がいる!!」と叫んでしまった

「いや・・・楓ちゃんはまだ子供ですわい・・・こんな危ない世界へ引きずり込むのはよくないですわい

確かに・・・楓ちゃんのレベルはオヤジ殿と互角かそれ以上ですわい

ですが、楓ちゃんは子供ですわい

わしゃは反対ですわい

もしこの戦いに負けたら楓ちゃんにはもう二度と会えなくなるんですわい

絶対に嫌ですわい

「あ・・・・軽率でした和尚様・・・しかし・・・一刻も早く天国へ送らないと・・・

いい方法はないですか?和尚様」

「いい方法・・・・相手が悪すぎますわい

まぁ・・・・S君の家の中にいる間は結界があるからおそらくいいとは思うですわい

まぁ・・・そう長くいられるわけでもないんですけれど・・・・

というのも魂は49日以降はこの世にいてはいけないんですわい

その間に解決しないとまた悪霊たちに囲まれて苦しい思いをする羽目になりますわい

その間に解決方法を模索しないと・・・」

「時間がないですね・・・困ったな・・・」

「とりあえずは早めにそちらへ行こうと思いますわい

なにか異変でもあればまた連絡してくだされ」

困った・・・オヤジと同じレベルの能力を持った者が2人いるとはね

いないよ・・・・

いるとすればやはり・・・楓・・・いやいや・・・大事な娘だ

巻き込むわけにはいかない

明日は私も仕事がある

いい方法を見つけないと・・・

ここ1週間ほどはやはり人の気配と歩く足音が聞こえたそうだ

義理父と義理母にその音の正体を教えた

義理父は目に涙を浮かばせていた

義理母も悲しそうな顔をしていた

でも義理母は相手が義理の姉なら何も怖くはないと言ってくれた

むしろこの家にずっと住んでいてほしいと言っていた

わたしもそのほうがいいように思えた

なんとかこの結界の中でいてほしい

水曜日にS子が実家へ葵を預けに行ったときに

S子と葵は「小さな女の子らしきものを見た」と言っていた

特に葵は一人でリビングにいるときに廊下からこちらを覗いてる女の子を見たと言っていた

葵が声をかけると恥ずかしそうに消えていったらしい

S子の場合は葵を預けた後に何気なく2階の窓を見たら女の子がこちらをじっと見ていたそうだ

まだ結界の中にいてくれてる

会社の仕事中でもこの件が頭をよぎり集中ができない

どう考えても2人もオヤジ程度の能力を持った人間など知り合いにはいない

やはり・・・わが娘、楓を頼るしかないのかな

リスクを重点に置くとやはり無理がある

どうにか和尚様のお経などで解決できないものか

困ったな・・・・

黒幕が餓鬼を裏で操ってるものだとか・・・

あのオヤジも恐れてるとは・・・・

いやもうオヤジは黒幕が誰なのかもう知ってるんじゃないのか

和尚様ももしかして・・・・

口に出さないということは・・・いや・・・今は考えるのはよそう

1日1日と時間だけが過ぎていく

金曜日の夜に和尚様がやってきた

「遅くなりもうしたわい

今からS君の家へ行ってきますわい」とあいさつをしに来てくれた

「あ!ちょっと待って、私と楓と葵も一緒に行きます」

「はい!ぜひ!一緒に行きましょう」

4人でS君の家へ向かった

葵と楓はうれしそうな顔をして和尚様の手をつなぎながら歩いていた

「いや・・・わしのところは息子しかいないので女の子の手がこんなに温かいとは知りもうせんでしたわい

モミジのような小さな手ながらもジワジワと温かさが伝わりますわい

いいですな、F君、オヤジ殿がうらやましいですわい」

とニコニコ顔しながら葵と楓の顔を見ていた

S君の家へ着いた

義理母が出迎えてくれた

「おや・・・お義理姉さんも後ろにいますわい・・・まだ結界の中にいてくれたよかった

」とニコニコしながら和尚様は義理母の後ろに向かって話をしていた

義理母も後ろを向いたが見えなかったようだ

「お義理姉さんが後ろにいるんですか・・・私には見えません・・・一度見たいです、和尚様」

「あははは・・・でしょうな・・・かわいい感じの女の子ですわい

そうですな・・・楓ちゃんと同じくらいかわいい子ですよ

むしろ、F子ちゃんそっくりですな

まぁ・・・小さい時のF子ちゃんを見たことないのでわからないのですけれど・・・」

「まぁ!F子ちゃんなら小さい時からよく知ってます、そうですか・・・」

「あ・・・消えちゃいましたね・・・人見知りする子でしょうかね」

「あたち・・・お友達になりたい・・・」

「たしかに・・・かわいい!!!雰囲気がF子おねえちゃんによく似てる!!」

と楓と葵には見えたようだ

「うん・・・さてはて・・・どうしよう・・・このまま成仏させたほうがいいのか・・・」

と和尚様は手を組みながらつぶやいた

「影に潜んでる悪霊はお経をあげれば退散させることはできますわい

ですが・・・あの少女を天国へ送るとなると・・・まぁ・・おそらくオアキ・オハルちゃんたちが面等を見てくれるとは思いますが・・・

うむ・・・・このまま・・・現世にいても・・・いいような気がしてきましたわい」

「たしかに・・・和尚様の言う通りかも・・・しばらくこの家にいてもらって葵や楓たちと遊んでもらえればいいように思います・・・どうですか?お義母さん?」

「え!・・・お義理姉さんをこの家にですか・・・私は構いませんけれど主人が・・・」

階段から降りてくる足音がした

「和尚様!姉さんをこの家にいさせてあげてください

私たち兄弟のたった一人の姉です

姉さんが気が済むまでこの家にいてほしいです」

義理父が和尚様に懇願してきた

「わかり申したわい

まずは影に潜んでる悪霊だけは今夜中にお経をあげて退散させます

後は・・・あの少女の意思にまかせます」

「姉さん!!良かったね!ずっとこの家に住んでもいいんだよ

いやずっといてほしい!!」と義理父は天井に向かって叫んだ

「おやおや・・・出てきましたな・・・(うむうむ・・なるほど・・わかりもうしたわい)

お姉さんも喜んでます、というか・・・(うんうん・・・)

