中編6
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腰痛からくるモノ

「最近さぁ、なんかずっと腰が痛いんだよねぇ……。別に負担をかけた訳でもないし、原因が分からないのよ。」

三神さんからそのような相談を受けたのが事の発端だ。

三神さんは子供を持つシングルマザー。

元旦那の浮気により離婚をし、地元に帰ってきた高校時代の先輩。相変わらず美しい女性だった。

「なんでしょうね……。まさか、もう新しい男との夜の営みで使いすぎたんじゃ……。笑」

「死ね。」

先輩曰く、右側が痛い日、左側が痛い日、全く痛くない日など、症状がはっきりせず、病院に行っても問題ないと言われ、相当参っているようだった。

色々、腰に良い筋トレ、ストレッチなどを試すが改善されず、占い師にエネルギーが足りてない、腰にエネルギーを集中させる事ができるブレスレットを買わされそうになったとの事でもあった。

ケラケラ笑いながら話しを聞いたが、先輩の神妙な面持ちにどうにかしてあげたいと思った。

原因不明の痛みという事もあり、冗談まじりで、霊媒師の先生に見てもらうのはどうかと提案。

馬鹿馬鹿しいと先輩は言いつつも、ネットで調べて県外にある有名な霊媒師の先生の所に行く事になった。

「もし、何かあったらあんたにも責任取ってもらうから一緒に来なさい。」

結局逆らえず、同行する羽目になった。

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車で約3時間、ようやく先生がいる、神社?お寺?のような場所に着いた。

神社のような敷地だが、鳥居がない。ただ、普通の家とは別物で、異様な雰囲気を醸し出していた。

広い敷地をウロウロしていると

「あのー。どちら様でしょうか?」

不意に声をかけられた。

予約の者と伝えると、どうやら先生の元で働いている方らしい、案内をしてくれた。

2人でとぼとぼとその人の後に着いて行くと、小さい古屋の前で止まった。

コンコン

「先生……お客様です。」

「はい、どうぞ〜。」

随分フランクな感じで、おいおい大丈夫か、と思ったのを覚えている。

先輩も同じで2人でアイコンタクトを取りしかめっ面をしていた。

中へ入ると、6~7畳位だろうか?狭い部屋に色々な骨董品が置いてある中、先生が背を向けてお茶を飲み座っていた。

後ろ姿から60代くらいの女性だろうか。

「あ、あのー。先日予約した三神ですがー……。」

先生がよいしょとお尻を上げて、振り返る。

思ったより若い綺麗な叔母さんという感じだった。

「ふーん。隣の彼は?」

「え? あ、連れです。1人で来た方がよかったでしょうか?」

「別に。気になっただけ」

正直来なきゃよかったと思った。

無表情でそんな事聞いてくるため、正直気味悪く、2人で固まっていた。

「さて……。ふーん。腰かい?」

先輩がびっくりしたように目を丸くする。

「なんで分かるんですか!?私まだ何も言ってないですよ!?」

どうやら腰痛の件は予約した際に伝えていなかったらしい。

「そんな事はどうでもいい。あなた、墓参りはしっかり行ってるかい?」

「墓参りですか?いや……ここ数年行ってないです。」

「行きなさい。それが原因だろう。なるべく早く行きなさい。うん、今から行きなさい。手遅れになるよ。さあ帰った帰った。」

そう言われ、僕達は追い出された。

古屋の扉はバタンと閉められ、呆然と立ち尽くしていた。

「なんですか?あの態度……。酷いですね」

「うん。でも言われた通りにしてみようと思う。私今から行ってくる。さすがにあんたは帰りな。とりあえず駅まで送って笑」

僕は何しに来たんですか!?と先輩に怒りつつも、渋々承諾し、帰路についた。

「ごめんね。私ね、そういえば報告してなかったんだ。三神家に戻ったの。だから御先祖様が、怒ってイタズラしてるんだろーね。謝りにいかなきゃ」

帰り道、先輩は申し訳なさそうに話した。

先輩を大きい駅に下ろし、僕は帰宅。

その日は先輩から連絡がなく、気になっていたが、僕からも連絡はしなかった。

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その夜、変な夢を見た。

誰もいない夜道を歩いているとふと目の前に女性が立っていた。黒い長い髪で顔は俯いていて見えない。

「大丈夫ですか?夜道に女性1人は危ないですよ?」声をかける。

「~~~~~~~のに……。」

え?