お姉さんはこの家にずっといたいと言ってますわい」

「姉さん・・・苦しかったんだね、これからは自由にこの家で過ごしてほしい」

「とりあえずは今夜0時になり次第お経をあげお姉さんの影に潜んでる悪霊をあぶりだして退散させますわい

その時に何かしらの異変は起きると思いますわい

落ち着いて行動をとってほしいですわい」

夜の午後10時過ぎから外では雨が降り始めた

雨の音が段々と大きくなってきた

私たち全員リビングで雑談やTVなどを見ていた

ドーーンと雷の音がした

どこかに落ちたのだろう

楓と葵はびっくりした顔をした

「パパ、どこかに雷が落ちたんだぞ、あたち・・・怖い」

「パパ、ここで寝たいけどいい?みんなと一緒にいたい」

「あたちもここで寝たいよ、パパ」

「そうだな、そのほうがいいかもな、パパたちがいるから安心して寝ればいいよ」

外は一層雨の音が響いた

ソファに毛布を掛けて葵と楓は寝てしまった

「本当にかわいいもんですな、さて・・・そろそろ時間ですな

私は隣の部屋でお経の準備をしますわい」

と私たちに声をかけて隣の部屋へ行った

時計は午後11時過ぎになっていた

雨は相変わらず止まずにますます勢いを増している感じだ

なんとなく部屋の空気がひんやりとした空気が流れ始めたように感じだ

「そろそろですな・・・・おそらくあやつらの最後の断末魔を聞くことになるでしょうな

あやつらをこの前言っていた地獄の奥底へ送ってやりますわい

もう二度と元の世界へ戻れないようにですわい」

と和尚様は真面目な顔で言い放った

突然、部屋の電気が消えた

「来ましたな!!でわわしゃは隣の部屋でお経をあげますわい

あやつらはいろいろな手段で誘いをかけてきますわい

すべて無視しておいてくだされ

絶対に返事をしないでほしいですわい

あと、子供たちが目を覚ましたらもう1度目をつぶるように言っておいてくだされ

絶対に相手にしないでくだされ、でわ!」

和尚様は隣の部屋へ行きお経を唱え始めた

廊下からパタパタと足音が聞こえてきた

奴らが来たようだ

ふと、あの少女はこの部屋にいるのだろうかと不安になった

いてほしいのだが・・・・

今から声を上げることもできない

悪霊たちのざわごとが聞こえてきた

部屋には結界が張ってあり悪霊たちは廊下で何かわめいていた

和尚様の力強いお経が隣から聞こえている

悪霊たちは廊下でいろいろと誘いの言葉をかけている

だが、すべて無視だ

「パパ・・・・」と楓が目を覚ましてしまった

私は慌てて楓の口を手で押さえた

口元に指でシッという感じで合図をした

楓は理解したらしく頭をウンウンとしてくれた

私は紙で「楓、声を出してはダメだよ、もう1度寝ておくれ、廊下から聞こえてくる声は無視していいからね」と書いて楓に見せた

楓は頭を大きく上下して瞼を閉じた

悪霊たちは廊下で行ったり来たりしている

すると突然玄関からオヤジの大きな声がした

「てめぇら!!俺様がすべて喰ってやるからこっちへ来い!!!」

とオヤジはわめいていた

悪霊はオヤジの誘いに乗ったのかオヤジを目かけて突進していったようだ

悪霊の最後の断末魔が聞こえた