小さい声で何か言っている。近づいて耳を澄ます。

「もう少しだったのにもう少しだったのにもう少しだったのにもう少しだったのにもう少しだったのにもう少しだったのにもう少しだったのに………………

shake

お前のせいだ!!!!!!!!

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ハッ と目が覚めた。まるで現実のようだった。

最後に女性が顔を上げた時、血塗れだったような気がした。

悪い夢を見た……。腰がやけに重い。

踏ん張ってようやく身体を起こす。

枕元のケータイを手に取ると、先輩からLINEが来ていた。

帰ってきてるよーん!聞いて!全然痛くない!

やばくない!?今日、先生にお礼に行くから一緒に行こうよ!

そんなLINEが来ていた。

正直、身体が重く、体調が悪い。

しかし、仕事も連休で暇だったため承諾した。

ただの運転をする都合の良い男になっていたかもしれない。

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車の中で先輩から聞いた話しでは、墓参りをして、また三神家にお世話になること、戻ってきてしまった事を謝ると、スっと腰の痛みが抜けたらしい。

先輩の長話に相槌を打ち、車を走らせる。

だだっ広い敷地、相変わらず変な所だなー。と思い、到着し中に入る。

「あ!先生ー!昨日の三神です!」

先生は花に水をあげていた。

こっちに気づき、振り向くと、凄くびっくりした表情をしたのを僕は見逃さなかった。

「あ、昨日の2人か……。中へ入んな。」

昨日の古屋に案内される。

「先生の言う通り、お墓参りしてきました。そしたらすっかり痛みが消えたんです!本当にありがとうございました!」

先輩は興奮気味に話し、先生に菓子折りを渡そうとするが、先生はなぜか、僕の事をずっと見ていた。

「先生どうしましたか?」

先輩も僕と先生を交互に見て不思議そうにしている。

気まずい雰囲気の中、先輩は話しを続ける。

「実は私、離婚しまして、三神家に戻ったんですよ。御先祖様にその報告をしてなかったのが原因で、報告しに来いって、お叱りを受けていたんですね!」

先輩が鼻を高くして得意気に話す。

先生の視線が先輩に移り、長いため息を1つ吐いた。

「違うね。あなたもう大丈夫そうだから言うけど、昨日来た時、あなたの腰に血塗れの女性がしがみついてたのが見えたんだよ。守護霊がね、力が弱まってたんだ。御先祖に報告したのは賢明だったね。

力を取り戻して追っ払ってくれたんだろう。

強い守護霊だ。病気、事故は心配ないだろう。

年1回は必ずお礼をしに行きなさい。あのままだったら連れていかれてたよ、あなた。」

ハイテンションだった先輩だが、言葉が出ず、青白い顔をして震えを抑えるようにして無言で頷いていた。

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「さて……。どうしたものかね……。」

先生は改めて姿勢を正し、僕を見てゆっくり話し始めた。

「どうやら、移ってしまったらしい。意味はわかるね?あなたの守護霊は非常に弱い。御先祖は真っ当な人間ではなかったんだろうね。

これも私とあなた達の縁だ。なんとかしてやろう。

お姉さんは出ていきな。見るのが辛いだろう。

あなたは辛いと思うが、耐えるんだよ? 必ず救ってやるから……。」

先生が何かを準備し始めたのを僕は呆然と見ていた。昨日見た夢の意味、そして今の状況をやっと理解した。

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@ふたば
握り潰そうとしてるとは……。
素晴らしい観点だと思います!
男性……。怖いてか痛いですね笑

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@眠猫
コメントありがとうございました!
分かりやすく書けてて良かったです。

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@マギカクエスト
コメントありがとうございます。
こういう事が本当にあるんだな。と感じた話しでした。

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