「ちっ!往生際の悪い奴だな!!さっさと俺の口の中へ入れ!!

そういうことだよ、お前はあいつらに利用されただけだよ

もうお前の役目は終わった、さっさと時間の狭間に入れ

何が嫌なんだよ、おまえはもう閻魔大王から見放されたんだよ

そうだよ、もう地獄の世界から永遠に追放だよ

くそ、まずいな、お前は!!!」

和尚様のお経が一段と大きく聞こえてきた

一瞬、お経も止みシーンとなった

「おい!!クソ坊主!!こっちは終わったぞ

まずいまずい、あいつはくそまずかったぞ

とりあえずはあいつは時間の狭間へ送ってやったぞ

クソ坊主、あいつのために供養のお経を唱えてやれよ」

「わかり申したわい

安からかに時間の狭間でいてほしいわい

かわいそうだが・・・仕方ないですわい」

オヤジと和尚様の会話は私にはよくわからなかった

どうやら終わったようだ

私は恐る恐る廊下を見た

え!?誰もいない・・・

確かにオヤジの声がした

隣の部屋から和尚様が出てきた

「オヤジ殿の影法師が来てくれましたわい

助かりましたわい」

え!?影法師!?なんのことだよ

「和尚様、オヤジの影法師って?」

「あ、いや・・・まぁ・・・オヤジ殿の代理というか・・・

オヤジ殿にみせかけた紙人形ですわい」

と言いながら廊下に落ちている紙人形を指さした

「うわ!!紙人形!!!これがオヤジの影法師?・・・」

「さようですわい

陰陽師が使う紙人形ですわい

わしゃもはじめて使い申したわい

こんなにうまくいくとは思ってもいなかったですわい

さすがオヤジ殿!オヤジ殿の手引きでなんとか術を覚えましたわい

これでオヤジ殿が不在でもわしゃ一人でできるようになり申したわい」

何を言っているのが理解できなかった

「和尚様、オヤジは今どこにいるんですか?」

「オヤジ殿は家にいますわい

もしかしたら酒を飲んで寝ているかもしれませんわい」と

大きな声で笑った

「F君、今回の件はすべてオヤジ殿のおかげですわい

あんな感じのオヤジ殿ですがレベルの高い神官ですぞ

いや・・・閻魔大王様と同じレベルかもしれませんわいな

オヤジ殿は謙遜してましたが・・・

わしゃはすごい友人をもてたことに誇りをもっていますわい

」と笑顔でオヤジを褒めていた

そうかな?・・・・私は単なる疫病神にしか思えないのだが・・・

まぁ・・・いいか・・・

とりあえずは終わった

「あの少女もこれで完全に開放されましたわい

いつでも天国へ行くことができますわい

あとは少女の気持ち次第ですな」

結果的に・・・少女は義理父の家に住み着くことにしたようだ

でも残念なごとに義理父と義理母にはお姉さんを見ることができないようだ

でも「存在」しているという感覚は感じるようだ

楓と葵は見えるようでたまにその少女と遊んでるとよく話してくれた

今まで孤独の中にいたのだ

楓と葵に会えてうれしいとおもう

これで今回の件は一件落着

と思いたい・・・・

オヤジと和尚さまは何かを隠してる・・・・そういう気がする

Concrete
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